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第91話 兄と妹の関係

 兄と妹。

 決して結ばれることのない2人は、一線を越えないこと、一夜限りという約束で身体を重ねるに至った。

 (あかり)の太ももの柔らかさと、秘部のぬめりが、祐希の理性を優しく、しかし確実に削り取っていく。

 挿入という最後の一線だけを避けることで、逆にそれ以外の愛撫がより濃密で、愛情に満ちた行為へと昇華されていた。


「……んっ、ぁ……! お兄ちゃんの……硬い……」


 (あかり)は腰をくねらせ、溢れ出る愛液を祐希の敏感な部分に絡みつかせた。

 部屋には、水音と衣擦れの音が、淫靡なBGMのように響き渡っている。

「あ、(あかり)、そんなに強く擦り付けたら……だ、だめだ……っ」


 敏感な先端が、彼女の濡れた秘肉に埋もれ、張り付くように擦れ合う。

 挿入していないのに、蜜の粘り気と圧迫感で、まるで直接溶け合っているかのような錯覚に陥る。


「私の柔らかいところ……お兄ちゃんの形で、こんなにぐちょぐちょになってる……」


 静かに微笑む(あかり)だったが、すぐにその表情が崩れた。

 敏感すぎる未開発の蕾が、祐希の硬直した裏筋にこりゅり、と強く擦り上げられ、予期せぬ電流が走った。


「ひゃうっ!」


 (あかり)の太ももがビクンと跳ねた。

 その快感は腰を振るたびに強烈な波となって彼女を襲った。


「やん、お兄ちゃんの、擦れて……私、変になりそう……っ!」


「あ、(あかり)……」


「あっ、あっ、んああぁっ!

 お兄ちゃん、お兄ちゃんっ……!」


 先ほどまでの余裕は消え失せ、彼女は快楽を貪るように夢中で腰を打ち付け始めた。

 濡れそぼった秘裂が、祐希の(たか)ぶりをトロトロに溶かすように挟み込み、吸い付いてくる。


「あ、くる! なにか、きちゃう……っ!」


 (あかり)は背中を大きくのけぞらせ、首を左右に激しく振った。

 髪が乱れ、汗ばんだ肌が紅潮し、涙目で虚空を見つめるその姿は、例えようもなく淫らだった。


「お兄ちゃんっ! 好き、好きぃっ!

 ああっ、ダメ、イくっ! 私、イっちゃうううううっ!!」


 キュウゥゥゥッ、と彼女の秘部が激しく収縮した。

 挿入していないにもかかわらず、祐希の自身を根本から搾り取るかのように、内腿と秘裂が痙攣し、断続的に締め付けてくる。


「あ、あ、あああああんっ!!」


 甲高い絶叫と共に、(あかり)の身体が弓なりに跳ねた。

 ポタポタと、さらなる愛液が祐希の下腹部に降り注ぐ。

 彼女は何度もビクビクと身体を震わせながら、祐希の胸に崩れ落ちた。


「はぁ、はぁ、はぁ……っ。

 すご、い……。私、イっちゃった……」


 焦点の合わない瞳で、(あかり)(よだれ)を垂らしながら、幸せそうに笑った。


 結局、その夜、2人は窓の外が白むまで、肌を重ね合い快楽を(むさぼ)った。

 挿入こそしていないものの、限界まで高ぶった身体を擦り合わせ、何度も共に果てたのだ。

 約束どおり一線は越えなかった。

 けれど、2人の心と身体の距離は、確実に縮まった。


 静寂が戻った部屋には、2人の荒い息遣いと、ほのかなシャンプーの残り香、そして濃密な体液の匂いが漂っていた。

 コンドームの中の愛の証を吐き出し、祐希はゆっくりと、名残惜しむように身体を離した。


「……(あかり)


 横たわる妹の顔を覗き込むと、その頬は薔薇色に染まり、とても満ち足りた表情で乱れた呼吸を整えていた。

 汗ばんだ髪が張り付く額を指で拭ってやると、(あかり)はとろんとした瞳で祐希を見つめ、胸に顔を埋めてきた。


「私……幸せ」


 罪悪感など微塵も感じさせない、純粋無垢な幸福感。

 その言葉を聞いた瞬間、祐希の胸の奥でくすぶっていた背徳感が、温かい愛しさで塗り替えられていくのを感じた。


(……これで、よかったんだ)


 ギリギリで踏みとどまった。

 互いの素肌を重ね、心も体も溶け合った今、そこにあるのは後悔ではなく、満ち足りた充足感だった。


「……ああ、そうだな」


 祐希は妹の背中に腕を回し、愛おしそうに抱き寄せた。

 (あかり)は、安心しきった猫のように喉を鳴らし、祐希のにおいを深く吸い込んだ。


「お兄ちゃん、大好き」


「ありがとう、(あかり)


 その夜、2人は狭いシングルベッドで、抱き合いながら眠った。

 この夜の出来事は、2人だけの秘密として、胸の奥に仕舞うことにした。

 わがままを聞いてくれた兄の言いつけに従い、(あかり)は最愛の妹に戻ることを選んだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 翌朝、祐希がダイニングキッチンに下りると、母がすでに朝食を用意して待っていた。

 顔を洗って戻ってくると、ちょうど(あかり)が2階から下りてきた。

 昨夜の熱い一夜などなかったかのように、彼女は両親に明るく挨拶した。

 兄妹2人で、キッチンカウンターに並んで朝食を食べ始めた時だった

 それまで黙って新聞を読んでいた父の幸希が、眼鏡の位置を直し、低い声で言った。


「お前たち2人に、大事な話がある。

 朝飯が終わったら、リビングに来なさい」


 その一言で、その場の空気が凍りついた。

 祐希と(あかり)は思わず顔を見合わせ、全身が強張るのが分かった。

 用件は、おそらく昨夜のことだ。

 兄と妹の秘密がバレて、これから糾弾されるのか……


 どう言い訳すればいいんだろう。

 そもそも言い訳できるような状況じゃない。

 そう思うと、いつもなら美味しいはずの母の手料理が、まるで砂を噛んでいるようで、まったく味がしなかった。

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