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第90話 妹以上恋人未満

 熱く濡れた(あかり)の秘裂が、祐希の先端を捉えた。


「んっ……」


 甘い吐息と共に、物理的な境界線を越えようとしていた。


「お兄ちゃん……入れるよ」


 拒絶するには、あまりにも刺激が強すぎた。

 ぬぷり、と先端が粘膜を押し広げようとする感覚に、祐希の背筋に戦慄が走った。


「あぁ……これでお兄ちゃんと一つになれる……」

 妹が兄の上で悦楽の表情を浮かべた。


「駄目だ!!」


 祐希は残った理性を総動員し、(あかり)の腰を両手で掴んで止めた。

 このまま腰を落とせば、二度と後戻りはできない。

 それは、決して開けてはならないパンドラの箱だった。


「え……?」


「駄目だ、(あかり)

 それだけは……絶対に駄目だ」


 祐希は荒い息を吐きながら、必死に首を振った。

 寸前で動きを止められた(あかり)は、潤んだ瞳で不満げに祐希を見下ろした。


「なんで……?  先っぽだけならいいでしょ……

 コンドームだってしてるし、赤ちゃんできないよ?」


「そういう問題じゃない!」


 祐希は(あかり)の腰を掴んで持ち上げようとするが、彼女はしがみついて離れない。

 祐希は必死の形相で、妹に言い聞かせた。


「いいか、(あかり)……よく聞け!

 一度してしまったら……もう二度と、元の兄妹には戻れなくなるんだぞ!」


「戻れなくたっていい!」

 (あかり)は叫ぶように言い返すと、涙を溜めた瞳で祐希を見上げた。


「……私、ずっと前から決めてたの。

 お兄ちゃんのお嫁さんになるって!

 だから、お兄ちゃんに愛されたっていう……『証』が欲しいの……!」


 その言葉に、祐希は息を呑んだ。

「お嫁さんになる」というその願いは、幼い頃から(あかり)が口にしていたものだった。


「世間の目だけじゃない……

 何より、お前自身が傷つくことになるんだぞ。

 僕たちは兄妹なんだ。その事実は変えられない」


「そんなの、関係ないよ……っ!」


「関係あるんだ!」


 祐希は、震える妹の肩を強く抱きしめた。


「もし僕が……お前のことを、ただの女として、欲望の対象としてしか見ていないなら、とっくに最後までしてるさ。

 こんなに可愛くて、無防備な妹に迫られたら……男なら誰だってそうする」


「じゃあ、なんで……?」


「お前が大切だからだ」


 祐希は妹の涙を親指で拭いながら、真っ直ぐに彼女を見つめた。


(あかり)のことが、世界で一番大切で……大好きだからだ。

 一時の感情で、お前の未来を壊したくないんだ。

 大切だからこそ……傷つけたくない……分かるか?」


 それは祐希の偽らざる本心だった。

 愛していなければ、衝動のまま妹を抱いていたことだろう。

 けれど、この純真な妹の人生を背負う覚悟と、兄としての矜持が、ギリギリのところで祐希を押し止めていた。


「どうして……どうしてお兄ちゃんは、お兄ちゃんなの……

 なんで、私たちは兄妹なの……」

 (あかり)の瞳から、ポロポロと涙がこぼれ落ちた。


「……それはきっと、一生離れないためだ」


 祐希は、嗚咽する妹の背中を優しく撫でながら、噛み締めるように言った。


「恋人同士なら、いつか別れる日が来るかもしれない。

 でも、僕たちは血が繋がっている。

 何があっても、死ぬまで家族なんだ。

 誰よりも近くで……永遠に支え合っていけるんだ」


「そんなの綺麗事よ……

 私の幸せを、勝手に決め付けないで!

 未来なんてなくていい……!

 今夜だけ……今夜だけでいいの。私をお兄ちゃんの『恋人』にして!

 ねえ、明日からは普通の妹に戻るから……お願い……」


「戻れないんだ!」


 祐希は苦しげに顔を歪めながら、それでも首を横に振った。


「もし一線を越えてしまったら……明日になっても、もう二度と元の兄妹には戻れない。

 だから、これだけは譲れないんだ……」


 祐希の決意が固いことを悟ったのか、(あかり)の身体から力が抜けた。

 兄の腕の中で、(あかり)はしばらく泣いていた。

 だがやがて、彼女は何かを決心したように顔を上げた。

 その瞳には、まだ熱い渇望の残り火と、兄への深い執着が揺らめいていた。


「……分かった。

 お兄ちゃんがそこまで言うなら、最後まではしない……

 それならいいでしょ……」


「ああ、一線を越えなければ、それでいい」


 祐希が安堵したのも束の間、(あかり)は涙に濡れた瞳で、甘えるように微笑んだ。


「その代わり……お願いがあるの」


「え?」


「最後までしないから……せめて、私のありのままを肌で感じてほしいの」

 そう言うと、(あかり)は体勢を変えた。

 挿入するのではなく、濡れた秘部を、祐希の硬い昂ぶりに強く押し付け、擦り合わせ始めたのだ。


「っ!? あ、(あかり)、それは……!」


「これなら……入ってないけど、繋がってるみたいでしょ?」


 それは、いわゆる「素股」と呼ばれる体勢だった。

 だが、それは単なる快楽の追求ではなかった。

 繋がることが許されないなら、せめて肌だけでも極限まで触れ合わせていたいという、彼女なりの切ない求愛行動だった。


 厚さ僅か0.01mmの薄膜越しとはいえ、濡れそぼった妹の秘肉の感触はあまりにも鮮烈だった。

 (あかり)は祐希の首に腕を回し、あどけない顔で耳元に囁いた。


「兄妹だから、本当の恋人にはなれないけど……。

 今だけは、お兄ちゃんの彼女にして……」


(あかり)……っ」


「お兄ちゃん、大好き……」

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