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黒翼のカナエル  作者: 氷花
プロト・ゼウス編
196/240

エルメの魔法

 寸前で拳は止まった。

「ここまで、だね」

「・・・やられたね」

 セイムが全ての魔法を解除する。

「セイム、面白い魔法使うね。あれ、オリジナルでしょ」

「まあね!でもエルメちゃんだって、鎖を使うのには驚いたよ!グリムお姉ちゃんの弟子とかだった

り、教えてもらったりとかしたことあるの?」

「・・・ないよ。独学で何とか形にしただけ」

「それでもって言うかさ、それの方がすごいんじゃない!?それにさ、エルメちゃんさあ・・・」

「?」

 セイムがエルメの顔を下から覗き込むように見る。

 エルメがどうしたのだろうかと不思議に思っていたその時、セイムが後ろを振り向くと同時に脚が

飛んできた。

「!?」

 エルメも予想など微塵もしていなかった不意打ち。しかし、エルメの身体はそれをひらりと見事に

回避する。

「やっぱりね!」

 セイムは嬉しそうに笑う。

「セイム!?何やってんだ!?もう勝負は付いたんだろ!?」

 観戦していたカイエルたちが慌てて駆け寄ってくる。

「落ち着いてお兄ちゃん。セイムちゃんが何も無いのにこんな事したりしないよ。ね!」

「えへへ、ごめんね!ちょっと確かめたい事があってさ・・・エルメちゃん、今もって言うか、ずっと

魔法、使ってるでしょ。強化魔法みたいな、そんな感じのやつ」

「・・・ばれちゃったかー。流石だね、その通りだよ」

「違和感あったからさ。攻撃を回避する時の動きが何か、心がこもってない?っていうか、動かされ

てるみたいに感じて」

「心がこもってない、か・・・・・・」

 その言葉がエルメの胸に突き刺さる。

「どんな魔法なんだ?攻撃を回避する魔法!・・・何て事は流石に無いだろう?」

「ちなみに、セイムはどんな魔法だって思う?」

「んー・・・・・・」

 セイムは目を閉じ、思い出す。

 エルメの魔法は単純に回避だけをし易くするものではないだろう。こっちの姿が見えてなくて、し

かも背後からの攻撃をも回避していたし、視覚は関係していない。もっとこう・・・感覚的なもので・・・

「ん~と・・・人との距離とか動きを感知して・・・後は反射速度を上げてるとか・・・?あ~・・・上手く言え

ない!けど!とにかく目で見てなくても自動で身体を動かしてくれるんだよ!」

「悪くないね。やっぱり強化系の魔法を多用するタイプだとイメージし易いのかな」

「つまり・・・どういう事だ?」

 カイエルとメイエルは首を傾げる。

「つまりだねえ、セイムちゃんのが外に纏う強化魔法なら、エルメちゃんのは内側、身体能力を強化

する魔法ってことだねえ」

「ああ、そう言う事か・・・ってシュリ!?居たのか!?」

 何時の間にかシュリが混じっていた。

「いやあ、魔法に詳しいエルメちゃんがどんな魔法を使うのか気にならない訳がないからねえ」

「ずっと見てたの?」

「うん。こっそりと、ねえ」


 一行は書物庫に戻り、お茶をしていた。そんな中、エルメはシュリが手招きしている事に気が付い

た。エルメはシュリの元へ行き、座る。

「エルメちゃん、さっき言ってた魔法、ずっと使ってるって本当かねえ?」

「はい。本当です」

 そう答えると、シュリは腕を組み、少し唸る。

「う~ん・・・身体能力を強化する魔法は総じて身体への負担が大きいものなんだよねえ。ましてや、

エルメちゃんの使ってるものは特に・・・身体は大丈夫かねえ?」

「えっと・・・今は、はい・・・」

「どうして使い続けてるのかねえ?周囲の動きを感知し、何時でも、自身が意識していない状況でも

瞬時に対応できるようにし、且つ反射速度も上げる。言うなれば『自分』と『脳』を別々の生き物と

して切り離しているかのよう・・・これだけ強力な身体強化を使い続ける理由・・・何か、とてつもなく大

きな何かに追われでもしてるのかねえ?」

「!!」

 見破られていた。これが、恐怖心が故のものだと。

「僕は・・・・・・」

「エルメちゃん、エルメちゃーん!」

 その時、セイムが騒がしく駆け寄ってきた。

「セイム?」

「こういうのはどお?みんなでぞろぞろ行くの!」

「ぞろぞろ?」

「これなら結界に引っ掛かっても一度に全員には対応できないんじゃない?エルメちゃんの言ってた

状況と、エルメちゃんの使う魔法の特性が似てたから、どうすれば攻撃を当てられるかって考えたん

だよ!それで気付いたんだ。同時に複数の攻撃をされたら流石にかわしきれないんじゃないかって!」

 確かにその方法ならばかわしきれないかも知れない。だが、

「できれば気付かれる事もしたくないんだけど・・・」

 それに、目的地はハイラント邸だ。そして対象はミーニ。仲のいいだろうセイムたちに自分たちの

やろうとしている事の片棒を担がせることはしたくない。・・・のだが・・・現状、何一つとして出し抜け

る作戦は浮かんでいない。これ以上時間を掛けられるのか?自分が明日存在していられる保障も無い

のに・・・。その前に・・・セクテの役に立ちたい。

「手伝ってもらっても・・・いいかな?」

「うん!もちろん!みんなで、ね!」

「そうだねえ。手伝える事があれば手伝うって言ったしねえ」

「ありがとう・・・みんな・・・・・・」

 もう後戻りは・・・できない。

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