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黒翼のカナエル  作者: 氷花
プロト・ゼウス編
186/240

予期せぬ出会い

 セクテとエルメを連れ、ハイラント邸に帰ってきた。

「わあ・・・!ここが・・・!」

 セクテは大きなお屋敷に感嘆の声を漏らす。

「セクテ、はしゃぐなよ?」

「そこまで子供じゃないよ!」

 中に入ると、給仕服を纏った小柄な狼の少女が出迎えていた。

「お帰りなさいませ、皆さん」

「ただいまです、ガルさん。それでですね、今日からこちらのお二人をここに住まわせてあげて欲し

いのですが・・・」

「セクテです!」

 背筋も耳もピンと伸ばし、やや緊張気味に自己紹介する。

「僕はエルメです。宜しくお願いします!」

「セクテさんにエルメさんですね?どうぞこちらへ。お部屋にご案内致します」

 ガルには微塵も拒むつもりなどないらしく、むしろ嬉しそうに二人を奥へと連れて行った。

「ほえ~、いっぱいお部屋があるね~」

「元々は下宿として利用されておりましたので、その名残です」

「寮か・・・」

「もっと豪勢な所を想像していらっしゃいましたか?」

「ああ、いえいえ、以前に住んでた所も寮だったので、その場所のことを思い出してただけですから」

「でしたら・・・その場所よりも良い場所だと思って頂けるように私も張り切らないと、ですね!」

「ああそんな、いつも通りでいいですから!」

「そうですか?それならそうします」

 ガルは少し残念そうに耳を垂れる。

「では、こちらとこちらのお部屋をお使い下さい。何か足りないものがございましたら、お気軽にお

申し付け下さいね!」

 ガルは一礼すると去って行った。

「ふう。さて・・・セクテの目的に関してだが・・・」

「エルメちゃん・・・協力してくれなくてもいいんだよ?」

「何を今更。ここまで来ちゃってるんだし、とことん付き合うよ。親友だしな!」

「えへへ、ありがとう・・・でも、急がずに機会がくるのを待とうと思うの」

「ふむ。それがいいな。んじゃ、それまでは普通に生活させてもらうってことで!」


「お二人の事、もう少し伺っても宜しいですか?」

 居間に戻ると、ラキエルが話し掛けてきた。

「う・・・」

 セクテがエルメに目で助けを求める。

「いいよ。どんな事でもって訳にはいかないけど」

「では、お二人は普段は何処で生活してらっしゃるのですか?」

「施設だよ」

「施設?」

「人がいっぱいいて、いろんな事を学べる施設」

「ああ、育みの里のことですね。どんな事を勉強してるんですか?」

「んー・・・・・・」

 エルメは腕を組んだまま唸るだけで答えない。

「どうかしましたか?」

「いやあ、教えでね、あまり他人に口外するような真似はしちゃいけないって言われてるもんでね、

どうたもんかと」

「あ・・・すみません!答えられることだけで結構ですので。では次は、そうですね・・・・・・あ、そうで

した、戦っていたという相手の特徴など、教えて頂くことはできますか?それが分かれば、何かしら

の協力ができるかも知れませんし」

「優しいね、ラキエルは」

「そ、そんなことは・・・」

「協力してくれるって言うけどさ、どうする?もしも、僕たちが悪者で、その戦っていた相手が正義

だったりしたら。その助力をしたせいで、とんでもないことになっちゃうかも知れないよ?」

 エルメは笑みを浮かべながら忠告する。

「・・・・・・」

「ま、要はね、僕たちの問題は僕たちだけで解決したいなあってこと!ありがとね、気を回してくれ

て。どうしてもって時は頼らせてもらうよ」


 夕方になると、出掛けていたこの屋敷の主であるヒイカとその使いであるフュクシンが帰宅。更に、

ここを拠点にしていた魔王グリムも帰ってきた。

「あれがヒイカさん・・・!初めて見たー!加えてあっちは強化獣人みんなのお姉ちゃんのフュクシンさ

んさん・・・!きれいな人ー!」

 エルメが二人に目を輝かせる一方で、エルメはもう一人の方に釘付けになっていた。

「・・・・・・魔王グリム・・・・・・」

「おや、こちらの方々は?」

「今日からここでお預かりする事となりました、兎の方がセクテさんで、狐の方がエルメさんです」

「そうでしたか。ここを我が家と思い、自由にくつろいで下さいね」

「はい!ありがとうございます!」

「・・・何か用?」

「!!」

 じーっと見すぎていたせいか、グリムに気付かれてしまう。

「そこの狐。言いたいことがあるのなら、はっきり言いなさい?」

 逃げられないと悟ったエルメは意を決してグリムの傍まで近付き、俯く。

「はぁ・・・あなた、年は?」

「・・・十四、です」

「何か、目指してるものとかはあるの?」

「・・・いえ、まだ・・・はっきりとは・・・・・・」

「そう」

 エルメもグリムを互いに相手を見ようとはせず、短い会話を繰り返すばかり。傍から見ると怒られ

ているかのよう。

「その銀の毛並み、綺麗ね」

 その言葉に、エルメは少し顔を上げた。

「これは、親譲りの・・・自慢ですので・・・!グリムさんの銀も、とても綺麗、です!」

「それはどうも」

 互いの銀髪を褒めあった後、しばしの沈黙が訪れた。

 ふと、グリムが立ち上がる。

「まだ夕食までは時間がありそうね。・・・魔法、見せて貰おうかしら?」

「え!?」

「嫌なの?」

「い、いえ!お願いします!」

 エルメは終始緊張したまま、グリムの後ろを付き従い、外へ出て行った。

「エルメさん、随分とガチガチでしたね」

「んと、エルメちゃんはグリムさんに憧れてるの」

「へえ・・・毛並みも似てますもんね」


「あれぇ?ラキエルちゃんも何処か行っちゃうの?」

「はい。今日は大社で依頼を受けるつもりなので」

 今日は休日。しかし、ハワーは屋敷で自主学習をするらしく、ミーニとフェローリアは朝早くから

北の三姉妹の所へ出かけてしまっていた。

「大社!?いいなー!行きたい!」

「ですが、狙われているんですよね?」

「う~・・・」

 いつものように目で助けを求める。

「人の多いとこなら、襲ってもこないでしょ」

「本当に大丈夫ですか?」

「ずっと家の中にいるってのも辛いしさ、頼むよ」

「・・・分かりました。一緒に行きましょう」

「わーーーい!!ラキエルちゃんありがとー!」

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