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黒翼のカナエル  作者: 氷花
不死と希望の悪魔編
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会談

「我々の望みは、あなた方悪魔族と協力関係を築く事です」

「協力関係・・・何を目的に・・・でしょうか・・・?」

 ベリアルはミカエルの放つオーラに圧倒され、縮こまりながら問い掛ける。

「それは、神々に対抗するためです」

「神に・・・!」

「我々の世界は既に神々に目を付けられています。未だ、神々は手こそ出してはきていないですが、

いつ何時神々による侵攻が始まってもおかしくはありません。しかし、現状の戦力では神々との戦

いにはあまりにも不十分。我々も力を持つ者を探ったり、育てたりもしてはいますが、まるで足り

ていません。それもあり、我々は以前から同じく神を敵視している悪魔界との交信を一つの大きな

目標としてきました。単刀直入に申しましょう。我々はあなた方悪魔族の力が欲しいのです!護り、

攻めるためにも!」

「攻める!?神の世界に攻め入るつもりなのですか!?」

「世界に攻め込むのは本当に最後の段階です。我々の言う攻めとは他の世界、既に神に支配された

世界を神々から解放すること、そして、神の居ない世界を神々の侵攻から護る事です」

 途方も無く壮大な目的に、ベリアルは口を閉じるのも忘れ、ぽかんとしていた。

「そのために、この悪魔界だけでなく、他にも沢山の仲間を集める必要があります。そうして、よ

り大きな組織としていくのです」

 あの天使ラキエルは、既に五つの世界が繋がっていると言っていた。こんな俄かには信じられな

い話だが、本当の事・・・なのだろう。神に対抗する、戦う・・・ベリアルは自分が悪魔王になってから、

そういった事を見越しての行動は一切したことが無かった。唯一した事と言えば、ベリコを悪魔王

にした事くらいだった。しかもそれも、自分の感じている引け目をなくしたいという自分勝手な想

いの元にしたことであった。

「如何でしょう、これ程大きなお願いです。今直ぐのお答えは求めません。ですが是非、検討して

頂きたく存じます。何か、ご質問はありますか?」

「・・・・・・」

 ベリアルはまだ頭の整理が追いついておらず、訊きたい事も思いつかなかった。

「無ければ、此度の会談はここまでとし、日を改めるとします」

 ミカエルは立ち上がり、会釈をすると、お供に連れてきた三人を連れ立って去って行く。

「その話、お受け致しましょう!」

 そう口を開いたのは、悪魔王ベリコだった。

「神と言う存在がどれ程のものなのか詳しく存じませんが、それと戦えるのならば、それはとても

楽しそうじゃないですか!ねえ!」

 とてもいい笑顔でベリアルに同意を求める。

「え?いや、う~ん・・・・・・」

 その様子を見てミカエルが戻ってくる。

「ベリコさん、そのお答えは有り難いのですが、一度皆さんと話し合って頂きたいのです。そして、

皆さんが納得した上でのお答えを伺いたいのです。我々が望むのは円満な協力関係。単純な戦力だ

けが目的ではないのです」

「・・・そうですか」

 ベリコは残念そうに耳を垂れる。

「・・・では、宴の邪魔をしてしまい、申し訳ありませんでしたね。ラキエル、そして他の方々も、よ

ければ共に帰りましょう」

「すみません、ミカエル様。私はもう少しこの世界を見ていたいです!」

 ラキエルが答える。

「・・・あたしも、もうちょっと話、してたいかな・・・」

 バンリも、

「私もまだしたいことがあるので・・・」

 ミーニも答える。

「我は帰るぞ」

「貴方は・・・」

「ああ、こいつは確か、七魔・・・だったクリークとか言う奴だな。生きてたのか」

「いいでしょう。付いて来なさい」

「クリーク?元の世界に帰ったら魔王の元に直ぐに行った方がいいわよ。理由は言わなくても分か

ってると思うけど」

「・・・ああ」

「誇り高い鬼が逃げんなよ~?」

「に・・・逃げぬわ!」

「後は・・・フェローリアって言う仔だけだね。えーっと・・・あ、あの仔だね。ねえ、あなたはどうす

るの?一緒に帰る?」

 フェローリアは・・・・・・

「・・・・・・」

 俯くフェローリアをトスクが心配そうに見つめる。

 フェローリアがゆっくりと口を開く。

「おれは・・・・・・帰るよ」

 そう、ベリコを見つめて答えた。

「ベリコ・・・おれは強くなるよ。おれはあのベリコの娘なんだって胸を張って言えるように、強くな

ってみせる!そしておれは・・・魔王になる!!」

「!」

「グリムを倒して魔王になったら、その時会いにくる!それまで待ってろよな!ベリコ!!」

「お嬢様・・・はい!その時はとびきりの美味しくてたくさんの料理を御用意させて頂きますね!」

「ああ!楽しみにしてるっ!!」

 お互いに笑顔を向け合った。とても、いい笑顔だった。

「フェローリアちゃん・・・」

「トスク・・・悪いな。夢、できちまった」

「・・・そっかそっか!じゃあしょうがないよねー!でも・・・」

 トスクがフェローリアに抱き付く。

「お友達には、なってよね・・・」

「ああ。その時がきたら、いっぱい遊ぼうぜ!」

 こうして、フェローリアはミカエルたちと共に元の世界へと帰って行った。


 その後の会談で悪魔界は正式にミカエルたちの世界「エヴァーラスト」との同盟を締結した。そ

れを見届けたラキエルと、それに付き合って残っていたバンリとミーニも元の世界に帰って行った。

「はぁ・・・・・・」

 ベリアルは静かな城の外でぼーっと空を見上げていた。

「ベリアル、何ぼーっとしてるの?」

「フェンリル。いやあ、ちょっと、さ・・・・・・」

「ん?何かあるならはっきり言ってよね」

「・・・・・・この世界にきたのって、たった四人の小さな女の子たちだったんだよな・・・・・・なのにさ、

すげえ大きく世界が、運命が変わっちゃったからさ、何だかすごいなって」

「ふーん・・・そう言われればそうだね。でもさ、私から言わせてもらえば?最初の大きな変化はベリ

アル、あなたがここにきてくれたことだよ。そこから、全部始まったんだよ・・・」

「そんなこと言ったら、俺が元の世界で・・・」

「ああんもう!それじゃキリがないよ!とにかく言わせて!・・・ありがと!この世界に来てくれて!

ベリアル!」

「じゃあ、俺からも。・・・ありがとう、フェンリル。俺に希望をくれて・・・」

 強く運命を感じながら二人は、空を見上げる。

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