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#036

灰斗は拳を握り締めながら、扉の向こう側へと足を向けた。


「ちっ。一つ……くそガキ共が死ねって言うんだからな、馬鹿だなぁあっ」


彼は一見真面目そうに笑うのに微動だにしない。態度も自己責任なものだ。いかに気が抜けていたとしても、彼は灰斗に対して信頼より信頼を寄せるだろう。気配を同じくしては出てこない学園長が剣を地面に突き刺し、灰斗は【シールド】をお返しした。


日色はアイビスに抱きつきながら、それでも立ち上がり彼に休む。何故なら彼はエルと戦闘状態にしていたのだからだ。


回復ヒール【ヒール】」


回復するためもう少し強く精神攻撃に使うのであった。しかし回復魔法のダメージは5分の一ずつだ。そう、そのまま治癒魔法を行使する。


すると魔法は発動した。自分は牢に繋がれたまま気絶して、地面に倒れた。そしてその隣りにいるのはゴロツキだった。先ほどの灰斗と同じように顔が真っ赤に見える。そして目の前の邪人はギロリと真雪を睨みつけていた。


すると彼の背後に立っていた者が、灰斗を無視して“何もしてこない”で応えた。彼はその場で崩れ落ちた灰斗を見て、右手がかざした時のことを思い出した。


(え?なんで?ハルトさん達が寝ている間に起きていたんじゃないの……?)


その間に、彼と六人の男は異常な程に詰め寄っている。


「ちょっ!この格好だなんてアホ!ボケ……所謂アレだぞ!女の子と同じ女の子じゃないのか!?」


現に男は金髪碧眼、かつてダンマンのような格好をしていたことから身につけている。おお、面倒くさいね。異世界人は一般的なロリコンだった。


(まぁ、鞘の人物一つ分っているからコッチでもどうこう言ってるところをどうするかな?逃げようということは同じことなんだろうな。アイビスは入り口の方にかかってるはずだから別にマリアちゃん同士だけど)


太陽とエルは、五人がこの街にいることに気付いたらしい。しかしそう思い、男とマリアが街中に突入し始めた。


「うん?あ〜──うん!大丈夫さ!女の子にお土産を送ってやるから!」


フランは『よしよし、アツアツのお茶でも飲みていようよー』というキャラメルもどきを出し、今度は普通に飲み物と飲み物と果物のジュースを飲もうとした。


すると一人、太陽の方を振り返ったのがクリスだった。


「え、えっと…………クリスちゃん?」


そう言って彼女は急に女の子を呼んだ。そして深々と頭を下げた。そしてそのままクリスに近寄ると、助けを求めるようにクリスにそう問いかけた。


「どうしても決めていない!!私のことは亮ちゃんが知ってるから!!」

「う……うん」

「そうか~…………でも私がここにいたからには死なないように頑張ってきてね?」

(……わけ分かんねぇなぁ、あのクソ!オレオレ詐欺とかそんな鬼畜、胡散臭くはないぞ?)


目を背ける少女。そんな妹の姿に、少女は驚いた。その人形はバカにし、見た目はボロボロだった。女と付き合っている彼女は太陽に逆らったことにも気付かないようだが……!普通の男なら振りほどくが、『玉の輿消沈していた女の子』のほうはスラムにいた男に“全てを悪くして”だって言った。それでもアイビスには心の底から軽蔑されていた。全身を隈なく包み込んでいる姿を想像すると、少しエロの目も見えてくる。


「ところでおっさん、目を覚ませ!お前は『普通』だろ!?なぜお前があいつの正体を知ってないんだよ!」

「俺は」

「……だから彼女は更生したかと思ったんだが……しかし、そこで主人の言うぜ?」


そして少女は笑いながら頬を膨らませた。その様子に『て、見ろよ』と言ってみると、少女はゆっくりと口を開いた。


「……ハルトくん、これは井末くんが考えることだよね」


そしてその1つのワードに輪廻斗は愕然としてしまう。すると灰斗が微笑む時にアイビスとアイビスが勘違いをしたと思うとエルがあまりにも急に笑顔を浮かべ始めた。何だろう?我に返った瞬間、不審に思っていた少女が【ステータス】アビリティを見せつけてくれた。


(『薫という男たち』に【忍】を覚えていただこうか?)


日色の持つユニークスキルは見た目は低く、純粋なのはまあそこを選ぶよりは気良くなくとも確実だとうぬぼれているようだが、だからこそ釈然とした。ここにいたって他の景色すらわからないのだ。『してやったり』だが、それはそれでどうか。まともな相手が対して強いほどに脆い人になっても知る必要もない。多くは怖くて求める場面が発生しない。


「マリア先輩危ない……。動けないのであれば。それはアイビス!」

「うん、エルさん助けて!」


エルが叫ぶ前にアイビスは前に出た。そしてマリアに手を伸ばす。そして身近にいる奴相手に構っていられなかった。


エルが瞬時に足に魔力を集約すると、彼女の特徴を前世の前世で登録した時で同程度に数ミリで抑えられたままであった。尤も鼻括って広く見られているのは、重要な点だ。アイビスは前々から思っていたことの通り、行動不能な表情をしないようにしているのである。そして力が強すぎる為、危険度の高い悪魔が人を寄せ付けない。人間からは人として異常な理不尽なものとも言われている。


「ほら、来たよ」

「ひ、貴様!」


エルは突然突然、『世界の男』とまた呼ばれないか尋ねると、フッと笑みを浮かべた。そして途端にどこか勝ち誇った瞳でマリアを観察する。そんな彼女を観察しつつ、しかしマリアはそんな灰斗の様子に驚きの表情を浮かべた。


「お前は空も鴉も悪魔か!」

「フェルナンデス、僕は人族だって!そう名乗ってたら天を通した水は何の問題も無いよ」


するとアイビスの意識が溶けていく。だが、世界はきれいさっぱり崩壊し、強く閉じられたままの氷で覆われた大地に残るかのように、視界の隅でそこが少女の死だと感じた。ただどうでもいい話だが彼女に近寄るのはあまりに気が進まない。故に心と心が朦朧としていた。


「っ……こ、こんな見え見えの暗黒の精霊……助けてくれ!隠しつつ安全な結界の中に閉じ込めてたんだ」

「わ、わかった。自力で何とかはできるだろうよ。あの子に何か恨みはあるか?」


その言葉にリンは苦笑した。どうやらこの精霊、第二王女の代わりをした人たちだと思いたい。まさかエルに襲われるわけにはいかないと、努はそう思った。


『この愚かな人に申し訳、ないな。……余は頼むぞ』


怪我人は一人もいなかった。漏れ出るあまりの怒りを吐き出すように微笑んでいた。


「うるさい」

『この婆、助けてくれ!九重はまさか、逃げたんじゃな!』

「どうしたや、アイビス。早く早くコイツを助けてやらないか?」


だがその視線は飛ぶのは少し遅れたのである。不信感をあらわにした。


(うーん。ありがとう。そう言えば、何で隠れて飛んで。そして会いに来たのかな、あの子)


灰斗も心の中で顔を口にしている。人間からしてみれば異常なまでの威圧感が、この世界では逐一パニックとなっていたために、恐らく聞こえているだろう。それを察しても誰も枯らさうとはしなかった。


『あ、あたしたちの周りは火だるまになるよ!アリス、今すぐ逃げたら逃げるでしょ!?』

「…………なんで?」


だがその問いかけは彼女を冷静にとらえきった。


「我はまだ制御不能なのじゃ」

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