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黒翼のカナエル  作者: 氷花
プロト・ゼウス編
197/240

エルメの真実

 セイムたちを引き連れ、ハイラント邸の門の前までやってきた。

「その場所って、ハイラント邸だったんだね」

「・・・実は、魔王様から弟子にしてもらう条件というか、試験みたいな感じで提示されてたんだ」

「ああ、だから一人で何とかしたかったんだねえ」

「だから、仲間も自分の力の一部だってことで一度、交渉してみるよ」

「うん!じゃあまずは、グリムお姉ちゃんのとこに辿り着かないとね!」

 我ながらもっともらしい理由を並べ立てたものだ。

 今日は学校は休みのはずだが、ミーニは屋敷に・・・いる。ハイラント邸を覆うように結界のような

ものが張られているのを感じる。向こうはこっちの目的まではどうだか知らないが、対象の人物は知

っているはず。故にこの状況下にミーニがいないということは考え難い。

「・・・ふむ。確かに結界みたいなのが張られてるねえ。侵入を阻害するタイプではなさそうだけど」

「そっかあ、これが感知する結界かあ」

「この結界、中にいる者の場所と人物を特定する力がありそうだねえ」

「そんな中をエルメだとバレずに行かないと駄目なのか?それは難しいな・・・」

「だからこその試験って事なんだろうね」

 もし、自分とセクテが侵入した際に何かしらの行動を取るつもりでいるのならそれでいい。自分が

囮になる事ができるから。だが、もしもミーニを守ることを徹底されていたその時は・・・・・・

 エルメは腰に下げている袋の中から一つの小さな玉を取り出す。

「セクテ、セクテはここで待ってて」

 そう言いながらセクテにその玉を渡す。

「エルメちゃん・・・」

「ま、何とかしてくるよ。絶対」

「ん?このまま突っ込むのか?ばれるぞ?」

「辿り着ければよしってことで!」

「それでいいのか・・・」

「よし!じゃあみんなで一緒に入ろ!・・・せーの!」

 皆で一緒に巨大な門を潜った。

 ・・・・・・。特に反応は無いようだ。

 今の内に急いで行くのもいいが、向こうにはこちらの動きがバレている。走っての移動はより警戒

をさせる事になりかねない。

「・・・刺激しないためにも、ここはゆっくり歩いて行こう」


「?」

 気が付くと、白翼の少女エミエルが窓から外を覗いていた。

 普段のエミエルは、邪魔にならないようにでもしているのか、皆のいる居間の隅っこで壁を背にし

てじっとしているばかりだ。それがどういうことか、窓の外を見ている。今までも知らないだけで窓

の外を見ていたこともあったのだろうか?

 何にせよ、何を見ているのか気になるので問い掛けてみる。

「エミエルさん、どうかしましたか?」

「・・・・・・」

 やはり、今までと同じように答えられないと答えるか、無言を貫いている。

「お客さんがいらしたみたいですね。五人ほど」

 この屋敷のたった一人の給仕者であるガルが外を見る事無く状況を説明する。

「五人もか?多いな」

「お出迎えに行って参ります」

 ガルが外へ出て行く。

「五人もって、だれなんだろう?」

「ヒイカさんのお客さんだったりします?」

「んー、今日はそう言う予定は入ってなかったはずですが・・・そうですよね?フュクシンさん」

「はい、ありません。もしも不足の何かがあったとしても、事前連絡の一つも無しに直接来るという

事は考え難いかと」

「ならば誰が・・・」

 一体誰で何の用なのかと考えを巡らせていると、エミエルがミーニ傍に寄ってきた。

「忠告します。ミーニ、ここから動かないようにして下さい」

「え!?あ・・・は、はい!!」

「しゃ、喋ったぞ!?答えられない以外の言葉を!?」

「それもそうですが、これはいよいよ何かあるということでは?」

 警戒する暇も無く、玄関の扉が開き、その客人がぞろぞろと入ってくる。

「こーんにーちはー!」

「って、セイムさんたち!?」

「あ、エルメもいるぞ!」

「エルメさん・・・!」

「やっぱりか・・・・・・」

 エルメが予想していた通り、ミーニは居り、そして想定していた最悪の事態そのまま、白翼の少女

ゼウスはミーニの傍に陣取っていた。しかも、この場には他にも多くの人が居る。あえて別の場所に

移動させる事はせず、人の多いこの場に留まらせている。こうする事で、面識のあるこっちに大胆な

行動を取り難くしているのだろう。

 全く・・・胃が痛くなる。だが、ここまできたのだ、やるしかない。軽く呼吸を整える。

「やあ!これはこれは久し振り~!」

 右腕を仰々しく振り上げ、馴れ馴れしく白翼の少女に歩み寄る。

 ゼウスの視線が振り上げた右腕に移ったのを見計らい、左手の指を腰に提げた袋の中へと入れ、そ

こから一粒、取り出し、細かな鎖で覆う。

 そうしつつ、右腕を肩を組まんと振り下ろす。

 ゼウスは警戒し、これを受け止め、制止する。

 同時に、左手の一粒を弾き飛ばす。

 粒は転がり、ゼウスの直ぐ後ろに居たミーニの足にこつんと当たった。

「?」

 ミーニはそれに気付き、拾い上げる。

「なんだろう、これ?」

 ミーニが手にしたそれは、細かい鎖の塊のようだった。

「肩も組ませてくれないなんて寂しいなあ。僕たち、同じようなもんなのにさ!」

「・・・?」

「おや?何を言っているのか分からないって?なら、分かるように教えてあげるよ。・・・僕だけじゃな

い、ゼウス、君も僕やあの世界の大勢の人々と同じように、本の中に創られた存在なんだよ!!」

「!?・・・そ、そんなことは・・・あ、あり・・・・・・」

「違うと思ってた?あの世界を管理している自分だけは違うって。・・・同じだよ。役割が違うだけで、

持っている過去の記憶も、全部が創られたものなんだ!外の世界の奴等が消そうと思えば一瞬で消さ

れる!僕も君もそういう存在なんだよ!!」

「・・・・・・」

「エルメさん・・・それって、どういうことで・・・?」

「どう言う事も何も、そう言う事だよ。みんなも実際に体験したでしょう?書き込むことで生まれる

世界の事を。僕とこのゼウスはあの白紙界に描かれて創られた存在なんだよ」

「なっ!?」

 白紙界に創られた人物?二人が?でも、あの白紙の書はまだ試運転の段階だったはず・・・

「ヒイカさん!どうなってるんですか!?」

「そんなはずはありません!白紙界に生物を創造する事など予定されていませんし、勝手にその様な

事をされないように特別な施設まで建てているのです!よもや、研究開発一班の方たちが独断でその

様な事をするはずもありません!」

「その人の言ってる事は正しいよ。この世界線じゃあ、まだ生命は描かれていない。僕たちは別の世

界線からやってきたんだ」

「別の世界線だと!?」

「そう・・・この世界線に来て、やるべき事があるからね・・・!」

 その瞬間、ミーニの持っていた鎖の塊が弾けた。

「わあっ!?」

 すると、ミーニの姿がその場から消えた。

「転移魔法!?いけない!!」

 ゼウスが追いかけようとするが、しかし、

「これは!?」

 何時の間にかエルメの足と白翼の少女の足が鎖で繋げられていた。

「行かせないからね、ゼウスちゃん」

「・・・くっ!」

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