52Hz ゴジュウニヘルツ
君は今日も、どこかで拾い続けている。
決して拾えないのに。
そこにあるし遠くまで届くのに。
絶対に拾えない。確かに存在しているのに、見えないし触れない。
確かにそこに居るのに、君とみんなは同じ生き物なのに。
君だけが仲間はずれ。際限無い命の連鎖から生まれてきた君は、平面を抜けだした。端ではなくて、浮かんだ。君は線をたどればそこに居る。だけど君は線でつながってはいない。
ナンデダロウ?
1989の氷が解けて、僕らは君と出会ったんだよ。
きみがナイテイタ事を今でも僕らは鮮明に覚えている。そして君はいまでもナイテイル。そうだろう?
僕らはみんなと君が同じなのだと思っていた。だけど違ったんだ。
君は今も、これからもずっと孤独。僕らにはそうとしか思えない。
君は音を拾い続けて、そこに居るのに居ないみんなを探し続けて11000もの群青の世界を漂っているんだよ。平行線をたどりながら。
僕らは君のことを上から見ているみたいだね。匣の中身は君とみんなだ。
同じ匣の中にいて互いに拾い続けているのに、君もみんなも拾えないんだ。
なんたって君は52Hzだからさ。
そうさ、ゴジュウニヘルツ。
みんなは25で君は、ゴンジュウニ。
いや、訂正しよう52Hzじゃなくて、51.75Hzだったね。
君は、いつまでも孤独なんだよ。
おっと、これもまた間違いだね。君は最初から孤独だ。
だから君にはほかの「みんな」がいる事を知らない。
感ずるべき「孤独」がないんだ。
孤独の身で、ナキツヅケテイル
それが君だよ。僕らは君がなんなのかはわからない。
君は今もどこかでナキツヅケテイルことだけは確かだけどね…
1989と52Hzでわかります。検索エンジンにかけてみてください。