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空中庭園の天遣 1
「下界の人間が庭園にくるらしい」
「下界から!?」
ここは翼を持つ人間、通称“天遣族”が暮らしている空に浮かぶ庭園。ただの人間に普段は立ち入りは許可されていない。
「そこで、新入りのお前が案内してさしあげるのだ」
「わたくしがですか!?」
人間なんて野蛮で関わり合いになりたくないが、それを口にすれば神王がお怒りになる。
ここへ来るのは身分の高い者に限られているので、いけすかない性格なのだろうと余計に不安だ。
「元気ないじゃんメガネ君」
セミロングの黒髪の少女が翼を広げて高いところから飛び降り立ち、目前に着地した。
「シフレさん」
「そういや人間がくるってね!」
「わたくしが憂鬱なのは、そのことなんです」
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「人間が来るなんて100年ぶりかな。中枢連中は何を考えてるのか」




