謎の少女たち
授業も終わり、今日はハワーの希望で図書室に立ち寄る事になった。
「ハワー、いつからそんなに本を読むようになったんだ?」
「何時からだっていいでしょ!楽しいよ?本読むの」
「どんな本を読んでいるのですか?」
「んとねー」
ハワーが本を探す中、フェローリアも何かを探すようにキョロキョロしていた。しかし、その目線
の先は本ではないようだった。
「フェローリアちゃんはなにを探してるの?」
「んー?ああ・・・前にもここに、一人できたことがあるんだが・・・・・・その時に緑の毛並みした狐に会っ
てな」
「緑の狐?」
ミーニの知る緑の狐と言えば、カリナさんくらいだが。
「やっぱあのドアの向こうか」
受付カウンターの入り口傍にあるドアのその向こう。以前はそこから出てきた。フェローリアは耳
を澄ませつつ、ゆっくり近付いていく。
「やはり魔力を感じない・・・いないのか?・・・・・・あ!?」
その時、突然魔力を感じた。このタイミングは!
ガチャリ。
「うわあああ!!」
「きゃあああ!?」
鉢合わせし、お互いに驚いて尻餅を着く。
「って!またあなたなの!?」
「あっ!本当に緑の狐だ!」
しかもカリナさんではない。カリナさんよりもずっと小さい、自分たちと同じような背丈の少女の
見た目をしている。
「なあに?緑の狐が珍しいの?」
「あ、いえ、あの・・・カリナさんって、ご存知だったりしますか?」
「カ、カリ!?・・・し、知らない知らないそんな人!そ、それより本を借りにきたんでしょ!?どれ
どれ!?どれが借りたいの!?」
明らかに動揺している。何か因縁でもあるのだろうか。
「はいはーい!これ借りまーす!」
ハワーが一冊の分厚い本を持ってきた。
「あなた勉強家だね~。偉いね!」
「えへへ~それ程でも~」
ハワーは照れながら差し出された紙に日付と名前と借りた本のタイトルを記入する。
「はい!確かに」
「ありがとうございます!」
本も無事に借り終え、図書室を出ようとしたその時だった。
ドーーーン!!
この図書室の上、屋上の方で大きな音がした。
「今のは何でしょう?」
「普通ではなかったな」
「行ってみるしかねえな!」
「先生、同伴して下さいますか?」
「え!?私も行くの!?」
「大人・・・ですよね?」
「う・・・・・・そう、だけど・・・・・・」
「子供たちだけで危ない所に行こうとしてますよ?これでもしも、私たちの身に何かあったら・・・」
「あーんもう!分かったよお!行くよ!行ったらいいんでしょ!!」
ラキエルの説得?により司書をしている緑の狐を加えた一行は屋上へと向かう。
「じゃあ、開けるね?」
緑の狐を先頭に屋上の扉を開けた。
するとそこには、人が二人、倒れていた。
駆け寄ってみると、二人共ラキエルたちよりは年上のようだが、それ程離れてはいなさそうだ。ど
ちらも女性で種族は、魔力を持っているみたいだから魔獣族。種は、綺麗な銀の毛並みを持つ狐とも
う一人は・・・
「う、うさぎだ!?この人!」
「兎」だった。
一先ず、気を失っている二人を保健室まで運び、先生に診てもらう。それによると、多少の外傷は
あれど、どれも擦り傷程度であり、ただ気を失っているだけらしい。
「それにしても、どこの誰なんだ?あんなとこに倒れてるなんて、どういう状況だよ?」
「外傷は擦り傷程度・・・・・・誰かに攻撃され、空から落ちてきたという感じで・・・?」
「それじゃあ、すり傷程度じゃあすまないんじゃないか?」
「う~ん・・・」
「考えてても仕方ねえんじゃねえの?こいつらが起きてから訊いた方が早えだろ」
幾ら考えても真実が見つかる訳ではない。フェローリアの言う通り、ここは二人が目覚めるのを待
つべきだろう。と、
「?・・・ハワーさん、ミーニさん、どうかしましたか?」
二人が何やら小声で話し合っている。
「あ、うん。こっちの人、うさぎでしょ?それが不思議なの」
「不思議?」
「魔力を持ったうさぎって、この世界じゃ私たち『時の兎』だけなの。私とミーニちゃんと、ママと
ママのお姉ちゃんの四人だけのはずで、この人の顔は見たことないの」
「なるほど・・・それは奇怪ですね・・・」
「見知らぬ兎、か・・・・・・」
その後、しばらく目覚めるのを待っていた一行だったが、日が暮れてきてしまったため、今日の所
は先生に任せて帰ることにした。




