七魔の力
死神界。全世界一の大きさを誇る大都市を覆う結界の上でも白翼の少女たちの変化が起きていた。
ヒュードの毒により、行動不能に陥っていた白翼の少女たちは突如として光となり、集い、新たに形を成した。
「変化した」
「だが、数は減ったな」
「これで楽になるわねー・・・・・・って、そんな訳ないでしょ!毒からも回復しちゃって・・・クリーク、ヒュード!やるわよ!」
フリーミたちは油断しているのか、自信があるのか、相手の姿が変化したにも関わらず、特に警戒する事も無くさっさと行動を開始する。
もっと警戒すべきだと声を掛けようとしたカリナだったが、どうせ聞きもしないだろうと諦め、溜め息を吐いた。
「はあ~・・・私の存在意義って・・・・・・」
「カリナ、せめてフォローするでしゅ」
「ん・・・そうね、スターシャ。今はとりあえずできそうなことをしなきゃね」
「あの!すみません!」
その時、背後からぞろぞろと武装した者たちがやってきた。
「育みの里より派遣されました、特殊部隊の者です!ご協力お願いします!」
特殊部隊の隊長と思われる人物が目的を説明する。
「了解しました。・・・あの三人にも伝えないとね・・・」
クリークが七魔としての力である、対象の重量の変化を及ぼさんと手をかざす。
ナイトたちは危険を察知したのか、一斉に散開し、四方八方からクリークへ迫る。それをフリーミとヒュードが半球状の障壁を展開し、弾き返す。
「うっわー、速いわねー」
「動きも違う」
「どう変わろうが、やる事は変わらん!フリーミ!降らせるぞ!」
「あれね?分かってるわよっと!他の連中はちょっと離れてなさいよ!」
フリーミが空に向かって手をかざす。
「サンニイイチで行くわよ?」
クリークも同様に手をかざす。
「サン、ニイ、イチ!」
「落ちろ!!」
「「メガヘイルストーム!!」」
突如、空から無数の巨大な氷の塊が降り注いだ。
ナイトたちは降り注ぐ氷塊の隙間を縫っての回避を試みるも、かわし切れずに直撃を受け、結界上に氷塊共々叩きつけられた。
「す、すげえ・・・」
フリーミが空に無数の小さな雹を生成し、七魔としての力「大きさを変化させる力」で巨大化させると同時に、クリークの力で重量を変化させて威力を極限まで高める。二人の七魔による豪快で強力な技を目の当たりにし、特殊部隊の面々は感嘆の声を漏らす。
一方、カリナは顔を引きつらせていた。
「ちょ・・・ちょっとちょっとちょっとー!!」
カリナはそこら中にごろごろと転がる氷塊の間を縫い、クリークたちの元へ駆け寄る。
「あ、カリナ。どうよ!」
「どうだ」
してやったりと自信満々に胸を張る二人。
「どうよ!じゃないですってば!!こんなことして、結界が壊れたらどうするんですかあ!?」
この結界の下には全世界一の大都市があり、非常にたくさんの人々がいるのである。もしも氷塊が結界を突き抜けてしまっていたら・・・・・・大惨事という言葉すら生温いことになっていたことだろう。
その事実を突きつけても二人の表情は悪びれない。
「だってアポロネアが造った結界だよ?大丈夫大丈夫、壊れないって!」
「あいつの作るものはどれも腹が立つほど出来がいい。むしろ壊してやって文句の一つでも言ってやりたかったくらいだ」
全く反省の色を見せない二人に、カリナは呆れると同時に諦め、大きな溜め息を吐いた。
「はあ~・・・・・・あれ?ヒュードさんは?」
ふと見回してみると、ヒュードの姿が見当たらない。
「さあ?さっきまでいたけど・・・」
すると、ヒュードが何処からか音も無く姿を現した。
「もう、何処行ってたの?」
「あの者たちに再度毒を撃ち込み、向こうに集めておいた」
そう言って指を差す。
「さっすが仕事人!」
「それと・・・これも拾った」
そうヒュードが差し出したのは、動物・・・緑の毛並みを持つ狐だった。
「巻き込まれたらしい。気を失っている」
「・・・!?」
カリナはその狐をまじまじと見つめると、驚き、目を見開いた。
「ま、まさか・・・・・・ラ、ラリナ!?」




