第53話 SAORI
祐希たち4人が目的のステーキハウスに着くと、急なキャンセルが出て、個室が空いているという。
「ほら見ろ、今日のオレのツキは半端じゃないだろ?」
コジケンは勝ち誇ったように言った。
「何でも好きなもの注文していいぜ!」
通された個室で、4人は最上級のヒレステーキコースと、高級赤ワインをボトルで注文した。
極上の肉と酒に舌鼓を打ち、会話も弾んだ。
アルコールの力も手伝って、コジケンと環奈、祐希と沙織の距離も近づいていた。
途中でコジケンがトイレに立ち、目配せで祐希を呼んだ。
男子トイレに入った瞬間、コジケンは懐から1万円札数枚を取り出した。
「ほら、この金お前にやる!」
コジケンが差し出したのは、3万円だった。
「えっ、いいのかよ、こんなに……」
「いいか祐希。ここで2組に分かれるぞ。
沙織ちゃん、お前に気があるみたいだから……
この金でホテル行って、童貞捨ててこい!」
祐希はコジケンから軍資金を渡された。
「コジケン、ありがとな。恩に着るよ」
(もう童貞じゃないけど……まあいいか)
祐希はコジケンの好意をありがたく受け取ることにした。
「俺は、これから環奈ちゃんとホテル行くからよ」
コジケンはニヤリと笑った。
「お、お前……いつの間にそんな話をつけたんだよ」
「まあな、その辺に抜かりはないさ。
それに金の力は絶大だからな……」
「コジケン、ありがとな」
2人が席に戻ると、コジケンがステーキ代をまとめて支払った。
「とっても美味しかったわ、ご馳走様でした」
女子2人は、コジケンに礼を言った。
「この後は別行動ということで……じゃあな」
コジケンと環奈は夜の街へと消えた。
「祐希さん、あたしたちも行こっか。
え~と、次……あそこのラブホでいい?」
沙織が指差したのは、西洋の城のような外観のホテルだった。
祐希の脳裏には、さくらと未来の顔が浮かんだ。
(成り行きでこんな事になったけど、まだ付き合ってるわけじゃないし、別に問題ないよな)
祐希は心の中で自分に言い訳した。
「ああ、いいよ」
「あれ、もしかして、こういうの慣れてる?」
沙織が上目遣いで聞いた。
「まあ、人並みには」
「へぇ……やっぱりモテるんだね」
沙織は嬉しそうに祐希の腕に絡みつくと、そのまま一緒にホテルへと向かった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ラブホテルのロビーに入り、パネルに表示された部屋の写真を選んだ。
「どの部屋にする?
先に言っておくけど、ホテル代は男性持ちだよ……」
沙織の言葉に、祐希は料金を確認した。
「大丈夫だ、部屋は沙織に任せるよ……」
「本当? 嬉しい! じゃあさ、この部屋にしよっか……」
沙織が選んだのは、最上階にあるラグジュアリー系の高そうな部屋だった。
エレベーターで上がり、扉を開けるとそこには別世界が広がっていた。
間接照明に照らされた広いベッドルーム。
部屋の真ん中には、キングサイズのベッドがドーンと置かれていた。
「うわ~、すごく広いね……」
沙織は、はしゃぎながら部屋に入ると、バッグをソファに放り投げた。
そして祐希の方へ振り返り、潤んだ瞳で見つめた。
「ねぇ、すぐにしよ……
ね、いいでしょ?」
沙織は祐希に抱きつくと、背伸びをして唇を塞いできた。
彼女の香水の甘い香りが鼻腔を刺激した。
彼女の積極的なリードを、祐希は受け止めた。
そのまま自然な流れで、祐希は沙織をベッドへと押し倒した。
祐希が彼女のニットを脱がせ床へ落とすと、清楚な白いレースの下着に包まれた肢体が露わになった。
モデルのような華奢な身体つきだが、その純白の色合いが、彼女の肌の白さを際立たせている。
「あんっ……祐希ったら、強引ね……」
一見クールに見える祐希だが、スイッチが入ると大胆で情熱的な一面を覗かせる。
余裕のあった沙織の表情はすぐに崩れ、快楽に翻弄された甘い喘ぎ声が部屋中に響き渡った。
ひとしきり愛し合い、心地よい疲労感に包まれていると、沙織が耳元で囁いた。
「ねえ、一緒にお風呂入ろ……」
広いジャグジーバスにお湯を溜め、2人で泡の中に入った。
ジェットバスの気泡が、二人の火照った肌を優しく包み込む。
祐希は湯船の中で沙織を後ろから抱きしめ、推定Eカップの美乳を弄った。
「え……うそ、また大きくなってる……」
背中に当たる硬い感触に、沙織は驚きと喜びの混じった声を漏らした。
その艶っぽい反応に、身体の奥が、再び疼き始めた。
2人は浴槽の中で再び激しく求め合い、本能を解放させた。
バスルームから上がり、バスローブ姿でソファに並んで座る。
火照った体に、冷たいミネラルウォーターが染み渡る。
濡れた髪を拭く沙織の横顔は、店で見た時よりもずっと色っぽく見えた。
「祐希とのエッチ、とっても気持ちよかったよ。
あたしたち、身体の相性いいみたい」
沙織は満足げに微笑むと、祐希の肩に頭を預けた。
「ねえ祐希、あたし今フリーなんだよね……
もしよかったら、私と付き合わない?」
「え、付き合う?……」
突然の提案に、祐希は言葉を詰まらせた。
その困ったような反応を見て、沙織は苦笑した。
「ふふ、さすがに急すぎるか……
じゃあ……たまに会ってエッチするのはどう?
お互いに割り切ったセフレってことでさ……」
「ん~、そうだなぁ……
沙織とは話も合うし、相性も良さそうだけど……
お互いによく知らないから、連絡先交換するくらいならいいよ」
沙織は美人でスタイルも良く、身体の相性も良いが、さすがにセフレは無理だ。
「最初はそれでも仕方ないか、まずは友だちからと言うことでお願いします……
じゃあ、早速連絡先交換しよ」
祐希は沙織とチャットアプリ「LINK」で連絡先を交換した。
画面に表示された名前は「SAORI」だった。




