女嫌い冒険者 一話
――俺は赤ん坊の頃、顔も知らない母親に捨てられた。
母親を知る者がいうには、酒場あたりの水商売をしていて最近はやり病で死んだらしい。
「おはようジュソ」
「おはようございます父さん母さん」
孤児院にいた俺を赤ん坊の時に貰ってくれた義両親。
普通に自分の子のように育ててくれた。
「貴方ももう21になるのね」
「ようやく酒が飲めるな。よし、今夜は三人で祝おうじゃないか」
「ワインとビールどっちがいい?」
「じゃあまずはビールがいいなあ……」
「ははっワインは悪酔いするからな」
∬∬
「うい~~」
父さんが酔っぱらって母さんもほろ酔いだ。俺は酒を解禁されて初日だし一杯だけにして寝ることにする。
「酒を飲むとトイレいきたくなるのは本当なんだなあ……」
まだ話し声がする。
「あんなに小さかったのに早いなあ」
「そうねジュソがお嫁さんを連れてきて孫の顔を見せてくれたら……」
母さんごめん、俺は――結婚適齢あたりの若い女性が苦手なんだ。
産みの親のせいか、その辺りの異性には近づきたくない。
「そうなったら、いつ死んでも悔いはないな」
――そんなこと言われたら嫁さん連れて来なきゃじゃないか!