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可愛いこの子のためならば、トラウマフラグなんぞへし折ってやりますわ。

作者: みなみ
掲載日:2015/05/04

思い付いたままに書いてみた。


「奥様ッ!

無事生まれましたわ、若君です!」



目覚めたとたん血塗れの赤子が差し出される。

恐る恐る触れると、とたんに流れ込んでくる記憶。

パニックになっている間に産湯に入れられた赤ん坊が手渡され、泣き声をあげていた赤ん坊に乳をあげるととたんに静かになる。


ああ、私…


乙女ゲームのメインヒーローのトラウマである母親になってしまいました…!





****




乙女ゲーム『恋するきみとの物語』は中世と近代が混じりあい、なおかつ魔法がある世界の物語。

よくある話であるが、華麗な絵と、マルチなエンディング、そして主人公以外のキャラ同士の恋愛や友情あり、そこからつながるストーリーが人気を呼び、元々無料アプリだったがゲームソフト化し、アニメ化、果ては舞台化、そしてアニメ映画化、実写映画化までした日本だけでなく世界中に流行った乙女ゲームの枠を越えた乙女ゲームなのである。


私はアニメ映画ではまった元日本人。

ぼんやりとある記憶だと娘がこのゲームが好きで、遠方の映画館にせがまれて連れて行ったのがきっかけではまったようだ。


『お母さん貸してあげる。暇だろうから。これ攻略本ね。』


病室に来た娘が貸してくれてゲームをしたらはまって、エンディングコンプリートを目指してメインヒーローをまず攻略し終えた後の記憶がないから死んでしまったんだろうなぁ…


最後にこなしたのがカルマバットエンド。


ここでまずヒーローの話なのだが、

ヒーローは幼い頃母親に殺されかけ隔離され、父には冷たくされ…軽い人間不審となって主人公と出会うことでそれを克服し、両親と向き合っていく…のが共通のルート。ノーマルエンドや友情エンドではここで終わる。


ハッピーエンドとバットエンド、カルマバットエンドではそこから発覚する両親の問題が絡んでくる。

主人公とヒーローは実はいとこ同士…ヒーロー母と主人公父は兄妹で

ヒーロー父と主人公父は親友同士であったけど主人公母を取り合った関係。

平民だった主人公母と添い遂げるため主人公父は貴族の跡取りを捨て、ふられたヒーロー父はいきなり後を次ぐことになったヒーロー母と婚約、結婚する。

ヒーロー父に淡い想いを抱いていたヒーロー母は喜んでいたけど、

ヒーロー父はアイツが大切にしていたものをすべて奪い壊してやると歪んだ思いを募らせ、少しずつヒーロー母を追い詰めていく。

それにより精神を病んでいく母。

ヒーローが三つになった時全てを知らされたヒーロー母は錯乱し、ヒーローの首を締め上げてしまう。


異変に気付いた使用人に止められなければ死んでいたという設定。ちなみにヒーロー父はニヤニヤ見てました。怖っ


ハッピーエンドでは二人の力と周囲の力を借り母の病を治し、正気にかえった母に祝福されながらハッピーエンド&跡取り貴族と平民が結ばれ幸せになりました、めでたしめでたし!って終わる。

そしておまけで行方不明だった主人公父も帰還し、ヒーロー父以外幸せにはなっていたはず。


バットエンドではヒーロー父が主人公父を人を使ってなきものにした事と、母親によく似た主人公を自分のものにしようと企んだことが発覚する。

ヒーロー父は捕らえられ家は取り潰しになるが連座は免れた二人は母達をつれて田舎へと旅立つで終わっていた。


カルマバットエンドでは田舎に落ち着いた二人は子どもを授かる。

ヒーロー母は『罪の子ども』と言い残し次の日亡くなり、それを聞いた主人公母は錯乱しそのままの病みつき亡くなってしまう。

二人は実は異母兄妹なのでは…?

そんな疑念を残したまま終わる。



ハッピーエンドとの落差にうええぇぇ?!?!!

となった記憶がある。


ゲーム化したときにR15がつけられたのは、この危ないカルマバットエンド要素の為らしい。

ヒーローは裏テーマが禁断の関係だったようだがキャラによっては性的だったりがちなヤンデレになるそうな。

カルマバットエンドは攻略法が出ていても到達するのが難しく、私がクリアできたとき娘はそれは喜び、内容に涙し、別キャラのエンディングコンプリートをお願いされたけど病状が悪化しできなかったんだっけ。







まぁ、死んでしまったのなら仕方がない。

『私(わたし)』 と 『私(わたくし)』 は別人なのだ。

今の私はこの可愛い子の母親になったのだ。ならば大事にしなきゃである。


可愛いこの子のためならば、トラウマフラグなんぞへし折ってやりますわ。



この日を境にソフィア・メル・グラウンは変わる。



私財を投資し平民が学べる学校を作り、その日暮らしをするしかすべのなかった兄に教師を頼み、自らも教え、そして愛情たっぷりに息子を育てやがて卒業生より優れた文官や武官、商人に研究者、芸術家に医者に…と様々な分野のプロフェッショナルを輩出することとなる。




ただひとつ問題があるとすれば…



「母上!

明日は学校も休みでしょう!僕と出掛けましょう!」


「いやいや叔母様は私とショッピングするんですよーだ!一昨日きやがれです!」


「ふははは、残念だったな娘に甥よ!

ソフィアは我々夫婦と視察に向かうことになっているんだ。留守番よろしくな!」


「うふふふ、私達で二人じめねっ!」




なぜか息子はマザコン気味になりラブラブするはずな主人公と火花を散らし、兄夫婦には二人総出で可愛がられるのは何ででしょうね?




とりあえず、トラウマフラグはへし折れたからいいかなぁ…?




ソフィアさん安心してね、主人公とヒーロー(息子)はケンカっプルになる予定だよ!

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公の語りがすんなりと入って来て良かったです。 また、設定した主人公の立場が新しい。 笑えました。
[一言] 父親はもしや息子達にころころされた・・・?
[一言] あほ親父はどうなったんや!?
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