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第62話 明日奈との一夜

 午後8時、祐希と明日奈は『ホテル・ステラ・マリス』最上階にある『スカイグリル・オリオン』にいた。

 エントランスを抜けると、ピアノの生演奏が流れるラグジュアリーな大人の空間が広がる。

 2人が案内されたのは、ベイブリッジを正面に望む窓際の特等席だった。

 眼下には漆黒の横浜港が広がり、海面に映る街の灯りが、宝石のように煌めいていた。


「今日の料理は、シェフのお任せグリルコースなの。期待していいわよ」


「昼食のあと何も食べてないから、さすがに腹ペコだよ」

 祐希は生唾を飲んだ。


 明日奈はウェイターを呼び、フルボトルのスパークリングワインをオーダーした。

 ほどなく現れたソムリエが、流れるような手つきでコルクを抜くと、優雅に2人のグラスへと注いだ。

 立ち昇る黄金色の泡と芳醇な香りに、祐希の期待感は高まった。


「乾杯しましょう……私たちの初デートに」


「……乾杯」

 澄んだ音色が響き、2人はグラスを合わせた。


 色鮮やかな前菜とスープを楽しんだあと、いよいよメインディッシュが運ばれてきた。

 炭火で香ばしく焼き上げられたフィレ肉にナイフを入れると、美しいロゼ色の断面から肉汁が溢れ出した。


「うわ、これ……すごいな。

 力を入れなくてもスッと切れるよ」

 祐希が赤ワインソースの絡んだフィレ肉を口に運び、噛み締めるように(つぶや)いた。


「ふふ、気に入ってくれた?」


「最高だよ」


「良かった……祐希、本当に美味しそうに食べるから、見てて嬉しいわ」


 その若々しい食べっぷりを、明日奈は頬杖をつきながら眺めていた。

 絶品料理に食は進んだが、それ以上に明日奈のグラスを空けるペースは早かった。

 彼女はすでに、3杯目のスパークリングワインを飲み干そうとしていた。


「明日奈……飲むの速くない?」


「平気よ……今日はなんだか、お酒が美味しく感じるの」


 極上のディナーと美しい夜景に包まれ、時折交わす視線と微笑みの間に、2人だけの甘い空気が流れた。

 明日奈はグラスを傾け、潤んだ瞳でじっと祐希を見つめた。


「そ、そんなに見つめないでよ……」


「ふふ、ごめんね……

 祐希が幸せそうに食べてるの見てると、私まで幸せな気分になっちゃうなぁって」


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 2人は「ステラ・マリス」のスイートルームへ入り、重厚なドアを閉めた。

 間接照明だけの室内は薄暗く、窓の外に広がる光の海が鮮烈に目に飛び込んできた。

 その輝きに導かれるように2人は窓辺に立った。


「……すごい。まるで光の海だ」


「……本当にきれい……」


 ガラスに映る2人の影が、寄り添うように重なる。

 しばらく無言で光の海を見つめていた明日奈が背中を向けた。


「祐希……脱がせて……」


 明日奈が長い髪を両手でかき分けると、常夜灯の光に、白いうなじが浮かび上がった。

 祐希がワンピースのファスナーをゆっくりと下ろすと、衣擦れの音と共に布地が足元へ滑り落ちた。


 窓から差し込む夜景の微かな光が、露わになった白い背中と滑らかなシルクの下着姿を、暗闇の中に浮かび上がらせた。


 明日奈は振り返ると祐希のボタンに指をかけた。


「脱がせてあげる……」


 明日奈は祐希の服を脱がせ、自らも一糸纏わぬ姿になると、そのFカップの豊満な乳房を押し付けて、彼をベッドへ押し倒した。

 滑らかなシーツの感触と、上から覆いかぶさる明日奈の熱い身体。


 明日奈の唇から、熱い吐息が漏れた。

 彼女は貪るように祐希に口づけする。


 絡み合う舌と舌、重なり合う唇、荒い吐息。

 成熟した女の甘い匂いが、祐希の男の本能を刺激した。


 普段は理知的で優しい「義姉(あね)」の表情が情欲に染まり、快楽を求める「女」の顔に変わっていた。


「祐希……もう限界なの……今すぐちょうだい……」

 明日奈が祐希の耳元で囁いた。


 そして豊満な身体を押し付け、背中に回した両手で強くしがみつき、互いを求め合うように激しく密着した。


「……祐希……もっと……もっと強く……」


 耳元で囁かれる、理性を溶かすような明日奈の言葉。


「……奥まで……もっと、深く……」


 その言葉が、祐希の理性を完全に吹き飛ばした。

 煌びやかな夜景を背に、一つに重なり合った2人のシルエットが激しく揺れ動いた。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 ひとしきり愛し合った後、2人はシーツの上で重なり合うようにして呼吸を整えた。

 サイドテーブルのミネラルウォーターを互いに口にし、乾いた喉を潤す。


「……はぁ、喉カラカラだ……」


「ごめんね。……どうしても、抑えきれなくて」


「……僕も、同じだよ」


 一息ついたところで、汗ばんだ身体を流そうと2人はバスルームへ向かった。

 しかし、シャワーで濡れた肌が密着すると、2人の情欲に再び火が点き、明日奈の指先が大胆に絡みついた。


「……祐希……ここでして……」


 湯気で曇るガラス張りのシャワールーム。

 濡れた身体が隙間なく密着し、シャワーの飛沫が2人の間を滑り落ちていく。

 壁に背中を押し付けられた明日奈に、波状的な快感が押し寄せた。


 「ぁ……っ、んッ……!」


 狭い空間に反響する卑猥な水音と、甘く切ない吐息。

 降り注ぐ水滴の中でさらに激しく燃え上がり、2人は立ったままお互いを貪るように求め合った。


 バスルームから上がった2人は、身体を拭く時間さえもどかしかった。


 「ねぇ……祐希……もう一回しよ……」


 水滴が滴る肌のまま、明日奈は祐希をベッドへと押し倒した。

 仰向けになった祐希の上に、彼女はしなやかな動作でゆっくりと(また)がった。

 月明かりに照らされた白い肢体が、ゆっくりと腰を沈め、祐希をその身の奥深くまで優しく受け入れていく。


 明日奈は自ら腰を揺らし、貪るように快楽を求めた。

 夜景の光が混ざり合う中、ベッドの上の2つの影は、深く重なり合った。

 部屋に響くのは、肌と肌がぶつかり合う音、そして彼女の甘い喘ぎ声。

 祐希は視界いっぱいに広がる彼女の身体と、締め付けられる快感に翻弄されながら、三度目の絶頂へと導かれていった。


 息も絶え絶えになるほど激しく愛し合い、ようやく2人は満ち足りた余韻に包まれた。

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