約束
「しゃしゃり出てくるか・・・異界の魔王め・・・」
アンナの姿をしたままの『負の象徴』はその顔に嫌悪の色を浮かべる。
「狙いはこの世界か?それとも・・・」
「別に?私はただ、一人の友人として協力しているだけだけど」
グリムは不敵な笑みを浮かべる。
「ふん!そのような言葉を信用出来るとでも?貴様は『魔王』だ。必ずや世界征服を目論み、
この世界をもその手中に収めようとするであろう」
「・・・・・・」
「その『友人』という立ち位置もまた、そのための布石なのだろう?」
「・・・つまり、私がこの『亜獣人界』の最高責任者であるリンナに取り入って、『世界征服』
とやらを有利に進めようとしていると、言いたいのかしら」
グリムは依然として不敵な笑みを浮かべている。
「あれは未熟で生温い。取り入るのも、利用するのも容易であろう・・・だが!我はそうは行か
ぬぞ!この世界を、貴様に渡すわけには行かぬ!」
『負の象徴』は姿を変えていく。
「地に迷いし負の魂よ、我が言の葉に答え、その全てを我に捧げよ!」
「・・・これはこれは・・・」
大地が大きく揺れ、四方八方様々な所から黒い何かが引き寄せられるように這い出て、『負
の象徴』の元に集まり、吸収されていく。
吸収する程にその体積は膨れ上がり、建物を押し壊していく。
肥大化していく『負の象徴』を避け、一旦大きく飛び上がり退避したグリムは、その黒い何
かが結界の外からも引き寄せられている事に気が付く。
「というかこれ、結界壊れてない?」
よくよく見てみると、視認出来ていた結界が何処を見渡しても見えない。グリムは退避する
その足で状況を確認するため、人を探す。
あの場を離れてから然程時間の経っていないため、リンナとヒイカはまだ結界の出口の在っ
た場所まで辿りついていなかった。
「い、今の揺れは何ですか!?」
突然の揺れにヒイカは思わずリンナの腰にしがみ付く。リンナは怖がるヒイカの頭を撫でな
がら、冷静に辺りを見渡す。
「・・・集めてるみたいですね・・・」
黒い何かが『負の象徴』の居た方へ向かっている事に気が付き、状況を察する。
「リンナ!」
「グリムさん!」
建物の屋根を伝って移動していたグリムが降りてくる。
「結界が無くなってるみたいなんだけど」
その報告にリンナは大した驚きも見せなかった。
「そうですか」
「それだけ?いいの?」
「ええ。『負の象徴』は今、この地に沁み込んでいる負の力を吸い上げているのでしょう」
「どうする?」
「吸わせるだけ吸わせて下さい。そうすれば、この世界の人々が持つ負の感情が弱められ、一
時的ですが、皆ポジティブになることができます。『負の象徴』は吸った分だけ力を増す事に
なりますが、グリムさんなら大丈夫でしょう」
リンナは淡々と述べる。
「人事だと思って・・・随分と信用されてるのね」
「ええ、もちろん。何と言ったって『魔王様』ですもんね」
「ふふふ・・・」
「うふふふふ・・・」
互いに不敵な笑みを浮かべる。それを傍で見ていたヒイカはその場の空気に異様な恐怖を覚
え、後ずさる。
「あら、すいませんヒイカさん。大丈夫ですから、避難しましょう」
「・・・は・・・はい・・・・・・」
「それでは、失礼しますね」
「わわっ!?」
リンナはヒイカを抱きかかえ、背中に翼を創造し、飛び去って行く。
「はぁ・・・利用されてるのはどっちなんだか・・・」
吸収し終わったようで、あちこちに見られた黒い何かが消えている。肝心の『負の象徴』は
というと、驚くほど大きくなっていた。姿は真っ黒で不定形。その身からは激しい負の気がひ
しひしと伝わってきて、胸糞悪い。
グリムはある程度の距離まで近づき、会話を試みる。
「準備はできたかしら?」
・・・・・・。答えは返ってこない。真っ黒で巨大な塊となったそれの一部から枝の様なものが真
上に向かって生え、大きな手の形を取る。
あれが振り下ろされてくるだろう事は容易に予測できた。案の定、大きな腕はグーの形とな
り、振り下ろされてくる。
「まあ、お試しお試し」
グリムは避けずに頭上で両腕をクロスさせ、受け止める体勢を取る。魔法等一切なし、力づ
くでの真っ向勝負だ。
グリムは予定通りに振り下ろされた大きな拳を頭上で受け止める。だが、
「ぐぐぐ・・・これ・・・は・・・思ったよりも・・・ダメかも・・・」
次第に押しつぶされて行き、遂には膝を突いてしまう。流石に力比べは分が悪いと判断した
グリムは、足元と頭上に魔法陣を展開する。そして下の魔法陣から数本の鎖を召喚し、上の魔
法陣に繋ぐ。上の魔法陣により、それらを硬化させて即席のテーブルを作り上げる。手に入れ
た一瞬の自由を生かし、地面を蹴って拳の下から一気に脱出した。作られたテーブルは直ぐに
潰されてしまった。
「ふー。危ない危ない・・・流石に魔法無しじゃあきつかったわ・・・ね!?」
体勢を整える暇も無く、いつの間にか生えていた別の腕が襲い掛かってくる。それを後ろに
飛んで避けるが、次々と生えてくる腕が引っ切り無しに降り注いでくる。縦横無尽に隙間を縫
い、避け続けるが、このままでは埒が明きそうに無い。
「全く、もう!」
グリムは左手で右肩に触れ、魔力を込める。すると、左手から二本の鎖が伸び、右腕を交差
しながら巻きついていく。そして、手の平までやってきた二本の鎖を握る。
一度足を止め、向かってくる巨大な拳に向かって鎖の巻きついた右腕を引いて構える。
「術式・抗」
グリムの右腕に巻きついた鎖が真っ白な光を放ち、その光が右腕を覆う。
「リザルヴ・ライト!」
互いの拳が正面からぶつかり合う。
グリムの右腕を覆っていた白い光が巨大な黒い拳をも包み込んで行く。そして、光に包まれ
た部分からボロボロと分解されていくように崩れ去って行く。
『負の象徴』は光が本体に達する前にその腕を切り離した。
「グウウ・・・オノレ・・・コノヨウナチカラヲ・・・」
『負の象徴』の声が大気を震わせながら重々しく響き渡る。
「あら、喋れるんじゃない」
グリムはまたも不敵な笑みを浮かべ始める。
「オマエハ、ダマレ!」
何本もの巨大な腕が、数え切れないほどの細かな針の形に分かたれ、あらゆる方向からグリ
ムを串刺しにせんと襲い掛かる。
「アンチ・チェイン!」
足元に展開した魔法陣からまたも白い光を纏った鎖が召喚され、半球状に隙間無く組み上が
る。その半球に突き刺さった無数の針は先程と同じように分解されていく。
「オノレェェェ!」
『負の象徴』は光に侵食される前に全ての腕を切り離さざる終えなかった。切り離された腕
は五秒と立たずに全て分解されてしまう。
次第に解かれていく半球の中から、不敵な笑みを浮かべたグリムの顔が見えてくる。
「あら~?少しばかり、縮んだんじゃない?」
未だに巨大である事には変わり無いのだが、明らかに小さくなった事が見て取れる。
「キミョウナジュツヲツカイオッテ・・・」
「・・・先に言って置くけど・・・もう、あなたは私には勝てないわよ」
グリムは見下すような目で『負の象徴』を見つめる。
「あなたが私に対し、最初に振るった拳。それを受け止めた時、あなたを形成しているモノを
解析させてもらったわ」
「・・・・・・」
「解析さえ出来てしまえば、後はそれを分解する術式を構築すればいいだけ。だからもう、あ
なたは私に直接触れるような真似は出来ない。対抗できる術は・・・」
『負の象徴』は再び腕を形成し、足元にある建物や豊富に転がっている瓦礫を次から次へと
持ち上げていく。
「そう、その他の物質による攻撃」
『負の象徴』は瓦礫を次々に勢い良く投げ付ける。グリムは向かってくる瓦礫を足場に、軽
やかに飛び移りながら距離を詰めて行く。『負の象徴』は目の前に飛び出してきたグリムに大
きな瓦礫を武器のように振るい、応戦する。対するグリムは空中で魔法陣を展開させ、自分の
身の丈よりも太そうな、極太の鎖を取り出して円を描くように一周させる。振るわれた瓦礫は
鎖に受け止められて届かない。グリムは自身の取り出した鎖を更なる足場にして『負の象徴』
の真上に飛び出した。
「開き注げ、従順なる白鎖の陣!」
『負の象徴』の頭上、グリムの真下に巨大な魔法陣が展開される。その陣から先程の巨大で
今度は真っ白な極太の鎖が何本も伸び、真っ直ぐだけでなく斜めなど、不規則に伸びて地面に
突き刺さった。
「ナニヲ・・・シヨウトイウノダ」
その鎖は一本たりとも『負の象徴』に当たらず、囲み込むように張られている。地面に溶け
込んで逃げようと思うも、いつの間にか足元にも魔法陣が張られている。鎖をどうにかしよう
にも、先程のように分解される恐れがあり、その白さが余計に危機感を駆り立てて身動きがと
れなくなてしまう。
「・・・モハヤ、コレマデ・・・トイウコトカ・・・・・・」
敗北を察する。『負の象徴』にはもう成す術が無かった。出来る事と言えば、頭上の巨大な
魔法陣の上に立ち、こちらを見下すグリムに言葉を投げ掛ける事だけだった。
「・・・『マオウ・グリム』ヨ、セカイヲテニイレ、ナントスル」
グリムもまた、『負の象徴』が戦意を失っている事を察し、問に答える。
「私個人の考えとして、世界を手に入れる事には、何の意味も無い」
「・・・ソレデモ、モトムルカ」
「ええ、勿論」
「ナゼダ?」
グリムは不敵に笑い、答える。
「私が『魔王』だから」
その答えと共に、『負の象徴』を囲んでいる真っ白な鎖が一斉に動き出す。
平行に展開された上の魔法陣と下の魔法陣が逆の方向に回転を始め、捻られた鎖が次第に中
央に集まってくる。鎖に触れた『負の象徴』の一部はあっという間に分解されてしまった。
「ヤハリ・・・ナ」
鎖は止まる事無く集束し続け、分解して行く。『負の象徴』はただ、消えるのを待つことし
か出来なかった。
鎖が捻じ切られた時には、とても小さな、ほんの一部分しか残っていなかった。魔法陣は消
え、自分よりも何十倍も大きなグリムと対峙する。
「・・・ケサヌノカ・・・」
「一応、こうする事が、あの子の望みだからね」
グリムは極めて小さくなった『負の象徴』に、リンナから託されたお札を貼り付ける。する
と、お札からは温かな光が出てきて、『負の象徴』を包み込んだ。そしてそのまま大地に沈ん
で行く。
「また、一眠りしようぞ・・・次こそは・・・我が・・・・・・」
「お疲れ様でした、グリムさん」
育みの里の応接室で一息をつく。そこに子供たちの姿は無かった。居るのはリンナと『育み
の象徴』インフォルマ、そしてカナエルの三人だけだった。
「まあ、大したこと無かったわね。それで、子供とその他は?」
「休憩室。取り憑かれてた女は病室」
「その他の憑かれてた人たちは?」
「回収中。直に全員病院に運ばれて、御祓いが施された後、病室に移される」
声に抑揚無く、インフォルマが淡々と答える。いつものように本を読み耽っていたカナエル
が本を閉じる。そのパタンという音に反応して三人はカナエルの方を向く。
「本題、いいかしら?」
カナエルは普段、天使界の大聖堂に住んでいて外に出て来る事は殆ど無い。余程暇を持て余
しているか、重要な用事がある時ぐらいしか出て来ない。ましてや、ここは天使界ですらない。
余程の用事があることは確かだった。
その事を良く理解しているこの三人には心当たりがあった。
「サギエル、そしてラキエルの二人についての事よ」
「お二人の事、どうなさるおつもりですか?」
「・・・一先ず、サギエルに関しては、咎める事は無いわ。ラキエルの事に関しては・・・直接本人
と対話をしたいのだけど・・・」
「案内いたしましょう」
『負の象徴』に取り憑かれた者は、その魂の内側に「負の断片」を埋め込まれてしまう。そ
れはお札では取り除く事が出来ず、そのまま残しておくと、突然暴れだして周りの人や物を襲
ったり破壊したりしてしまう。そのため、医術士たちによる「御祓い」が必要になる。
だがこれは、今回が初めての試みだった。世界同士が繋がる前は、長い時間を掛けて少しず
つ自然に抜けていくのを待つしかなかった。しかし世界が繋がり、魂の事に詳しい死神族や、
様々な効果を持つ魔法が扱える魔獣族らの協力が得られるようになった事により、念願とも言
える「御祓い」という医術を生み出す事ができたのだ。
「象徴大戦」と呼ばれている戦は、世界が繋がってからは初めてだった。これまで「御祓い」
は治療ではなく、精神を患った者に施すような精神医療として施されてきていた。そのため、
今回の「御祓い」はこれまでとは違い、死神族が患者の魂を抜き取り、魂に直接「御祓い」を
施すという、傍から見れば怪しい儀式でも行っているかの様な形で行われた。
御祓いを終えたサギエルは病室に移され、眠っていた。その傍にラキエルはいた。じっと眠
るサギエルを見つめながら、一人、何かを考え込んでいた。
「あなたが、ラキエルね?」
真っ黒な翼を持つ小柄な天使族の女性が突然入って来る。
「私はカナエル。あなたにお話があるのだけれど、いい?」
「カナエル・・・!」
その名前は聞いた事があった。聞いた場所はそう、学校だ。史学の授業で出てきた人物だ。
ん?つまり、歴史に刻まれるほどの人物?それって・・・。その女性が相当な偉い人だと言う事に
直ぐに気が付いた。それによりガチガチになってしまう。
「あ、は・・・はい!」
「・・・そんなに固くならないで。冷静にお話がしたいから」
カナエルの表情はとても冷たかった。その冷たさはラキエルがこれからされるだろう話の内
容を察する程だった。ラキエルは平静に成らざるを得なかった。
その様子を見て取ったカナエルは話を始める。
「さて、まずは・・・そうね。私は、あなたの事を知っているわ。過去に何があったのかも、あな
たの持つ『力』についても」
「・・・はい」
「そして、あなたの決意も」
「!!」
自分のした決意、それがもう伝わったのだろうか。それにしても早すぎる気がする。
「何も、驚く事はないわ。あなただけに『力』があるわけではない事くらい分かるでしょう?」
「す、すいません」
エフンッと咳払いをして、カナエルは本題を切り出す。
「単刀直入に言うわね。ラキエル、あなたにはこれから、私の監視下で生活してもらって、そ
こで様々な教育を受けてもらうわ」
「・・・・・・罰・・・は・・・」
「罰?刑罰の事かしら?そうね、『刑罰』という括りに相当するものは無いわね。その代わり、
と言うのも変だけれど、基本的に自由に外出する事は出来なくなるわね」
ラキエルはもっと厳しい刑罰を受けるものだと思い、心の準備をしていたのだが・・・言っては
何だが、拍子抜けしてしまった。
「・・・・・・」
「思ってたのと違う・・・と言った所かしら。まあ、刑罰をお望みなら与えてあげてもいいのだけ
れど・・・いる?」
ラキエルは激しく首を横に振る。
「ですが・・・本当にいいのでしょうか・・・」
「いいのよ。あなたは自分のした事を十分に反省しているみたいだしね。だから、今のあなた
に必要なのは刑罰ではなく、二度と間違わないための教育だと判断したのよ」
カナエルの表情は冷たいままなのだが、ラキエルはどこか温かさを感じていた。
「さて、直ぐにでも連れて行きたいのだけれど、いいかしら?」
「・・・はい、よろしくお願いします」
特に準備するような荷物も無いし、出来るだけ早く出発したかったため、直ぐに了承した。
しかし、少し遅かったようだ。
「ラキエル!」
会いたくなかった三人が来てしまったのだ。
「皆さん・・・」
「もう・・・行っちゃうの・・・?」
場の雰囲気で察したのか、ハワーは不安そうにしている。
「はい」
「・・・どこに行くんですか?」
「天使界の大聖堂よ。そこで教育を受けてもらうだけだから、安心して」
「それは・・・自由に会えるんすか?」
「無理ね」
「期限は?」
「無期。私が良いと判断できるまで、になるわね」
「それじゃあ・・・」
実質、お別れの様なものだった。出会って半年も経っていない。それでも、掛け替えの無い
大切な友達である事には変わりない。それは三人にとっても、ラキエルにとっても同じだった。
だからこそ会いたくなかったのだ。会えば必ず辛くなる事は分かりきっていたから。
「ラキエル・・・もう、お前に何を言っても無駄なんだろうな・・・。お前の事だ、相当悩んで決め
た事なんだろう?」
「・・・はい」
「じゃあもう、あたしもわがままは言わん・・・言いたくない・・・言っちゃいけない・・・でも・・・そ
れでも・・・!」
バンリの目に溜まる涙は今にも溢れ、こぼれてしまいそうだ。バンリは寸前に袖で拭った。
「ラキエルちゃん!」
「お、おい!まだあたしの話は終わって・・・」
バンリの言葉を遮り、感極まったハワーが割り込む。
「いやだ!いやだよお!わたしはもっと・・・もっともっとみんなそろって、あそんだり、べんき
ょうしたり、おはなししたり・・・いっぱいしたいよ・・・」
抱きつき、涙を流すハワーを優しく抱きしめる。
「ごめんなさい、ハワーさん・・・。私も皆さんと今までのように、楽しい日々を過ごしたいと思
っています。ですが私は・・・救われたいのです・・・」
「ラキエル・・・」
「お父さんもお母さんも殺してしまったと言うのに・・・何の罰も受けないままというのは、正直
辛く思っていました。それでも、今まで私は自分の罪に向き合えず、逃げ続けてきました・・・。
そのせいで、人の人生を狂わせてしまったり・・・大切な人を危険な目に会わせてしまったり・・・。
ですが、ようやく自分の罪に向き合う決心がついたんです」
ラキエルはヒイカを見て頷く。
「私は、この力を正しく使えるようになって、これからは大勢の人たちの手助けとなるような、
この力に誇りを持てるようになりたいんです!」
「ラキエルさん・・・!」
そう言ったラキエルの眼には決意の色が色濃く見受けられた。その眼を見たハワーはラキエ
ルの想いを汲んでくれたのだろう、抱きつく腕を放した。
「ラキエルちゃん」
「はい、ハワーさん・・・」
「また・・・あえるよね!」
「はい。私の頑張り次第で、直ぐにでも!ですよね、カナエル様」
「ええ、その通りよ。ラキエル、あなたが友を想うなら、必死に頑張りなさい」
「はい!カナエル様!」
ラキエルは先導するカナエルの後ろを付いて歩き出す。
「ラキエル!またな!」
「ラキエルちゃん!おみやげまってるよ!」
「ラキエルさん!また直ぐに会える事、祈ってます!」
ラキエルは笑顔で返す。
「はい!行ってきます!」