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黒翼のカナエル  作者: 氷花
プロト・ゼウス編
223/240

 姉妹としての仲はずっとよくなかった。何故か?・・・何故だろう?そこに決定的な何かがあったという記憶は無いのだが、何故だか、殴り合いになるようなことこそ無かったものの、顔を合わせれば言い合いの喧嘩になり、両親から幾度となく、姉妹なんだからもうちょっと仲良くしなさいと言われたものだ。

 だが結局、姉妹の仲は改善されることなく、私は魔王グリム様の弟子となり、顔を合わせること自体無くなっていった。それからしばらくして、両親から連絡があった。ラリナがいなくなった、と。普段何処で何をしているのか誰も知らなかった。ラリナはいつも何も言わず、いつの間にか出掛け、いつの間にか帰ってきていたから。緑の毛並みという珍しい特徴をしていながら、目撃情報の一つも得られることなく、ラリナが見つかることはなかった。それから時が経ち、いつしかラリナは何者かに喰われでもしたのではということになった。

 今、そのラリナが生きて目の前にいる。しかも、見た目もあの頃と全く変わっていない、子供の姿のままで、だ。根掘り葉掘り訊きたいところだが、ラリナはそれを嫌がるだろう。そうなればまた喧嘩になってしまうかもしれない。

「・・・あなたは早く結界の中へ避難しなさい」

「!・・・訊か・・・ないの・・・?」

「話してくれるなら聴くけど?」

「・・・・・・」

「私も訊けるものなら根掘り葉掘り訊きたいけど、あなたにはあなたの事情があるんでしょ?・・・あなたももう大人。今までだってこうして生き抜いてきてるんだもの、ラリナ、あなたを信じるわ」

「お姉ちゃん・・・」

「父さんと母さんには私から言っておくわ。ラリナはちゃんと生きてて、自分の道を進んでるってね」

 その時、

「新手が来たぞー!!」

「全方位から多数!」

「総員、戦闘体勢!!」

「前の姿の子達ばかり・・・数で攻めてきたってところかな。ラリナ、早く避難しなさい!」

 しかし、一向にその場を動こうとしない。

「ラリナどうしたの?やっぱりどこか怪我をして・・・」

「違う・・・・・・私も、戦う!!」

「はああ!?戦うって、あなたにはそんな力なんて・・・」

 ラリナは逃げる事は得意だったが、戦う姿なんて見たことがなかった。

「向こうの子たちを真っ直ぐこっちに引き寄せるから対処して!」

「え・・・え?」

 そう言い、ラリナは耳をピンと立てる。

 すると、ラリナの言った通り、ラリナの向く方向にいる少女たちが真っ直ぐに向かってくる。

「パラライズ・ブレス」

 そこへすかさず、冷静に状況を見ていたヒュードがブレスを放つ。通常なら軽々とかわされてしまう攻撃だろう。しかしどう言う訳か、真っ直ぐ向かってくる少女たちは、全く回避も防御も行う素振りすら見せることなく、そのままブレスの直撃を受け、落下した。

「え、い、今のは・・・?」

「次はあっち!」

 間髪入れず、ラリナは何かを行使する。

 白翼の少女たちの動きは明らかに異常だった。あれだけ素早く飛び回れる能力を有していながら、真っ直ぐに突っ込んでくるばかりで回避も防御も攻撃も、何もしなかった。まるで操られているかのように。

 そうして、新たに現れた少女たちもあっという間に片付いてしまった。

「ふうー・・・・・・」

 ラリナは大きく溜め息を吐き、疲労からか、へたり込む。

「ラリナ・・・今のは、あなたがやったの・・・?」

 ラリナは小さく頷く。

「何の力なの?操ってるようにも見えたけど、あなたにそんな力・・・・・・って、あなたのこと、よく知ってる訳でもないけど・・・」

「・・・・・・」

 ラリナはあまり話したくなさそうで、俯いてしまう。

「はあ・・・あなたは昔から自分の事を話したがらなかったものね」

「・・・ごめんなさい」

 ラリナは絞り出すような声で謝る。相当に話したくないことなのだろう。人を、しかもあれだけの人数を同時に操ってしまうほどの力だ。知られたくないと言うのは理解できる。特にラリナだし。

 それにしても、自分のことを話したがらないのは昔とちっとも変わっていないが、自分のことを知られたくない癖にこんな戦いの場にやってきて、人前で力も使って・・・ラリナはラリナで立派に成長していたんだなあと、少し嬉しくなった。

「ラリナ、これからどうするつもりなの?・・・たまたまここだけに協力しにきたって訳でもないんでしょうし、別の場所の手伝いにも行くの?」

「・・・うん」

「そっか。・・・立派になったわね」

「・・・!」

「ラリナ、手伝ってくれてありがとう。お願いね!」

 思えば、こうしてラリナに笑顔を向けたことなんてこれまでにあっただろうか?そもそもどうして喧嘩ばかりしていたのだろう。ただ、お互いに子供だっただけなのかも。

 静かにその場を去って行くラリナに、急に伝えたくなる。

「ラリナ!・・・今まで怒ってばっかでごめんね!気が向いたらでいいからさ・・・今度、一緒にごはんでもたべようね!」

 ラリナはピタリとしばし足を止めるが、何も言わずに去って行った。

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