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黒翼のカナエル  作者: 氷花
プロト・ゼウス編
206/240

関わること

「ん・・・んん・・・?何の音?」

 図書室とドアで繋がった隣の部屋、普段から寝泊りしているこの部屋で昼寝をしていた緑の狐ラリナは、

いつもとは違った感じの騒がしさに気付き、目を覚ました。

 乱れた衣服を整え、廊下側へ出て窓の外を覗く。

「え!?人がいっぱいいる!?それに、子供たちだけじゃなくて、大人も・・・って!結界までできてる!?

これ・・・何が起きてるの・・・?」

 校庭に集まっている人々の様子をよく見ると、泣いている子や、大人の中にも不安そうに身を細めている

者たちが大勢いた。

 これはただ事では無さそうだ。でも・・・

「この世界には強い人がたくさんいるし、放っておいても大丈夫だよね・・・・・・」

 例え、どんな変事が起ころうとも、この世界には強大な力を持った人がたくさんいるのだ、この事態も

直に終息することだろう。協力する必要は無いだろう。それに下手に関わりたくないし。

 ラリナはそっと窓を閉めようとした。その時・・・


「どうしてそこまでしようとするの?もう関わることも無くなるんだよ?もう放っておいて行こうよ」

 手を取り、引くが、彼は頑としてそこを動かなかった。

「ごめん、ラリナ。俺は君と出会って運命が変わった。・・・君が変えてくれたんだ。それで思っちゃったんだよ。君となら、この世界の運命も変えられるんじゃないかってさ。これは簡単なことじゃないし、危険も伴うことだって分かってる。でも、それでも・・・こんな世界でもさ・・・俺の・・・生まれ故郷なんだよ・・・だから、俺にまだできることがあるのなら、それをしたいんだ!」


 手が止まる。

「そう・・・だよね・・・・・・きっと、そう言うよね・・・・・・」

 窓を開け放ち、跳び下りた。

 近場の人に事情を聞く。

「これは、何があったんですか?」

「え?何だかよく分からないけど、突然天使族の奴等に襲われて、逃げてきたんだよ」

 その人の腕の中にいる子供は、余程怖かったのだろう、必死にしがみ付き、身体を震わせていた。

 ラリナはそっとその子の頭を撫でる。

「大丈夫だよ。この世界は強いから、みんなや・・・私が、すぐに何とかしてあげるからね」

 笑顔でそう伝えると、その子の震えが止まり、こくりと頷いた。

「・・・まずは結界の外に出ないと・・・ん、門の所からなら出られそう!」

 ラリナは駆け出した。


 次々と放たれ、襲い掛かってくる光の槍を、セイムが帯で傘を作り、防ぎ続けている。

「このままじゃあ、らちがあかねえだろう!すぅぅぅ・・・」

 フェローリアが大きく息を吸い込む。そして、傘から飛び出すと同時にブレスを放つ。

「キロブレス!」

 反撃を試みるも、やはり当たらず、攻撃も止まない。

「だめか・・・!」

「え・・・見て!あれ!」

 デイが指差す方向から、新たな少女たちがこちらに向かってきていた。

「援軍ですか・・・!」

 このままではとても避難者を中へ導く事ができない。それどころか、これだけ数が集まっては、結界自体も破壊されかねない。

 と、

「ん?・・・攻撃が・・・止んだ・・・?」

 少女たちが合流したと思うと、急に攻撃が止まった。

「いや、あれは・・・」

 少女たちが手を繋ぎ始め、大きな輪を形成した。

「あっはっは・・・ヤバそうな気しかしないね!」

「笑ってる場合じゃないでしょう!」

 案の定、

『陽光』

 その輪から眩しくて見えない程の光が放たれる。

「んっ!くっ・・・うう!」

 セイムが更に帯を重ね、防ぐが、

「あ・・・あっつい!!熱すぎい!!」

 光そのものは何とか止められているが、その凄まじい熱は容赦なく襲い掛かってくる。

「私が!タイム・リターン!」

 デイが再び時の力を使い、光を少女たちへと還した。

「ふー・・・ふー・・・」

 デイは肩で息をしていた。かなり消耗している。

 光を還され、一度は散開した少女たちだったが、直ぐにまた輪を形成する。

「連発する気!?」

「も・・・もう一度・・・私が・・・!」

 デイが懐中時計を構える。

「いけません!これ以上無理をしては!」

「ですが!」

「二人は結界の中へ入ってて!こっちは何とかするから!」

「はい!」

 セニアが結界の一部を開き、ヒイカがデイを結界内へと連れて行く。

「おや?」

 ヒイカはふと、何かとすれ違った気がした。

「さてセイムちゃん、どうする?防いでも熱いし、避ければ結界に直撃、最悪穴が開いちゃうかもよ?」

「おれが盾になってやってもいいぜ?」

「フェローリアちゃんが?」

「おれは熱いのにゃあ強い。さっきの時だって、なんともなかったしな」

「・・・うん、分かった!セニアちゃん、フェロちゃんが盾になってくれてる間に範囲技、行こう!」

「おっけー!」

 三人が行動を開始しようとしたその時だった。

「ん?」

 少女たちの様子がおかしい。何時まで経っても光を放ってこない。それどころか、少女たちは何処かへと

飛び去って行ってしまった。

「???わ・・・訳わかんねえ・・・・・・っておわあ!?お前またいきなり!?」

 そこには、何時の間にか緑の狐の姿があった。

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