今できること
「こうしてセクテと友達になったんだ。・・・僕は魔王の娘。例え世界にとってよくないことでも、大切な
友のためならどんなことでも成してみせるってね」
「そうだ、ミーニちゃん、セクテちゃんと何があったの?」
「ん、と・・・・・・」
言ってしまってもいいものなのだろうか?
自分が世界を歪ませる存在である「時壊兎」になってしまう恐れがあること。別の世界線の自分たち
から託された想いのこと・・・・・・どうするべきなのか・・・・・・
と、その時だった。
「ん!?くぅっ!!」
ミーニは突如として激しい頭痛に襲われた。同時に、映像を見た。
とても早回しで、何が何やら認識できないほどだったが、不思議と理解でき、こうするべきだとい
う考えに至った。
「ないしょ。・・・とっても大事な約束、したの・・・・・・」
「えー?気になるなー?・・・でも、ないしょなら仕方ないかー」
「それより皆さん、これからどうするか考えませんか?今、外は大変な事になってるんですよ!」
ラキエルは事情を説明する。
「ゼウス・ソルジャー?僕たちの世界でもそんなのは見たことも聞いたこともないな・・・」
「白紙の書で創られたと言ってました。それに、ソルジャーたちは倒されても直ぐに送り込まれてく
るとも言ってました」
「・・・つまりこの事態は、僕たちの世界の、外の連中の意思でもあるってことか・・・・・・そこまでしても
『兎』を・・・消したいのか・・・・・・」
「それでですね、ヒイカさん。フュクシンさんはこの策には穴があると言っていたのですが、何か分
かりませんか?」
「・・・ふむ。分かりますよ。少し、電話をしてきます。待っていて下さい」
ヒイカは電話を手いにし、何やら話し始める。
「ねえ、その『強化天使』って強いの?」
「どうでしょう、私たちはフュクシンさんに言われて、直ぐに逃げてきましたから・・・ですが、動きは
とても速そうでしたよ」
「速いのかー。どのくらいの速さなんだろ?」
「目で追うのは無理だと思ったほうがいいよ。僕はそこのゼウスと戦った事があるんだけど、全く目
で追えなかったよ。今、外に沢山いるのを純粋にその強化版だと捉えると、まあ、とんでもない奴等、
だろうね」
あれだけの人数がいて、その全てが目にも止まらぬ速さで動き回るというのか。難儀が過ぎる。
そこへ、電話を終えたヒイカが戻ってきた。
「皆さん、お待たせしました」
「どうなりましたか?・・・というか、どうするのですか?」
「準備が整うまでに時間は掛かります。倒すのは整ってからで、今は避難誘導を行いましょう。セイム
さんシュリさん、カイエルさんメイエルさん、手伝って頂けますか?」
「まっかせて!」
「ラキエルさんたちはここで待機を」
「え!?私たちも手伝いますよ!」
「おれだって行くぞ!」
「いえ、このハイラント邸も避難所として利用するつもりですので、ラキエルさんたちには避難者たち
の対応をお願いしたいのです」
「そう言う事ですか・・・分かりました!お任せ下さい!」
「それでもおれは行くけどな!」
「フェローリアさん・・・分かりました。ですが、今は戦う事が目的ではない事をお忘れなく」
「分かってるって!奴等の偵察だろ?」
「避難誘導だろ・・・」
「分かって分かってる!さ!行くぞー!」
何故だかわくわくしているフェローリアを先頭に、ヒイカたちは外へ出て行く。
ゼウス・ワンはソルジャーの動きを自在に操ることができる。それ故、二対一であるこの状況なら
ば、完璧な連携を以って相手を圧倒できる。はずなのだが、
「チッ!」
フュクシンに対し、攻撃が通らない。全く。
「この『気』の壁がこれ程までに強固とは・・・」
フュクシンは『気』を自在に操り、様々な形に成形したり、硬いや柔らかいなどの性質も自在に変
化させることができる。
フュクシンは一切動かず、その場で防御のみに専念していた。
幾らゼウスたちが素早かろうと、連携が完璧だろうと、ひたすら防御に徹しているフュクシンの気
の壁は打ち破ることができない。
「こちらも奴と同じ強化生命体・・・その力に大きな差などないはずだ・・・」
「フュクシンさん!」
「ヒイカ様!」
「私たちはこれから避難誘導に行ってきます。このハイラント邸も避難所として利用しますので、引
き続き屋敷の防衛をお願いします!」
「了解しました!お気をつけて!」
「二手に別れましょう。シュリさんとカイエルさんとメイエルさんはこの周辺の人々をハイラント邸
に誘導して下さい。私とセイムさんとフェローリアさんは学校へ行き、先生方と協力して避難誘導を
進めましょう!」
ヒイカたちは二手に別れて行動を開始する。




