プロローグ 神人(テオール)
「あー。……暇だ」
ベンチで一人淋しく座り、俺はそんなことを呟く。
めんどくさい、よりかは暇の方が幾分かましなのだが、暇すぎるのもそれはそれで辛いものがあった。
「あー。マジで暇だ」
俺はあまりにも暇なので、ベンチの背もたれに肩をかけ、特に理由も無く空を見上げてみる。天気は俺の心を映し出しているかのように黒雲が並んでおり、今にも雨が降り出しそうであった。そんな鬱々とした天気を見て俺はますます倦怠感に襲われ、一つ大きな欠伸をする。
その――刹那。
欠伸のために豪快に開けた口。そこから、押さえつけていた魔力が暴発。
暗雲の立ちこめる夜空に向けて、俺は無意識的に白光波を発射させてしまったのだ。
超高速で放たれたその光線は夜空で弾け――巨大な光を伴う。そして瞬く間に、目も開けられないほどの光が町全体を覆った。
さらにあろうことか、空高くで弾けた白光波の破壊力に黒雲は押しのけられ、跡形もなく消え去ってしまったのだった。
天気は一転して、快晴に変わった、ということである。
――俺のせいで。
いや――天気がよくなり、優美な星空が顔を出したのだから、俺のおかげで、なのかもしれない。
「……マジかよ。俺、すげえのな」
超人級の出来事を簡単にやってのけ、なおかつ呑気なこの青年こそ――神人である。