表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒翼のカナエル  作者: 氷花
プロト・ゼウス編
216/240

エミエル

「取り引きだと?・・・ハッ!貴様にそんな権利があると思っているのか?」

「・・・・・・」

 その少女は鋭い目付きでゼウス・ワンを見つめる。

「・・・ほう?貴様がそんな眼をするとはな。・・・いいだろう、一応、聞いてやる」

「・・・全ての強化天使を撤収させて下さい。そうして下されば、この方を渡します」

「そうか。確かに、そいつさえ手に入れば、世界全体を攻撃する必要は無くなるな」

「でしたら・・・」

 しかし、ゼウス・ワンは何故か突然、大声で笑い出した。

「ハーッハッハッハッハ!!・・・断る!!」

「何故!?」

「貴様は自分の事を何も分かっていないようだな?貴様も他の強化天使同様、我が配下として操ることができるんだよ!」

「!?」

 ゼウス・ワンはその少女に向かって手をかざす。

「プロト・ゼウスよ。そいつを我が元まで連れて来い!」

「・・・!」

 その命令に対し、程なくして少女の身体が動き始める。

 ミーニを脇に抱え、空中のゼウス・ワンの元まで運んで行く。

「漸くこの時が来たな。ミーニよ、お前とて大好きな世界を己のせいで歪ませたくはないだろう?だがらここで終わりにしてやろう。・・・そんな心配などしなくていいようになあ!!」

 ゼウス・ワンは光の剣を手にし、ミーニに向かって振り下ろす。

 しかし、

「何!?」

 ミーニは光の剣を受け止める。

「こいつ・・・抵抗するか!!」

 ゼウス・ワンは少し距離を取り、無数の光の槍を、プロト・ゼウス諸共滅さんとするが如く、次々と撃ち込み続けた。

 だが、ミーニはその全てを防ぎ切っていた。時の力を一切使うことなく、ただの障壁のみで。

 それは有り得ないことだった。時の兎は強力な時の力を有する代わりに、持ち得る魔力の量は極めて少ないのだ。なのにも関わらず、『この』ミーニはあれだけの攻撃を、しかも自分だけでなくプロト・ゼウスをも傷つける事無く防ぎ切って見せたのだ。

「貴様・・・ミーニではないな!?何者だ!!」

「・・・・・・」

 その生物は俯いたまま何も答えようとしない。

「おのれ!プロト・ゼウス!そいつを始末しろ!」

 その命令にプロト・ゼウスの身体が一瞬、ピクリと反応するが、直ぐに動きを止めてしまう。

「どうした!そいつを殺せと言っているんだ!!」

 幾ら怒鳴ろうとも、プロト・ゼウスは目を閉じたまま動かない。それどころか、口角が上がっている事に気が付いた。

「な、に・・・?貴様、笑って・・・いるのか・・・?」

 歴代のプロト・ゼウスの中にも、感情を見せた個体は存在しなかったはず・・・となればこいつも

「貴様も偽者か!?」

 偽者と揶揄され、その少女はより鮮明に微笑を浮かべる。

「偽者・・・そうかも知れませんね・・・・・・」

「やはりか!貴様も何者だ!」

「ありがとうございました。私はもう、大丈夫です」

 少女は抱えていたミーニを手放す。ミーニは空中からゆっくりと落下し、着地する。

「私は・・・私の名は、エミエル。・・・友達はそう呼んでくれます!」

「エミエル?・・・・・・そんな名の者など、データには・・・・・・」

「ゼウス・ワン・・・共に元の世界へ還りましょう!」

「!!やはりお前はプロト・ゼウスなのか・・・?どういうことだ・・・ならば何故命令に従わん!?何かされたのか?・・・・・・ええい!最早どうだろうと構わん!邪魔しようと言うのならば、誰であろうと打ち倒すのみ!ゼウス・ナイト!お前はあの屋敷を覆う壁を破壊し、本物のミーニを炙り出せ!」

 ナイトはハイラント邸の上空へ移動し、十字を切る。

「グランド・クロス」

 一瞬で巨大な十字架が生成され、眼下の屋敷に向けて放つ。

「あれは防ぎに行った方がいいかな?」

 そのミーニが向かおうとした時だった。

「ん?」

 何処からか伸びてきた閃光が巨大な十字架に直撃、打ち消した。

「あなたは・・・」

 振り返るとそこには、身体中にビリビリと雷を奔らせる黒髪の女性が立っていた。

「ミーニ!・・・じゃない・・・・・・」

「よく分かったね。本物は中にいるよ。・・・あの人の相手、お願いできる?」

「・・・(こくり)」

 何となく状況を理解したのか、黒髪の女性シツライは頷くと、ナイトの眼下、ハイラント邸を覆う気の壁の上に跳び乗る。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 シツライとナイトは無言で睨み合い、構える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ