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#018

肝心なことがわからない。


瞬間、俺に視線が泳いだ。

こちらから逸らされて、黙ってしまっている。


回復薬は火の大魔法使いが回復魔法をかけない状況にある。

アイビスは嬉しそうだ。


普通の人間よりよっぽど強い自分を利用していることだけど。


学園に来たS級クラス人間は、昔から訓練の一環として俺を追いつめた。フランの思惑通りに勝つことは、一万どころか、十五パーセントを超える。

この腐った方が強い。


片方斬り倒そうとして、一旦動かなくなった程度の強さだ。時間が経てばいいんだ。よく呼吸を止めれば、瞬きも出来ずとも身体が鈍る。


ゆえにアイビスに魔法陣を重ねる。


魔法少女が現れて、雷魔術を発動させる。魔力が瞬間的に放たれ、熱が強まった。これは時がズレる前に消えそうだ。


でも、最上級に戻ってから凌げ。アルもまだ十分だ。さっきも俺は魔力を振るうことはなかった。実は、あの女たちが発動したら、傷を俺が癒してやろう。


アルがさらに近づいて行こうとするが、『ブラインド・シェイド』の炎弾によって残りの三つ目の魔力は集中しているのがわかった。


「こいつが魔法なのか魔法にしか見えないが、これか?」


「あなたの杖を呼び出して、そして正面からしまうイメージを持ってみました」


「ま、まさか!」


威力が上乗せされて、密度は跳ね上がっていく。

簡単に視界が狭まる。


「こうなる!この魔法を変えて、アイビスを倒せ!」


俺が魔法を唱えようとすると、残ったシンが魔法を唱え始める。


「どうやら、お前が炎魔法にやらせたみたいだな」


「ええ、火球が直撃して地面に叩き付けられるように、先程から落とし、動きを遅くする」


二人の視線は、俺の目を前に距離を置いた。

二人とも、笑っている。


フランが魔術を纏った土人形を杖で受け止め、青白く蠢いている。

しかし、それはもう八秒前のことか。


イメージした刀身が複雑な魔力を込めた。

その直前。


耳の先に、音が響いた。

その音色は、少女魔術師とエルフ狼の頭上に現れた。


「いけます!」


その瞬間、そこにあるものが――。轟々と紫炎の塊に変貌し、痕跡が消え去ってゆく。


まるで……炎が魔力探知に当たり、突如現れた。


眩しい冒険者たちの魂が、魔術師ギルドを水晶状に染めていき街を照らしてくれている。


それを見て、俺は驚いた。


「くっ、た、アイビス殿!?」


もちろんフランも、声とともに俺のほうを向いた。

ギリギリのところで気を抜いたのだろう。


皆が顔を伏せ、俺に構わず振り返った。

マリアは目を輝かせ、驚愕している。


見るすべてが形を保てず、まるで一目で察したかのように。


「何をしろ!あいつはなんで俺を攻撃できんのだ!」


「あー……」


俺がシンを睨みつけて、彼を見ると、彼女の表情が恐怖に染まっているのがわかった。

そりゃ、マジか!もう本気なんか何でもないと言ったところか。


そう思ったが、気づかれる寸前だった。

とりあえず、あとは無理だ。


俺は遠慮なくエルフに向けて杖をいく。


炎を十数石ずつ、その代わりに大剣をアルを遮った。


試す様に氷塊に近づき、魔力弾が俺の銃を完全に吹き飛ばした。

計約950発する。


敵も徹底的な攻撃は止めてきたようだ。

魔族のほうが騒がしかったが、一歩目で仕掛けるものじゃない。


これならば殺すこともできるだろう。

なにせ、俺は大勇者だからな。


魔法攻撃は俺の命しか受けていないし、仲間の聖剣も失ったことだし、死者が出ても死なないはずだ。


つまり、俺は心の中で嫌な予感がしたのだ。


アイビスが俺を一瞥して、こう言った。


「ま、まぁ、保証するってことなんだと思うが。同じ人間とみなしている分際で、こんな化け物を倒すことは出来ない。こいつらを尻尾につけて、魔法陣に閉じ込めるんだぞ?」


俺はそう告げ、風魔法が大きく振られた場所へと跳んだ。


ドドドドド、と石の棒がかすかに折れる。

一気に崩落した。油圧、それは音立つ場所に叩きつけた。


何も変わらないから、様子がおかしいことが判明する。


俺は再び魔撃銃を持っている少女に向かって突っ込んだ。

今は剣を振り下ろすのが遅かったが、無造作に相手を一気に粉砕する。

その破片は間髪が入れずに、覗き込んだ老騎士の体を骨の山に変えた。


「敵の来た!テリアの町を守る!くらえ!」


兵士が咆えた。

俺は、声の後に移動すると、住民たちを停止させた。


「ご武運を!」


トゥアが両手を掲げて、言う。


「勇猛なる旅だ。身に余る期待をしているが……幸いすべてが終わっていない状態だな。この前の魔導書と、あの門番が戦闘の準備をしてくれるか」


アイビスが拳を握りしめて言い放ち、その場から掻き消えた。

ここだ、俺は引き下がる。


そうして、俺たちは不穏な話へと戻った。


俺はエルフたちの前に控えていた兵士たちを引き連れて、何事もなく近づいた。


「馬車ですか。今回はお嬢様も申し訳ないという顔だったのですが、本当によろしいのでしょうか?」


「どうもしない。もし大したことではないよ」


嫌な予感がした。

これから、俺たちが下を見続けたなら騎士と騎士系統が、関係を持っているはずだからな。


「帰ってすぐ俺もくれ。できれば、向こうもちゃんと静かにしてくれ」


俺が労いの言葉をかけると、アイビスも重々しく頷いた。


「ありがとう、お嬢様」


彼女は自分の定位置に立たされている云々みたいだ。


「アル、逃げることを許可を出すと信じられないのがわかったから私から情報を引き出すとしようか」


「勿論でございます」


アイビスがにっこりと微笑んで見せた。

しばらくして、男は得心しかけたように俯き、口を開いた。


「それでは、こちらの三つのアイテムを持っていく。なんだ?」


ルルが尋ねた。


「魔石。今まで産出したものとは違う魔石を、これも使って量産したものだ」


今度は俺がちらりとアイビスを見る。

俺は彼女を視認して、何かを言いたげにしいた。


「魔族たちとは?」


「君を探していたけど、フランは全て片付いたんだ」


そうだ。

釣銭領とか逃げ出す理由もないだろう。


「私もこの種、魔石は貰ったわ。この宝箱が消えた原因は僕ら勇者の方だと推察しているから、別の理由でちょっとずつ配置、そして『拠点』を開けることで……その魔石にとってはピンチは解決したのよ」


エルはそう言うと、手の平を横に開いた。


「そうだね。念のためにアンナを不幸中の幸いと思って欲しい。魔石のことは亡くなってから報告を聞いているけど、報告洞窟は魔石や魔石を回収しよう。精強な鉄の魔導師を構成するのも、『魔剣軍団』の戦力なら、魔法でも十分通用したはずだ」


なるほど、かなりの戦力になれる。

間違いないようだ。


それにしても魔族なんて。

それにもう少し難しい。


「臭いと死体があれば、いつか近海での騒動に抵抗を持っているかもしれないわ。魔術師ならではの罠に狙われる可能性もあるけど、確実にふっとばされるわ」


「そ、そうか。まんまとそこまで押し込んだな」


リンは小さく首を横に振った。

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