第72話 王様ゲーム(2)
王様ゲーム第4ラウンド。
王様となったさくらは、引いたカードを見るなり、息を呑み口元を手で覆った。
「ど、どうしよう……すごいカード引いちゃいました……」
「え? どんなカード?」
里緒奈に促され、さくらは小声で読み上げた。
「『指名された2人が、5回勝負の脱衣じゃんけんをする』……です」
「うわっ、出た! 今回のジョーカー!」
どよめく中、さくらはカードを読み進める。
「あ、でも『バスタオルの使用は可』『どちらかが先に3回負けた時点で終了』って書いてあります」
「それでも負けたら裸同然じゃん……」
戦慄する一同をよそに、さくらは申し訳なさそうに番号を告げた。
「えっと……4番と6番の方お願いします……」
「あら、私ね」
余裕たっぷりに手を挙げたのは明日奈。
そして、もう一人は――。
「えっ……私……?」
琴葉が、信じられないという表情で目を見開いた。
いつもはクールな琴葉だが、今回ばかりは動揺が隠しきれなかった。
「嘘……よりによって脱衣じゃんけんなんて……」
明日奈はサマーニットにブルーのスカート、琴葉はレモンイエローのTシャツにハーフジーンズというラフな格好だった。
バスタオル使用可とはいえ、衣類は上下2枚しかない。
つまり、3回負ければトップレス確定という極限の勝負だ。
「琴葉ちゃん、お手柔らかにね」
「わ、私……負けませんよ、明日奈さん」
琴葉は覚悟を決め、部屋の中央に進み出た。
勝負は一瞬だった。
立て続けに2連敗した明日奈が、苦笑しながらサマーニットとスカートを潔く脱ぎ捨てた。
露わになったのは、ところどころが透けた黒いレースのランジェリーと、零れ落ちそうな豊満な乳房。
大人の色気を放つ圧倒的な迫力に、祐希の視線は釘付けとなった。
「やるわね、琴葉ちゃん……
さあ、ここからが本番よ」
ランジェリー姿の明日奈の目が真剣になると、空気が一変した。
明日奈の勢いに呑まれたのか、今度は琴葉が連敗した。
琴葉は恥じらいながらTシャツを脱ぎ、そしてジーンズを脱いだ。
明日奈とは対照的な、白で統一されたスポーティな下着と、引き締まったウエストが白日の下に晒された。
そして第5戦にも敗れ、琴葉は肩を落とした。
「み……見ないで……」
琴葉は観念したように皆に背を向けると、震える指先で背中のホックを外した。
床に白いブラジャーが落ちると同時に、素早くバスタオルを胸元に巻いた。
振り返った琴葉の鎖骨や肩は、桜色に染まり、想像以上に色っぽかった。
その後のゲームは、深夜のテンションも相まって、異様な雰囲気に包まれた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
第5ラウンド
『相手の目を見て「好き」と10回言う』
指名されたのは未来、相手は祐希だった。
耳の先まで赤くしながらも、祐希の前に立った。
未来は祐希の瞳を真っ直ぐに見つめたまま、一歩距離を詰めた。
「好き……好き……好き……好き……好き……好き」
一回ごとに、未来の顔が少しずつ近づいてくる。
真剣そのものの眼差しで、未来は言葉を紡いだ。
「好き……好き……大好き……大好きなの」
吐息がかかるほどの距離で繰り返される、心からの愛の言葉。
その迫力とひたむきさに、祐希は言葉を失い、ただ圧倒されて心臓を高鳴らせた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
第6ラウンドは『自分の胸を揉みながら30秒間、いやらしい声を出す』。
ここで指名されたのは里緒奈だった。
彼女は動じるどころか不敵に笑った。
「おっ、私の出番か?
オッケー、エッチの時を思い出して本気でやってみるね」
里緒奈は自分の豊かな胸を鷲掴みにすると、甘い吐息を漏らし始めた。
「んっ……ぁ……やぁ、祐希、そこ、激しい……っ! んあぁっ♡」
何故か祐希の名前が呼ばれ、恥じらいゼロ、サービス精神全開の濃厚な演技が披露された。
その生々しさに圧倒され、ギャラリーは顔を赤くした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その後のラウンドも、カオスな展開が続いた。
第7ラウンドは『1分間、膝枕をする』。
指名された朱音は「ラッキー♪」と嬉々として祐希を膝に乗せ、「可愛い~、持ち帰りたい」と撫で回して祐希を硬直させた。
続く第8ラウンドは『自分の好きな人に告白する』。
泥酔した瑞希が「大好き~♡」と明日奈に抱きついて頬にキスをするという、ただの酔っ払いによる愛の告白が行われた。
そして迎えた第9ラウンド。
『下着以外の着ている服を交換する』
指名されたのは、抜群のプロポーションを誇る沙織と怜奈だった。
共にハイレベルなスタイルを持つ美女2人に、会場が沸いた。
「え~、怜奈さんの服、私に似合いますかね?」
「沙織ちゃんの服、私入るかしら……」
いざ交換してみると、そこには眼福の光景が広がっていた。
怜奈のシックで大人っぽい服をまとった沙織は、体にフィットした服がその豊かな胸のラインとくびれを強調し、普段の小悪魔的な可愛さとは一変した、成熟した色気を放っている。
一方、沙織の少し甘めな服を着た怜奈は、ミニスカートから伸びる白くなめらかな美脚が限界まで露わになり、動くたびにドキリとするような危うい魅力を振り撒いていた。
互いの服を完璧に着こなし、恥ずかしがりながらもポーズをとる美女2人。
その贅沢すぎる肢体は普段とは違う美しさがあった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
王様ゲームも最終第10ラウンドを残すのみとなった。
最後に王様を引き当てたのは、明日奈だった。
「あら、ラストは私が王様なのね」
明日奈が微笑み、カードを引いた。
「最後の命令は……『指名された2人が、クローゼットの中で3分間ハグする』ですって」
「うわ、最後に密室系キタ~……」
「しかも暗闇でハグって……女子同士でも緊張するよね……」
「じゃあ、クローゼットでハグするのは……1番と8番!」
明日奈の指名に祐希とさくらは困惑した様子で手を上げた。
祐希の手には1番、そしてさくらの手には8番のスティックが握られていたのだ。
「え~っ!! 最後にまさかの祐希とさくら……」
「明日奈さん、まさか番号知ってたの!?」
みんなが疑いの声を上げるが、明日奈は「偶然よ」と涼しい顔でかわした。
「はいはい、王様の命令は絶対よ!
ほら、2人ともクローゼットに入って!」
里緒奈に背中を押され、祐希とさくらは部屋の隅にあるクローゼットへと押し込まれた。




