想いの一振り
作戦会議を終え、四人はポンポコの方へ向き直る。
「さあ、行くぞ。さっさと我等の世界に帰るのだ。・・・エルメ!」
「ああ!」
エルメが手に持っていた玉を全て砕く。すると、エルメの周囲から大量の鎖が湧き出し、五人を内包するトンネルを形成した。
ポンポコに慌てる様子は無く、ただ静かに刀を構える。
ゼウス・ワン、エミエル、ブレイブの三人は頭上に剣を掲げ、重ね合わせる。
『煌煌・グランド・アステリスク!!』
トンネルの大きさギリギリの星が撃ち出され、眩い光を放ちながらポンポコへ迫っていく。
視界は利かずとも、ポンポコは斬撃を飛ばし、星を迎撃する。斬撃を受けた星は激しい光をしばしの間撒き散らし、収まると大きな変化が起こっていた。
トンネルを形成していた鎖が真っ赤に染まっていたのだ。
「これは・・・!」
如何にも攻撃的な色。この鎖自体も攻撃に使用されるだろうことは考えるまでもなかった。
「我が・・・信念の名の元に!」
「我が信念の名の元に」
エミエルとブレイブは縦に並び、渾身の力を込めてそれぞれ大きな十字を生成する。
エルメは管を一本腰から抜き、砕いて発動した魔法をゼウス・ワンの持つ光の剣に向ける。
「とっておきの奴だからね!ちゃんとキメてよ!」
「無論だ」
「エンチャント・フォース・・・コード・Σ!」
ゼウス・ワンは魔法のかけられたその剣を天高く掲げる。
「これが・・・強化天使である我が、強化獣人に一矢報いる事ができる最後の機会・・・一人の力で成せずとも、束ねた力で成せられればそれで良し!共に方を並べる者たちの存在もまた、己が力の一つと知り得た故に!」
ゼウス・ワンの持つ光の剣の形状が不安定になり、次第に長く、大きくなり、やがて赤い鎖を貫く。すると、光の剣が徐々に赤い鎖を吸収し始め、赤く染まっていく。
「行くぞ!これが我の!我等のおおおおお!!」
放たれた剣は、並び設置されていた十字と合わさり、重なる。そしてトンネルを形成していた赤い鎖をどんどん取り込みながら、どんどん星は赤く、輝きを増していく。
『赫焉・グランド・アステリスク・スクエア』
その赤い星が迫りながら、内包するエネルギーを加速度的に高めていることは明らかだった。
だから、ただ単純にあの星を迎撃し、破壊するようなことをしてしまえば、内包されたエネルギーが炸裂、周辺一帯を巻き込んでの大爆発を引き起こすことになるだろう。
「この状況を打破するためには、ただ壊すだけじゃだめ・・・。必要なのは、破壊した上で溢れ出すエネルギーをも纏めて吹き飛ばす圧倒的な火力!」
赤い星はもう、すぐそこ。
「やらなきゃ、終わり。できなきゃ、みんなが傷付く・・・・・・」
言い聞かせ、目を閉じる。
深く、深く、意識が己の中に沈んでいく。
星は、眼前。
『境地』
星の動きが、四人の動きが、世界が制止する。
その中でただ一人、ポンポコは静かに刀を振り上げる。
「奥義」
そしてゆっくりと目を開き、刀を振り下ろす。
『一刀滅断』
風が吹いた。
風が四人の全身を駆け抜け、悟る。
「向こうで会おう!」
「ああ!」
「はい!」
「はい」
次の瞬間、放射状に何処までも広がっていく極大の斬撃が、星もろとも四人を飲み込んだ。
ただ一人となった世界で、ポンポコは空を見上げていた。
「私はもう、大丈夫だよ・・・ありがとう・・・・・・」




