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第44話 幼馴染み以上恋人未満

「はぁぁ~、やっぱりダメかぁ。

 こんな美少女の色仕掛けが通用しないなんてさ。

 私のプライド、傷ついたよ。

 これでも、バンドでは私のファンもいるし、バイト先ではファンクラブもあるのになぁ……」


「ホントごめん、未来の希望を叶えてやりたいが、こればかりは僕のわがままを許して欲しい」


「祐希さんて、昔から変なところ頑固だったもんね。

 でも、今日は私を好きだという気持ちがあるって言ってくれたから……

 ただの『幼馴染』から『幼馴染み以上恋人未満』に昇格したみたいだし、今日はこれくらいにしておくわ」


「未来、勝手なこと言ってホント申し訳ない。

 そうしてもらえるとありがたいよ」


「でも、私、諦めたわけじゃないよ。

 これからは、もっともっと自分を磨いて、祐希さんが私を彼女にしたいって思えるような、いい女になれるよう頑張るからね」


 祐希は黙って頷き、未来の言葉に安堵したような表情を見せた。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 2人は浴室から出て、バスタオルで水分を拭き取った。

 未来はバスタオルを身体に巻いた。

 祐希はバスタオルを腰に巻いたまま、冷蔵庫からミネラルウォーターを2本取り出した。


「未来、水、飲むか」

 祐希は、ミネラルウォーターを未来に差し出した。


「ありがとう」

 未来はミネラルウォーターを受け取り、キャップを開けると、美味しそうに水を飲んだ。

 そして一息つくとこう言った。

「彼女にしてって言うの、今日はもう言わないから……

 その代わり、私のお願いを2つ聞いて欲しいの」


「2つのお願い?、一体何のお願いだ?」

 祐希は未来の言葉に思わず身構えた。


「じゃあ、言うね。

 1つ目のお願いは、呼び方を変えたいの。

 『祐希さん』って呼ぶの、なんか中途半端で、呼びづらいの。

 だから、これからは『祐希』って呼び捨てにしてもいい?」


「なんだ、そんなことなら全然構わないよ」


「じゃあ、今日から『祐希』って呼ぶね」


「了解、それで2つ目のお願いって何?」


「2つ目のお願いは……」

 なぜかそこで未来は頬を染めた。


「あの、私の初めてを……祐希にもらって欲しいの……」


「えっ……」

 祐希は絶句した。


「私、来年20歳(はたち)でしょ。

 だから、その前に経験しておきたいの……

 でも誰でもいいってわけじゃなくて、初めては好きな人としたいなって思ってたの……

 だから、お願い、今から私を抱いて……」


 未来からの想定外の「お願い」に、祐希の思考は停止した。

「それは『はい分かりました』って言えるようなことじゃないだろ」


「祐希、ゴメンね。

 でも私、これだけは、譲れないの。

 もう祐希を困らせることは、言わないからさ……

 私の一生のお願い、聞いて欲しいの」


 確かに未来とは『幼馴染み以上恋人未満』の関係に進んだ。

 しかし、彼女の『一生のお願い』を聞いて処女をもらってしまってもいいのだろうか……


 未来の眼差しは真剣そのものだった。

 ここで再び断れば、未来は間違いなく深く傷つくだろう。

 それにシェアハウスで毎日顔を合わすのに、お互い気まずくなる。

 自分は未来に「彼女」にできないと言ったのに、本当にいいのか?

 しかし、それでも彼女は初めてを自分に捧げたいと言ってくれた……

 祐希は、しばらく考えた後、答えを出した。


「未来は僕に好きだと告白してくれた……

 初めての相手に僕を選んでくれたことは、とても光栄なことだと思う。

 だから、僕もそれに応える義務がある。

 僕で良ければ未来の初めての相手をさせてほしい」


「ありがとう、祐希ならそう言ってくれると思っていたわ」

 未来は目に涙を浮かべ、彼の決断に感謝した。


「夜も遅いし、未来が良ければ……その……始めようか……

 ……でも、あれはどこにあるんだろう?」

 祐希は慌ててベッドの周りを探し始めた。


 祐希が何を探しているのか察した未来が言った。

「大丈夫、私、今日は安全日だから……」


「本当に大丈夫なのか?」


「私を信じて」


「分かった、未来を信じるよ」


 祐希は未来の手を取りベッドへ上がった。

 未来は身体に巻いていたバスタオルを取り去り、生まれたままの姿になった。

 祐希も腰に巻いていたバスタオルを取った。


「灯り、消そうか?」


「ううん、祐希に私のありのままを見て欲しいから、灯りはそのままにして……」


 2人は見つめ合い、どちらともなく唇を合わせた。

 やがて、舌を絡ませた濃厚なキスに進んでいった。


 未来の張りのあるEカップの乳房に祐希が触れると艶っぽい声を漏らした。

 お互いの気持ちいいところを刺激しあい、徐々に感情を高めていった。

 明日奈との経験がここで役に立とうとは思わなかった。


「祐希……欲しい……今すぐ来て!」


「未来……!」



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 祐希と未来は、幼馴染の一線を超え、男と女の関係となった。

 ベッドの上で汗びっしょりになり、息を弾ませながら2人は見つめ合った。

「祐希が初めての相手で、私、幸せ」

 未来は嬉し涙を流した。


「僕も未来に選んでもらえて嬉しいよ」


 結局、その日は午前3時過ぎまで、3回身体を重ね、夜も白み始めた頃2人はシェアハウスへ帰った。

 その途中で未来がこう言った。

「もし、祐希が私としたいって思ったら、LINKで♡マークを送ってね」

 それは、いつでもOKということだろうか。

※創作活動の励みになりますので、作品が気に入ったら「ブックマーク」と「☆」をよろしくお願いします。

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