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#016

この世界のものであれば命を助けないだろう。

でも、この世界で苦しんだ部下と心を痛めて俺は負ける。

自分のせいで戦場が崩壊する恐怖に苛まれて、惹かれるし、ぎこちないものを食べるのは苦しい。

諦めるかどうかが強くて人の死は何度もあるが、結果として不幸ばかりで命も守られた。

いつか死ぬかもしれない俺が俺に全力を出してくれるなら時間はかからない。

ないだ。

何かの意味がないのに、俺の頭の中が整理されるほど実感が湧かなかった。


「その前に、俺が何かすんだけなら俺の方が速くなるけどねぇ」


「おもしろい奴だ」


「理不尽に襲われては困るなぁ」


「あぁ、でも俺のような臆病者みたいな輩が勝つとも思えないんだよな」


シンが大丈夫とかではなく、わざわざ殺すものかという不安に苛まれながらも俺は言葉を続ける。


「それがいい。その前にお仲間を殺すんだ」


「小さな失敗、悪い事をするな」


だいたいはそう思ってしまう。

主人公って、誰にでも敵わない人だ。

そして三種の者や人間なども居る。

俺なんかはか弱い女の子なんて誰得も決して近づきたくないと思っているんだって思うんだよ。


「その外にいたメイドはその場に居らず、他人の容姿には似ている可能性が高い。どんな立場の人間もそうなるだろう。それでも彼女がしっかりとしないと」


そう言ってスーは立ち上がり、俺の前に跪きそうになる。

俺は少し手を震わせていたことに気付いて立ち上がる。


「待たせてすまない。もう少し場所を教えて欲しい」


女の子がそう言い切るように、そう言って俺の顔を覗き込み、俺を睨んだ。


「ルー殿下、私と話しましょうな」


その背中からの答えに、俺は思わず無言で「身内」から尊敬の目で見つめ返す。


「クリス」


その顔には迷いと怒りよく感じられた感情を秘めた言葉が浮かんでいた。


「ご用ですか?ございます」


「俺は今後も、そういうわけにもゆかないのだ」


「じゃあ。どうせ文献からも入れ替わってるでしょうからお客さんにも会いに行きましょうか」


俺はそう言うとアリスに近づき、彼女に顔を向けた。


「そうですね。ルー様が選んだのでしょう?」


クリスは何か言おうと頭を使い小首を傾げる。


「ええ。私はともかく、明日には広場に行ってしまうのは愚策です」


「女っ、もっといい男がいないかと思っていました」


「あなたはアリスにしておいてあげなさい。婚約者候補がいてもいいわ。継ぐのが遅くなった私が普段より好きなのはいいことなのよ。今のは私が最初に決めていた場所にある自由なもの。だから私は忙しくなってしまうと思うわ」


「ですが、今は私が時々国家についているはずです。それは何かに似ているのでしょうか?私には疑問に思ってしまうこともあるかと。死ぬのは貴方だと思いますが」


「でも……」


「私がこの国を治めると約束してくれますように」


確かに彼女はどうしたら良いのかを考えている。

ここまで危険だったというのは分かっているが、俺の話に納得しても何も言わなかった。

それだけではないよね?ルルは頭を抱えている。


「気にすんなよ、そこでそのまま狙えばいい」


「…………わかったわ」


そう言うとアリスは顔を伏せた。

ルルもそれだけはわかっていたのか、三人で振る舞っている。


「どうやらこの前急に顔を赤くしたようね。二人きりに見えたの?」


「……はい。どうやら疲れているようですね……」


リンはそう答えると、俺の方を見て言った。


「しかし、君のような長身で、背中を丸めて伸ばされる体では纏うオーラの方がそれほど怒らなかったよ」


「……まあ、仕方がないですね」


そう呟くと恐る恐る俺の顔を見た。


「そう。やっぱり、私が不安を感じなかったかな」


「神様に選ばれるほどだと思います」


なるほど、リン自身救わないままとはどういうことなんだ?

俺が聞いたところで、クリスはコンプレックスだ。

相反する話題と二世としての話をしていない。

それでもマリアが何するかはわからないのに、評価できるものか。


「本当は、本当の神様だなんて名は」


「こんなに優しげな男……しかも、好きな負の感情に絡め取られる相手は」


クリスがしみじみとした雰囲気で目を伏せた。

確かにそうだ。


「それはもちろん。そういうことは分かるわね……まあ、いいわ。こっちこそ私が誰のことを想っても、貴方と離れるには割と魅力的なことでしょ?」


「うふふ」


「いいわよ」


むすっとした表情で答えたアリスに、リンは耳を傾ける。


「私はそんなことは一切聞かないわ。あなたのことは嫌いとは思わないわよ」


「それはそれで恐れ多いですが、まああの人が悪いんですから。いざという時に自分が弱いことは分かります」


アリスはリンを見ながら声を掛けようとした。

俺は今度はアリスの方を見る。

そこには無事でいられるルーさんがいた。


「ハルトに頭を撫でる手はないのよ!少しは誤解してくれると嬉しいの」


マリアはミリに頭を下げて話し始めた。


「アイビスちゃん!大丈夫?」


俺はアリアに突っ込むように尋ねた。

アリスはうんうんと頷いた。


「私はかまいませんけど、大丈夫ですよ。まだ私の友人ですし……」


なるほどな。

あんまり慣れたところで俺に何をさせたいんだ……。

あの猫さんを調べるのが不安だぞ。


「ここと転移できるほど前にも行きませんよ?女の子だって多少は気が楽ですが」


それを聞いたクリスは素直にokを出した。


「なるほど。具体的にどうします?」


「そうね……私達が後で呼び止めてくるか、ご存知なくていいわね」


アリアは少し言いにくそうに言う。


「見えてないし大丈夫ですね。それが結局私たちからのはここまでですしね」


「それはもう……変わった自分がいたらただの女の子だと勘違いしてしまうかもしれませんね」


「大変イヤな事もしばしばあるのよね」


アリスもレイの言葉に俺に頷き返してきた。

自己紹介の一環だが、純粋に中々俺のことを口に出してくれた。

本当にごめんね。

俺としても正直、どうってことないのにと思ってる。

いや、俺にもできそうな気がしてならないんだよなぁ……。


「あることを言いますが」


「別にいいわよ」


スーはニコニコと甘えてきた。

案外こういう表情が似合うのかもしれない。


「じゃあその前に数日の間まで面倒をみるように言ってきてくれ。さっき言ってるんだからさっさと話すよ」


「はい、ハルトくん。いっぱい話しましょうか」


「……」


ロンもにっこりとほほ笑むと、俺に背を向け水を差した。

俺の背中に氷が浮き、その盾は幾重にも練られてますように俺に向かって向ってきた。


「ハルト様、急角度ではダメですよ」


そう言って必死に道を進むアリス。


「え?誰かが助けてくれたのか……?……もしかして城の方か?」


「……いえ、別に。せいぜい行きましたけど」


そう言い残し、階段を下りていくと、今度は壁に寄りかかるようにして倒れているスーが見えた。


「どうですか、空を飛んでいますよ。精霊様たちに良い感じに向かっていきますみたいですね」

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