第43話 理性 vs 本能
ラブホテルの浴室で、祐希と未来は、一緒にお風呂に入っていた。
未来は向こう向きに座り、祐希に寄り掛かっていて、お互いに表情は見えない。
未来は祐希に好きだと告白し、心臓が飛び出るほど緊張していた。
(言っちゃった、ついに言っちゃったよ。祐希さん……なんて答えるかな……)
祐希は未来に告白され、どう答えたらいいか迷っていた。
(どうしよう、未来が僕を好きって言ってくれた。もしかしたらそうかなって思ってたけど……
僕はどう答えればいいんだ?今すぐなんて、答えられないよ……)
お互いを意識するあまり、2人の会話は途切れ、気まずい沈黙が流れた。
その気まずい沈黙に耐えきれず、祐希は慌てて全く別の話を振った。
「そ、それにしても、未来とシェアハウスで再会するとはなぁ……」
「ほ、ホントね……
私、あの時、これは絶対運命だと思ったの。
まさか、シェアハウスで再会するなんて奇跡だわ」
「だから、あの映画、選んだんだろ……」
「そう、祐希さん、よく分かったね。
あの時だって私、『大好きオーラ』出してたんだけどなぁ」
「それは、さすがにわかったよ」
「祐希さんて、案外天然だから、気づいてないかと思ったよ」
「えっ、僕って、そんなに天然かな?」
未来は自分のお尻の辺りに異物感を感じていたが、それが祐希のあれであることに気付いた。
「あの……さっきから私のお尻に何か当たってるんですけど……」
「……そ、それは……生理現象なんだから仕方ないだろ!」
未来は、祐希が焦っているのが、それがおかしくて緊張が解けてきた。
「あはは……せ、生理現象なんだ。
それ、私でよければ、沈めて差し上げますよ」
「い、いや、それはさすがにまずいよ」
「私、そろそろ上がろっかな」
未来はバスタブの縁につかまって立ち上がり、浴槽から出た。
「ぼ、僕も上がるよ」
祐希は、前を手で隠しながら、慌てて浴槽を出た。
「祐希さん、私、身体洗ってあげます」
「い、いいよ、自分で洗うから」
「ダメです……ほら、そこに座って……
祐希は未来に促され、渋々風呂椅子に座った。
「じゃあ、先に背中から流しますね」
未来はタオルにボディソープをたっぷり付けて、ゴシゴシと祐希の身体を洗い始めた。
「おぶってもらった時に思ったんだけど……祐希さんの背中、広いなぁって……
それに意外と筋肉もあってたくましいんだなって……」
「そっか、未来は知らなかったな……
僕、中学から6年間、空手習ってたんだ。
これでも黒帯なんだぞ……」
「えっ、空手やってたんだ?
なるほど、だからボディガードもできるんだ……」
その時、未来の身体に巻いていたバスタオルが、ずり落ちた。
「あ、バスタオル、落ちちゃった。
邪魔だし、もう要らないね」
その言葉を聞いた祐希は緊張した。
(祐希、振り向くんだ、未来の裸が見られるぞ)
(いや、絶対に見ちゃダメだ、未来は大切な幼馴染みだぞ)
祐希の頭の中で理性と本能が戦っていることを、未来は知るはずもなかった。
未来は祐希の身体を丁寧に洗ってくれた。
時折、柔らかいものが背中に当たるのは気のせいか?
「どう? 私のおっぱい、柔らかいでしょ」
「み、未来、からかうのはやめろ」
「私、からかってなんてないよ。今日は本気なんだから……」
未来はそう言うと、祐希の背中にさらに体を密着させた。
「……じゃあ、前も洗って上げるね」
未来は、後ろから手を回すと祐希の首から胸、お腹周りを丁寧に洗ってくれた。
未来の大きな乳房が祐希の背中に密着した。
「そ、そこから、下は自分で洗うからいいよ」
祐希の下半身は、これ以上の刺激に耐えられないほど、熱く張りつめていた。
「遠慮しなくていいのに……」
未来は、下半身も洗おうとしたが、祐希はタオルを奪い取り自分で洗い始めた。
「も~、洗ってあげるって言ってるのにぃ……」
祐希は自分の身体を急いで洗うと、シャワーで洗い流し、タオルで水気を拭いた。
「じゃ、じゃあ、先に上がるからな」
祐希が浴室を出ようと立ち上がると、未来がその前に立ちはだかった。
「待って、私の身体ってそんなに魅力ないかな……
ほら、よく見て……」
初めて正視した未来の身体はあまりに美しく、祐希は生唾を飲んだ。
アイドル顔負けの美しい顔立ち、ツインテールをお団子にした艶やかな髪、それに繋がる細い項、華奢で細い肩。
胸は張りがあるEカップの美乳、腰はきゅっとくびれ、ヒップラインも美しい。
そして中央部分には淡い茂み、それに続く細い足、ハリのある健康的な肌。
細身ながらも出るところは出ており、まさに理想的なバランスだった。
「未来、と、とても綺麗だ……」
未来の身体は瑞々しくフレッシュで、明日奈とはまた別の魅力に溢れていた。
「私、祐希さんが、好きなの……
好きすぎて、夜も眠れないほど……大好きなの……
私の、私の初めてを……あげる……
だから……私を彼女にして……」
祐希は未来の直球勝負の告白に、自分の正直な気持ちを伝える覚悟を決めた。
「未来、僕を好きだと言ってくれてありがとう……とても嬉しいよ……
でも、まだ自分の気持ちがよく分からないんだ……
だから、ごめん……未来と付き合うことはできない。
煮えきらない返事で、本当にごめん……」
「なんで……なんでなの?
さくらちゃんが……好きだから?」
「……彼女を好きだという気持ちは、確かにある……
でも、未来を好きだという気持ちも、確かにあるんだ……
だから、今はまだ決められないんだ……」
「私を彼女にすれば、この身体、好きにできるんだよ……
私とエッチしたくないの?」
「したいよ、したいに決まってるさ。
こんな魅力的な女の子に誘惑されたら、男なら誰だってしたいさ……」
「じゃ、じゃあ、しちゃえばいいじゃない……
ほら……ここは正直みたいよ……」
未来は元気一杯になっている祐希の下半身を指さした。
祐希は全裸の魅力的な未来を目の前にして、理性を総動員して自分を制していた。
「確かにその通りだ……。
未来の身体があまりにも魅力的だから、それに僕の身体が反応してるんだ……
未来が本気だということも、十分伝わった……
でも、今の気持ちのまま流されたら、未来との今までの関係まで壊してしまいそうで……
そしたら、きっと後悔する……
だから、僕の心は変わらないよ。本当に、ごめん……」




