熱
勢いよく地面に叩きつけられた少女は、立ち上がろうとするが思うように力が入らず、立ち上がれない。
その様子を他の少女たちが静かに見つめている。だけで、誰一人として手を貸そうとはしない。
その姿にメアトリスの怒りが頂点に達する。
「テメエ等!心ついてんのか!!痛えだろ!?悔しいだろ!?ムカツクだろお!?仲間がやられてよお!!ココに!込み上げてくるもんがあんだろうが!熱く!湧き上がってくるもんがあんだろうが!
そいつら全部燃やして・・・燃やして燃やして燃やして燃やし尽くしてえ!!ブッ殺しにこいやあ!!」
少女たちは自分の身体が熱くなっているのを感じていた。その熱さが何によるものなのかは分からない。
しかし、ただ一つ、すべき・・・いや、『したい』と思うことがあった。
《あいつを、ブン殴りたい》
「あ、姉上?あの者たち、随分と殺気立っているようじゃぞ?ちと挑発しすぎたのでは・・・」
少女たちからは先程まで全く感じられなかった気迫がひしひしと感じられるようになっていた。
「漸くその気になったか・・・メル、気合入れるぞ!」
「うぬ!」
少女たちが次々に突撃してくる。それぞれが回り込むことはせず、自らの速度を生かし、真正面から拳を振るってくる。メアトリスも正面からそれらを受け止める。
「ほう・・・」
その拳からは「熱」が感じられた。表情は相変わらず希薄だが、その眼からは「意志」が伝わってくる。
「だが・・・まだ足りん!」
次々に弾き返していく。その数に対応しきれず、何発ももらうが、メアトリスは全く動じない。
「・・・・・・」
少女たちは個々の力では足りないと悟ったのか、集まって輪を作って行く。
「あれは・・・」
幾つもの輪ができ、直列に並んだ。そしてそこに光が集まって行く。
「・・・いいだろう。お前たちのその『熱』、受け止めてやる!かかってこいやあ!!」
そう言い、メアトリスは両手を広げる。
迫る一撃を避けることも防ぐ事もする気など無いようだった。
「姉上!それは無茶じゃ!幾ら姉上と言えど、止めるのじゃ!」
「うるせえ!・・・お前は離れてろ!」
あいつ等の本気を受け止めたい。あいつ等の内に湧き上がった「熱」をこの身で感じたいと、
メアトリスもまた、熱くなっていた。
あれを受けて堪えられるのかなど、微塵も考えていなかった。
やがて、眩しく、少女たちの姿も見えなくなる程の光が集まった。
『眩耀陽光』
メアトリスに凄まじい光の柱が襲い掛かる。
「姉上ー!!」
光の柱はメアトリスを飲み込み、そのまま地面に突き刺さった。
光が治まると、メアトリスが倒れていた。メルリアが慌てて駆け寄る。
「姉上!大丈夫かの!?しっかりするのじゃ!」
メアトリスの全身の至る所が焼け焦げていた。
身体を揺らすと、メアトリスは長めの、溜め息のようなものを吐いた。
「ふー・・・・・・熱いな・・・・・・悪くない熱さだ・・・・・・」
メアトリスはゆっくりと身体を起こし、そして立ち上がる。
「どうだよ?己を出すってのは気持ちのいいもんだろ?テメエ等はどいつもこいつも同じ顔しやがって・・・どんな境遇で、どんな事情があるのか知らねえけどよお・・・テメエ等は生きてんだよ。心、持ってんだよ!だからもっと出せよ!燃やして掛かってこいよ!果たしてえ目的があんのなら!お互い燃やし尽くして本気でやり合おうじゃねえか!!」
メアトリスが大きく翼を広げると、少女たちは身構える。
明らかに初めの頃とは違い、感情が見えるようになっていた。
「メル、行くぞ・・・ここからが本番だ!!」
「うむ!!」




