カリナとラリナ
特殊部隊が動けなくなっているナイトたちを次々に送り飛ばしていく。
「よし。現状、確認できている少女たちは送る事ができたな。総員、周囲の警戒に当たれ!」
隊員たちが散開していく。
一方、カリナはこの事態に必死に頭の中の整理をしていた。
「どうしてラリナが・・・?ラリナ、よね?これ・・・・・・間違いない・・・でも、ラリナは・・・・・・」
「ん~?同じ緑の狐っぽいけど、ラリナの知り合い?」
フリーミが問い掛けるが、カリナは深く考え込んでいるようで、一点を見つめ、何やらぼそぼそと呟くだけで、何の反応も示さない。
「ま、取り合えず叩き起こしちゃいましょ。クリーク」
「よし、任せておけ」
そう言い、たくましい右腕を高々と振り上げる。
「・・・はっ!ちょっ!?ま、待ってー!!」
流石に不味い状況である事に気付き、制止する。
「冗談だ」
「そーそ。幾らクリークでも、小動物相手にそんな起こし方しないって」
「・・・わ、分かり辛いですって・・・・・・」
クリークは脳筋で、普段から冗談を口にするタイプではない。本気でやると思った・・・・・・
「じゃ、ヒュード。お得意の毒でパパッとやっちゃって」
「了解」
「どどど毒!?」
ヒュードは細く鋭い針を取り出し、構える。
目覚めさせる毒?そんなものがあるのだろうか?あったとして、身体に何の影響も無いのか?・・・・・・と言うか、そもそもそんな方法で起こす必要はないんじゃない!?
「だめだめだめですって!もっと労わったやり方で起こしましょうよ!」
「冗談」
ヒュードが真顔で答える。
「な・・・・・・わ、分かり辛い・・・・・・」
思わず膝を突くカリナを見て、フリーミがケタケタと笑う。
からかうだけからかい終え、その緑の狐を介抱する。
少しして、緑の狐ラリナは目を覚ました。
「ん・・・ん・・・?」
気が付くと、目の前に見慣れない紫の毛並みをした狐がこちらを見つめていた。その小さな狐は、こちらが気が付いたことを確認すると、近くにいた誰かの元に駆け寄り、肩に跳び乗る。
その人物の毛並みには見覚えがあった。
「!?」
自分と同じ緑の毛並みでこの佇まいは・・・・・・
(お、お姉ちゃん!?)
もしや・・・まさか・・・!?・・・幸い、まだこっちには気付いていないようだ。気付かれないようにゆっくりと後ずさりしていく。しかし、
「気が付いたの?・・・って・・・・・・何処、行くつもり?」
この威圧するような言い方。変わらない。間違いなくお姉ちゃんだ。
この言い方だ、自分だと気付かれているだろう・・・・・・
「そうやって人の顔見るとこそこそと気付かれないように逃げようとする・・・変わらないわね、ラリナ!」
「!!・・・・・・お、お姉ちゃん・・・・・・」
カリナが大きく口を開ける。これは怒鳴られる。そう思い、身構える。
「・・・・・・?」
だが、中々声が落ちてこない。恐る恐る見上げると、姉はゆっくりと、大きく深呼吸をしていた。そして改めて口を開く。
「・・・怪我は、してない?」
「え・・・?」
その声色もそうだが、予想外の言葉に、言葉を失う。
よく知る姉ならば確実に怒鳴られていた。よもや、怒鳴りもせず、むしろ気遣う言葉を掛けてくるとは、こんなこと、いつ振りだろうか。顔を合わせれば喧嘩ばかりしていたし、本当に幼い頃以来かも知れない。周囲に人がいるからなのか?それとも・・・・・・
「怪我は無いのね?」
「・・・・・・うん」
そこへ三人がやってくる。
「ねーねー、やっぱりその仔、カリナの知り合い?」
「・・・妹、です」
「ほう、妹がいたのか」
「んー、今までカリナに妹がいたなんて、聞いたことなかったよね?」
「・・・・・・」
「おや?もしかして、仲悪いの?それとも・・・何かのワケありだったり?例えば・・・そう、血の繋がらない妹・・・もしくは・・・・・・はっ!隠し子!?まさかのカリナの隠し子!?娘ではなく自信の妹として育てて・・・!」
フリーミは何故か目を輝かせ、次々に勝手な妄想を垂れ流す。
「フリーミ。貴様は少し黙れ」
「む!何よ、気にならないの?今まで私たちに直隠しにしてきてたのよ?そこにはきっと、人には言えないような理由の一つや二つがあって・・・」
「・・・そうか。金棒と毒針、どちらがいい?」
「何の選択肢よ!?」
「貴様を黙らせるためのだ。遠慮せず選べ」
「選ばないわよ!」
何やら言い合いが始まってしまった。
「うっ!」
「ウッ!」
その時、二人は苦しげな声を漏らし、静かになった。
「フリーミ、クリーク。うるさい」
ヒュードに何かを言いたげな二人だったが、声が出せないらしく、必死に口をぱくぱくさせるばかり。
「カリナ。ゆっくり話をするといい」
「あ、ありがとうございます・・・ヒュードさん」
カリナとラリナは改めて向き合う。




