不甲斐無い!
メアトリスは倒れる事こそしなかったが、胴体に大きく刻まれた傷口から出血していた。
「チッ・・・中々やるじゃねえか・・・」
「あ、姉上!?」
「騒ぐな!自分の事に集中しろ!」
「じ、じゃが血が・・・」
「くるぞ!」
ナイト二人が挟み込むように向かってくる。
メルリアは翼を顕現させ、メアトリスを包み込む。
「わしが護るのじゃ!」
「メル、お前・・・!」
ナイトたちの光の剣がメルリアの翼を切り刻んでいく。
「ぐ・・・ぐぬぅ・・・!」
「メル!お前まで傷を負ってどうする!?」
「あ、安心するのじゃ・・・!わしは打たれ強いからのう!ふふふ・・・」
メルリアは汗を滲ませながらも、必死に笑ってみせる。
「強がりやがって・・・全く、情けないことだ・・・!」
こんな傷を負わされ、妹にまで護ってもらうとは・・・
「竜王様ー!メルリア様ー!」
「む?この声は・・・姉上!皆が助けにきてくれたようじゃぞ!」
防戦一方の二人の元へ、特殊部隊と、結界内に待機していた大勢の人々が集い、二人を護る体勢を取る。
「お二人共!ご無事ですか!?」
「すまぬ。わしは大したことはないが、姉上は出血しておる。誰か、治療をお願いするのじゃ」
「それなら私が!」
一人の女性が魔法を使用し、傷の治療を開始する。
「傷の程度はどうなのじゃ?」
「幸い、深くはないようです。これならば直ぐに止血できそうです」
「うむ、頼むのじゃ」
「はい!お任せ下さい!」
メルリアはメアトリスの様子を確認すると立ち上がり、戦いの場へ戻って行く。
「皆、すまぬ!助かったのじゃ!あ奴等はとんでもなくすばしっこい・・・どうか、皆の力を貸して欲しいのじゃ!」
「はい!もちろんです!メルリア様!」
「目的は特殊部隊の持っておるあの武器をあ奴等に当てることじゃ。皆でその隙を作ろうぞ!」
「おおー!!」
メルリアが皆を纏め立ち向かっている。
(だというのに俺は・・・竜王っつー立場でありながらこの体たらく・・・!!)
メアトリスは歯を食いしばる。あまりの情けなさ、不甲斐無さに思わず身体に力が入る。
「竜王様、いけません!力んでは傷口が開いてしまいます!」
「!・・・悪い・・・・・・(何をしているんだ俺は・・・俺は竜王だぞ?竜たちの頭で、この大社を取り纏めているんだぞ?冷静さを失うな!・・・考えるんだ・・・俺にできることを・・・!)」
二人のナイトに対し、大勢で向かって行く。相変わらずの速さで攻撃をかわし続けるナイトたちだが、明らかに反撃を行う頻度が減っていた。
「もう一押しと言ったところじゃな。・・・うむ。となれば、今こそこれを使う時であろう!」
メルリアは小袋を取り出すと、その中から一つ選び、手に取る。
「セイムよ、お主の魔法・・・借りるぞ!フォルムバール・フェアシュテルカ!」
丸い玉を握り潰すと、メルリアの周囲に魔力の帯が漂い始めた。
(二人同時には無理じゃ・・・まずは確実に一人を狙うのじゃ!)
メルリアは片方に標的を絞り、準備をしつつ、機を伺う。
狙い所は反撃のために動きを止めるその一瞬。
ある者が仕掛け、ナイトがかわす。そこへ直ぐにまた別の者が仕掛け、それをまたナイトがかわす。かわす、かわす、かわし、少し距離を取って攻撃の構えを取る。
「今じゃ!」
一気に魔力を込めてナイトの周囲に大量の帯を作り出し、見事にナイトの一人を取り囲む。更に帯を重ねて行き、直ぐには出られないよう分厚く補強する。
「皆よ、今からあ奴を叩き落す!フォローを頼むのじゃ!」
メルリアは飛び上がり、ナイトの一人を包み込んでいる帯の塊の上空へ移動する。
「行くぞ!」
一気に降下し、目一杯に引いた右腕を打ち出すと同時に顕現させる。
もう一人のナイトが妨害を試みるが、阻まれ、届かない。
「真・竜拳!!」
メルリアの巨大な拳が帯の塊を捉え、そのまま地面まで一直線。帯の炸裂も相俟って、大量の砂埃を巻き上げた。
メルリアが翼を羽ばたかせて砂埃を払うと、ナイトは伸びていた。
「お主等!」
「はい!只今!」
特殊部隊の数人がやってきて伸びているナイトに武器をあてがう。すると、そのナイトはその場から消えてしまった。
「ふう。これでよいのじゃな?」
「はい、そうです!」
「うむ。では後一人じゃ!」




