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神はにこやかな表情で、ふわふわと宙に浮いていた。
水色のローブに丸い小さな帽子をかぶっており、手には杖を持っている。
神は何億年にも渡り、たくさんの生き物を生み出してきた。
それが進化を繰り返し、いろんな歴史が作られ、現代となったのであった。
神に寿命はないので、神という存在は常に有り、雲の上にいた。
もちろん生き物には神は見えず、神という存在を信じている者もいない者もいたが、姿を見たものがいないので、想像をするしかなかった。
道夫は広い家の庭でお茶をしながら、読書をしていた。
春の陽気は心地よく、ポカポカした日だった。
天気が良く、うとうとしていたが子どもたちの笑い声、犬の鳴き声で目が覚めた。
息子が犬と戯れていた。
「パパ、一緒に遊ぼうよー!!それっ!!」
息子がボールを投げると
「ワンワンッ!!」
犬が勢いよくボールを追いかけ、口に加え、息子の元へ返って行った。
「偉いぞ!!もう1回だ。」
「ワンワンッ」
娘は庭に咲いている花を摘んでいた。
手にたくさんの種類の花を持っており、満面の笑みだった。
手を振りながら
「パパー!!見て!いっぱい摘んだよー!いい匂いがするのー!!」
僕は少し離れた所から、それらを見ていると、自然と笑みがこぼれた。
妻が、いつの間にか庭に来ており
「あなた、クッキーを焼いたのだけど食べない?チョコチップクッキーよ。」
と言った。
「ああ、頂くよ、ありがとう。」
バリバリッ
少し硬いが味は美味しい。
「!! 美味しいよ。」
「本当??初めて作ったから、うまくいくか少し不安だったけど。良かったわ。子どもたちにも持って行くわ。」
妻は子どもたちの方へ向かった。
「わああああー!!やったあ!ママのクッキーだぁー!」
「お兄ちゃんずるーい!!ママ、私も食べたいー!!!」
「ワンッ」
「はいはい、たくさんあるからゆっくり食べてね。」
子どもたちの笑い声。
美しい妻。
愛らしい犬。
平和な日々。
「幸せだな・・・。」
僕は呟いた。
こんな日々が毎日続いたらいいな。
僕は心の底から思った。
神はこのところ地球の様子がどうなっているか、全く見ていなかった。
どれ、久々に見てみるか。
神は雲の上からのぞき込んだ。
神はのぞき込んだ途端、頭がこんがらがった。
「一体どうなっているんだ・・・。」
神はいろんなものを目にした。