ラリナ先生
「あなたは確か、図書室の・・・あ~何て名前だったかな~」
「セニアちゃん、同僚でしょ?覚えてないのはひどいよ~!」
「でもほらだって、普段から殆ど会うことって無いし、こうして話したことも無かったんだもん!・・・・・・
無かった・・・よね?」
「セニアちゃん・・・」
「ごめん!もっかい名前教えて!」
セニアは子供程度の背丈しかない同僚の緑の狐よりも低く頭を下げる。
緑の狐は少しためらう様子を見せるが、半ば諦めたように口にする。
「ラ、ラリナ・・・です」
「ラリナ!そう!そんな名前だった!・・・・・・うん。もう忘れないからね、ラリナ先生!」
「んー?」
セイムが突然ラリナの顔をまじまじと見つめ始める。
「な・・・何でしょう・・・?」
「ラリナさん・・・ってさ、カリナさんって人、知ってる?」
「!!あ、ああー!!み、皆さん!避難者の方々が待ってますよ!早く案内しないと!」
「おお、そうだったね!今の内だよね!」
セニアが手を振って合図を送ると、隠れていた先生と避難者の人々が姿を現した。
その後、白翼の少女たちが戻ってくることは無く、無事に避難は完了した。
「あいつら・・・何で急にどっか行っちまったんだ?」
「消えてなくなっちゃった訳でもないだろうからね、何処か別の場所を襲ってるのかもね。
・・・だからって勝手に行っちゃだめだよ?フェロちゃん」
「ち・・・分かってるよ」
「避難は完了しましたけど、ヒイカさん、これからどうしましょうか?」
「それについてですが、現在、解決に向けての準備を進めている所ですので、その準備が整うまでは
防衛に従事して下さい」
「了解しました。セニア先生、皆さんとお話して回って、少しでも皆さんの不安を和らげましょう!」
「はい!デイ先生!」
「ん?そう言えば・・・」
フェローリアは辺りを見回す。
「どうしたの?フェロちゃん」
「あいつが・・・ラリナがいねえぞ?」
「んー・・・ラリナちゃんも先生だし、何かできることをしに行っちゃったんじゃない?」
「そうか・・・急に現れたり消えたり・・・ほんと、変なやつだな」
冥界「大社」。ここでも大勢の人が集まっていた。
普段から人の多い場所であり、腕の立つ者も多くいたこともあって、戦えない者を避難させるための人手には事欠かなかった。加えて、この「大社」を運営する竜たち、その頂の地位を得た未だ若き竜たちの王、メアトリスの的確な指揮により、その人手を生かし、驚くほど円滑に避難誘導を完了させていた。
戦う力の無い者は冥界の内部へと避難させ、その門番に両親であり七魔でもあるメサイアとライハートを据え、戦える者はこの「大社」を前線基地として利用し、集めていた。
「竜王様!避難、完了しました!次の指示を!」
「よし、怪我人の手当てが最優先だ。治療はできないが、魔力のある者には結界の維持をさせろ。それ以外
は後の戦闘のために待機だ。外の奴等とは俺が挨拶してくる」
「はい!」
現状、守ることに従事せよとの命がきてはいるのだが、相手の目的や強さを後々のために測っておきたい。
メアトリスが結界の外へ出るため、結界の縁に近付く。すると、
「姉上ー!」
妹メルリアが騒がしく走り寄ってきた。
「メル、お前も待機してろ」
「嫌じゃ!わしも行くぞ!」
「はあ~・・・何も戦いに行く訳じゃねえ。対話に行くだけだ」
有無を言わさず攻撃してきたあたり、素直に対話に応じてくれる可能性は低そうだが。
「それは建前じゃろう?あ奴等は現れると同時に攻撃してきた・・・それに、今も攻撃は続いておる。
そんな奴等が素直に対話に応じるとは思えぬ!姉上にはその程度のこと、分かりきっておるじゃろう!それでも行くのは、あ奴等の力量を測ろうとしておるからであろう?」
「メル・・・・・・そんな事を考えられる頭、あったんだな」
「フンッ!当然じゃ!」
メルリアは誇らしげに胸を張る。
「褒めてねえよ。・・・いいだろう。理解してんのなら、お前も一緒にこい。万に一つ?でもねえだろうが、そん時は手伝ってもらうぞ」
「うむ!」




