攻撃特化型
「ブレイブ、まずはお前の力を見せてもらうぞ」
「はい、かしこまりました」
ゼウス・ワンの指示を受け、ブレイブが先陣を斬る。剣先をポンポコに向けて宣戦布告を行った後、構え、踏み出す。真正面から堂々と向かって剣を振るい、打ち合いが始まる。
ブレイブの剣の腕は大したもので、凄まじい攻撃速度でポンポコを次第に押し込んでいく。一見、ブレイブの方が優勢のように思えるが、当のポンポコに焦りの色は無く、全ての攻撃を的確に捌き、一撃たりとも掠りもさせていない。
「あの方、全く本気では無さそうですが、あの猛攻をあのような涼しい顔で捌いて見せるとは・・・相当な手練ですね」
「当然だ。奴はNo.06。強化獣人の中でも特に強い力を持つ一桁台の者たちの中でも、たった二人しかいない攻撃特化型の強化獣人だからな。能力抜きでも一体どれ程の身体能力を有していることか・・・」
「ブレイブだってまだまだ本気じゃないだろうし、ここからだね」
「瞬光」
ブレイブは更に速度を上げ、姿すら見えなくなる。側面や背面含め、縦横無尽の斬撃を放ち襲い掛かるが、ポンポコはそれらをも的確に捌いていく。ブレイブは攻撃を弾かれた勢いを利用し、一気にポンポコの真上、上空に飛び上がり、剣を振り上げ、光を集約する。
「反照・霧斬」
振り下ろすと同時に無数の細かな光の刃が放たれた。
乱れ撃たれたその多くはポンポコを逸れ、地面に着弾する。
「!!」
と同時に方向を変え、再度ポンポコに襲い掛かる。
流石にこれら全てを捌ききることはできず、次々に直撃していく。
この白紙界に設定された特性なのか、直撃を受けてもポンポコの身体に傷はついていない。だが、ダメージはあるようで、痛みに顔を歪めている。
「善戦しているようだが・・・」
「・・・だね。あちらさん、まだ全然戦いに身が入ってない感じだし、ここからどうなるかだね・・・」
その見立て通りだった。
(痛い・・・痛い・・・!きっと、戦うのが嫌な人が受けた傷や心の痛みはこんなものじゃないんだろうな・・・。私の心がもっと強くなれば・・・そんな想いをする人を少しでも減らせるのかな・・・ううん、そんなんじゃだめ!誰にもそんな想いをさせないくらい強くならなきゃ!)
突然、ポンポコの纏う空気が変化する。
「喝っ!!」
その声と共に周囲に突風が吹き荒れ、無数の刃ごと吹き飛ばした。その表情からは完全に無邪気さは消えていた。
「!・・・グランド・ク・・・」
生半可な攻撃では通用しないと直感したブレイブは十字を斬ろうとするが、
「!?」
既にポンポコの刀が眼前に迫っていた。それをギリギリでかわし、一旦距離をとろうと飛び退くが、
(後ろ!?)
背後に強い気配を感じ、咄嗟に振り返り防御体勢をとる。しかし、その瞬間に背後から首筋に一閃。ブレイブは勢いよく吹き飛ばされてしまう。
「ブレイブ!」
「う、くうう・・・」
「意識が・・・あるのか・・・」
普通なら今ので首が跳んでいただろう。だのに、倒されたわけでもなく意識も残っているとは・・・。これはブレイブが頑丈であるという訳ではないだろう。
「これは恐らく・・・」
「あえて峰で打ったってことだね」
「簡単に送るつもりはない、ということでしょうか」
ポンポコはこちらを真っ直ぐに見つめているだけで攻めてくる様子はない。
「そういうことね・・・」
「どうした、エルメ?奴について何か分かったのか?」
「いやあ、分かったって言っても、強さがどうこうじゃなくて、あちらさん、どうやらこっちが満足させられるような戦いを見せてくれるまで還す気はないってことなんだろうなってね」
「成程です」
「・・・厄介極まる・・・・・・」
ブレイブが身体を起こす。
「ブレイブ、まだ戦えるな?」
「はい、行けます」
そう言い、剣を杖代わりに立ち上がる。
「よし。・・・最早、四人で連携して戦わねば元の世界に還してもらえないだろう。元の世界にも還されず、戦う事もできない状態に一人でもされてしまえば、我々は二度と元の世界に還れないかも知れない・・・。エルメ、ブレイブ、エミエル・・・もう一瞬たりとも気を抜くな。己の持つ力の全てを出し尽くすつもりで臨むのだ!」
「はい」
「はい!」
「だね」




