表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/38

13

やばいです。

ものすごく難産で、短いです。

申し訳ないです。



「私は……この証が有る限り、誰かに奴隷にされてしまうんです……」

「それは、どういう意味?」

 通常の奴隷は金銭などで売買される。

 そこに奴隷の意志が反映されないのは確かだが、それは奴隷を支配する存在がいて、金銭と引き換えの商品という意味で買い取り手の奴隷となる。

 しかし、今の状況下ではその支配する存在と買う存在がいない。

 例え、買いたいと言われても俺がこいつの主人だと言えばそこまでの話。

 つまるところ、演技をするぐらいでいいのではないか?

 まさか、白昼から堂々と公衆の面前で自分の下の世話をさせなければ、自分のものだと主張することが出来ないなどと言う馬鹿げたことがあるとでも言うのだろうか。

 これは極論ではあるが、俺の結論としては亜里沙を奴隷としては極力扱いたくないと言うこと。

「……絡まれたりした時だけじゃだめなのか?」

 俺の提案は、すぐに首を横に振って否定された。

「公認の奴隷は魔法契約なんです……。 主人になる人の魔力を、この証を通して奴隷を戒める枷となるのです。 だから、逆らったり、逃げようとすれば主人の魔力が奴隷に苦痛という罰を与えるのです……」

「そんな酷いこと……。 何で亜里沙がそんな目に……」「それは、私が犯罪者だからなのだと思います……。 尤も、どんな犯罪を犯したのかすら覚えていませんが」

 亜里沙が犯罪者?

 そんな馬鹿な……。

 いや、これは俺を殺した出来事から連鎖して起こってしまったことに違いない。

 つまり、冤罪と言ったところか。

 ならばもしかして、枝梨や由ちゃん玲ちゃんも同じ様なことに?

「お母さんと、妹が二人が居たって言ったよね? 今はどうしてるか分かる?」

「……ごめんなさい。 家に殺気立った兵士が来て、夢中で逃げたのは覚えてるんですけど……」

 手がかりは、無しか。

 もし公認奴隷にされてて、誰かの所持品になっていたら……。

 いや、考えないようにしよう。

「とにかく……私と仮でいいから魔法契約をして下さい……」

 そうだな……。

 それが、今の亜里沙にとって一番精神的に良いということなら、するべきなのか……。

 仮、と言うぐらいだし、お試しみたいなものなのかも。

「じゃあ、どうしたらいい?」

「さっき、木の実を取ったみたいに私の証に魔力を伸ばして下さい」

 言われた通りに魔力の筋を証に流し込むと、勝手に魔力が吸収されていった。

 証が淡く光ると、消えた。

「……終わりです」

「仮魔法契約と、本魔法契約の違いって何だ?」

「えと、仕組みとかは分からないんですけど……仮魔法契約をした奴隷は主人の見た目の一部をもらいます」

 すると、亜里沙の茶色がかったストレートの髪が黒に染まっていく。

「このように」

 わぁ、黒髪美人だ。

 元々爽やかだった瞳の蒼が、より一層引き立っている。

「……行くか」

 亜里沙は、頷いた。




 馬を創るというアイディアが出るのが遅かったのもあって、結局一日で王国に辿り着くことは出来なかった。

 そういう訳で野宿をすることに。

 そして、衣服を創ることも今更ながら思い付いた。

「……できた。 これ、着れるか?」

 とりあえず、前に舞ちゃんが着ていたような蒼いワンピースを作成してプレゼント。

「あ、ありがとうございます……」

 亜里沙は恥ずかしそうに受け取り、前面を見たり後ろを見て、やがて脱ぎはじめた。

「って、いきなり何してるんだ!」

「せっかくなので着替えをしようかと思ったのですが……。 ダメですか……?」

 いやいや。

 いくら記憶が無くなっても、羞恥心ぐらいあるでしょとツッコミを入れるべきか悩んだ。

 でも……眼福………………あれ、意識が、遠……く…………。




 目覚めてみればすっかり朝。

「……起きましたか?」

 目の前に現れた亜里沙の顔。

 やっぱ黒髪が似合うなぁ。

「俺、どうなったんだっけ……?」

「えと……鼻血を噴き出して気絶されてしまいました……」

 そっか……。

 通りで目眩がする訳だ。

「……何してるんだ?」

 今気付いたけど、ひざ枕されてるね。

 そして頭を撫でられた。

「あ、えと……ごめんなさい……」

 亜里沙は怒られたと思ったのか、頭を撫で始めた手を引っ込めた。

「いや、いいんだ。 続けてくれ」

 ……いつの間にか奴隷と主人の関係が出来上がってる。

 なんか、こう、不可抗力的なものを感じるんだ。

 それにしても、俺自身の特性(?)を少しだけ発見できた。

 恐らく、性的興奮をすることで貧血になるぐらい血を噴いて気絶するみたいだ。

 ……男の楽しみを返せ。

「ありがとう。 朝ごはんにしよう」

 そうは言っても、ただの木の実だが。

 顔を洗って一息入れて、馬に乗って王国への残りの道を急いだ。




 王国の城壁が見えた。

 さて、昼過ぎから王国に入るのは危険だな。

 夜にひっそりと入国させて貰おう。

「と、ゆー訳で、昼寝でもするか」

 これからは夜と昼の生活が逆転しそうだし、体内時計を変えていくか。

 亜里沙は……見張りに立っていた。

 まあ、好きにさせておこう。

 う、また主人面してしまったぞ……。

 これが癖になってしまう前に、仮魔法契約を解除したいものだ。

 あ、眠気が……。




 …………。

 夜だ。

 月も出てやがるな。

 ちょっと寝過ごしたっぽい。

 周りを見れば、亜里沙は横たわって寝ている。

 馬は金色の目が光って怖い。

「さて、亜里沙。 王国に潜入だ」

 亜里沙を起こして馬の魔力を解散させた。

 これで、いつでもどこでも馬が出せる検証終了。

 眠そうな亜里沙を引き連れて城壁前まで来た。

 確か、城壁の上の警備はあまり厚くない。

 よし、魔法創造《闇》属性、〈透過〉。

「さ、久しぶりの王国だぜ」

 城壁を、すり抜けた。

 城壁内は真っ暗で、気持ちの悪い感触がしたが問題なく突破した。

 帰って来たぜ、王国。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ