一日目 一筋の光
談項流です。宜しくお願いします。
…ここは、何所だろう…
私は重たい瞼を開けた。周りを見渡すと物置部屋のようだ。
生憎、体を動かそうと思っても縄で縛られていた。
「…私、売られたんだ…。」
「そうじゃ。」
私がポツリと呟くと扉が開き、一人の女が入ってきた。
私は光がが眩しくて目を細めた。
「…ぬし、騒がないのか…。」
「もう私は生きる価値などありゃしないんでね。」
「…そねえな死んだ目をしてるんじゃ、此処では生きていけない。こっちへ来るんじゃ。行くぞ。」
女は縄を解き始めた。
「ぬしはわっちが預かった。ぬしは今日からわっちの禿じゃ。」
「禿…」
「姉様のお世話するんじゃ。それで此処の、吉原の仕事を覚えていくんじゃ。」
「…はい。」
「わっちの名は夕霧。よろしくな。」
「はい…、私の名前は「ぬしの名は小梅じゃ。」
「え…?」
「此処では本当の名は語らぬのが決まりじゃ。今日からぬしは小梅じゃ。」
「…そうなんですか…。」
私は少し下を向いた。名前を奪われたようで悲しかった。
すると夕霧姉様が、
「下を向くな。上を向くんじゃ。此処では生きる気力を失ったものから脱落していく。わっちも夕霧は本当の名ではない。」
「……」
「それに…、もう我慢しなくてもいいんじゃんぞ…。今だけ、泣いても…いいんじゃ。」
夕霧姉様にそう言われた途端涙が溢れてきた。
「うっ…、っうう…、うえっ、うっ…」
「よくここまで耐えたな、まだ十四ぐらいであろう?いきなり知らない所へ来て、名も失って…、大丈夫じゃ、ぬしはこの夕霧が必ずや守ってみせる。だから…、心配するな。きっと…、きっと…、ぬしはわっちが守る…。」
私を抱きしめながら夕霧姉様は言った。
この日、私に一筋の光が射し込んだ。
随時更新します。




