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黒翼のカナエル  作者: 氷花
プロト・ゼウス編
235/240

vsポンポコ

「我が信念は・・・・・・『己が真の役目を知り、見出し、それを果たす』ことなり!エミエル!」

「はい、共に!」

「オーバー・ドライブ!!」

 ゼウス・ワンとエミエルが大天使の力を発現し、翼が四枚になる。

「じゃあ僕は後方から支援させてもらうよ」

「ああ、お前の鬱陶しさ、頼りにしているぞ」

「相手が相手だし、あんまり期待しないでよ」

 エミエルは片目を抑え、小さくぶつぶつと呪文を唱える。

「『先見の眼』・・・・・・よし、おっけー。やれるだけはやってみるけどね」

「うむ。エミエル、ブレイブ・・・行くぞ!」

 それぞれが剣を構え、ポンポコへと向かう。

 その中からブレイブが抜け出し、再び先陣を斬って剣を振るう。それを受け止めたポンポコの両側から二人が斬りかかる。だが姿が消え、再び視界に捉えた時には既に刀を振るっていた。放たれた斬撃をかわし、エミエルが向かう。ポンポコは攻撃を受け止めるふりをしつつも瞬時にかわして回り込み振るうが、ブレイブが受け止め、そこへゼウス・ワンが攻撃を仕掛けるも、やはり姿が消える。その背後から迫る刀をエミエルが対処する。そして、

「輝輝・閃光!」

 エミエルが翼から凄まじい光を放ち、周囲が真っ白に染まる。

「んっ!!」

 突然の強い光にポンポコが一瞬怯む。

 その隙に上空へ移動していた二人が互いの剣を重ね合わせる。

「煌煌・グランド・クロス!」

 巨大な十字が強い光を放ちながら撃ち降ろされ、そのまま着弾、一層激しい光を撒き散らした。

 やがて光が収まると、周辺のどこにもポンポコの姿が見当たらない。

「何処だ・・・また誰かの背後から・・・」

 ゼウス・ワン、エミエル、ブレイブはお互いを警戒しあう。

 すると、離れた場所で見守っていたエルメが大声を上げる。

「三人とも固まって!」

 そう言いつつ用意していた玉を一つ砕く。

 身を寄せていた三人の周囲に大量の鎖が現れて覆い隠した。その瞬間、鎖に何かが打ち付ける音が無数に鳴り響いた。

「攻撃か!?」

「全方位からこの量・・・この鎖が無ければ防ぎきれませんでしたね・・・」

 何とか防ぎきれた事にエルメが少し安堵したその時、

「いい『眼』してるね」

「!!」

 ポンポコが耳元で囁いていた。直後に振るわれた刀こそかわすが、

(かわしきれない!防ぎきれるか・・・!)

 咄嗟に鎖で高密度の盾を編み込む。

 ポンポコは一瞬構えを取り、振るう。

「波刃」

 振るわれると同時に、白い流動体が噴き出し、エルメをあっという間に飲み込んだ。

 鎖が消え、解放された三人は、倒れているエルメに気が付く。

「エルメさん!大丈夫ですか!?」

「いったいなあもう・・・普通の刀振って出せる技じゃないって・・・」

 痛みに顔を歪ませながらぼやいている。

「その『眼』未来を見てる訳じゃないみたいだね。恐らく、身体や筋肉の動きから相手の動きを予測し、『力』の流れから攻撃の威力や方向を割り出しているってところかな」

 エルメは深い溜め息を吐く。

「そうだよ・・・その通りだよ!これはただの『視力強化』。だから視界内のものしか見えないんだよね・・・こんなあっと言う間にバレるなんてほんっっっと厄介!この『眼』やーめた!!」

 悔しそうに、駄々でもこねるかのように声をあげつつ『眼』を解除する。

「いいのですか?」

「いいんだよ。あちらさん、動きが見えたところで、予測しようも無い攻撃してくるし。だったらむしろ、見えてるほうが変な先入観が生まれて危険だし、魔力の消耗も馬鹿にならないし」

 ゆっくりと立ち上がるが、やはり向こうから攻めてくる様子はない。それどころか、こちらの様子を伺いながら、次はどんな手でくるのかと、楽しそうにしているようにも見える。

「『眼』で見てて思ったけど、あちらさん、動きも技も普通じゃないね。『眼』でも捉えきれない速度に変幻自在の斬撃・・・これらにどう対応するかだけど・・・・・・やっぱり、この広すぎる空間をどうにかしないとだね。あの速度で縦横無尽に動き回られたら、こっちの攻撃なんて当たりゃあしないよ」

「相手の動ける範囲を制限する必要があるということだな」

「ですが、どのように?」

 エルメは袋から玉を幾つか取り出す。

「鎖を出せるやつはもうこれだけか・・・」

「成程、鎖でこちらに優位な空間を創るのですね」

「破壊される恐れは?」

「破壊はされるだろうね。でも、これ全部使って密度を高めれば、そう簡単には突破されないはず・・・」

「となると、チャンスは一度だけ、か・・・」

「どうような形にするかが重要ですね」

「こっちがどう戦っていくかもね」

 恐らく、ポンポコを満足させられる可能性があるとすれば、これが最後の機会だろう。そのことは言葉にせずとも四人には理解できていた。

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