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事後処理

  その後は特に目立ったことは起きなかった。


 薄暗く、奥が見えぬほどに広い牢獄にいる奴隷たちを解放し、不老石を生産する工場らしき場所で働かされていた奴隷たちも解放する。それからも色々な場所の奴隷を解放し、時間が掛かってかなりめんどくさかったのが、なんとかその全てを解放することに成功した。さらに仕事はそれだけでは終わらず、兵士の操り手を見つけ出し脅すことによって、不死兵たちを正気に戻すこともさせた。この不死兵たちは元奴隷で、無理矢理不老石を埋め込まれたのだという。


 ちゃんとした意識のある昔からの兵士は皆逃亡したらしいが、わざわざそれを追う気はなかった。


 そして最後に、解放した無数の奴隷たちをどうするか、だが、俺が面倒を見る気など毛頭無いし、わざわざ俺が何かをしてやるのもめんどくさかった。だから取りあえず自由にしてやり、ミレトスの財産を適当に全員で分割するように、と俺は言ってやった。


 故郷がある奴はそのドラで故郷へと帰り、帰る場所の無い奴はそれで帰る場所を作れ、と。


 ドラを巡って争いが起こったら面倒だとも思ったが、その心配はなかった。俺たちがわざわざ仲裁することもなく、必要な食料を、衣類を、ドラを、皆均等に分けているようだった。


 これで特にやることはなくなったのだが、私用として、一つだけ知りたいことがあった。


 ユーリとシーナの、両親のことだ。


 もしまだ生きてるのであれば、二人は本当の両親と暮らすのがいいのだろう。 


 そう柄にもなく思って、少し調べてみたのである。


 その結果として、分かったこと。

 ――いや、分からなかったことなのだろう。


 二人の両親の生死は――不明だった。ずっと昔に、売り飛ばされてしまったのだという。何処で何をしてるのか、もう亡き人なのか、それすら誰にも分からないのだった。


 俺はそれ以上の詮索は諦めることにした。

そんなこんなで、時間はどんどん流れ、もう日も沈みかけた夕方。


 ようやく、ギゼルに帰ってきた。


 とりあえず俺たちはギゼルの王宮へと向かい、闇に飲み込んでいたミレトスの権力者を全員手渡してやった。まさか俺が本当にミレトスを潰せるとは思っていなかったのか、俺の元にきた使者も王も、目が飛び出るほど驚いていた。


 王は俺を賞賛すると同時に、褒美を与え、俺たちのために宴を開くと言ったが「めんどせぇ」、の一言でそれを切り捨て、宿へと戻ることにしたのだった。


 宴なんてただ騒がしく、めんどくさいだ。

 ……そう思ってしまう俺は、やはりつまらない奴なのだろう。


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