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第42話 ラブホテル

 ホテル「アバンチュール」は、柏琳台駅前の飲み屋街の外れにあるラブホテルだ。

 祐希は、具合が悪くて歩けないという未来(みく)を休ませるため、ホテルへ入った。


 2人は、エレベーターで3階まで上がり、指定された部屋のドアを開けた。

 ぐったりした未来をおぶったまま、祐希はゆっくりと膝をつきベッドに寝かせた。


「未来、大丈夫か?」


「ありがとう、祐希さん。

 少し横になれば、治ると思うから……」


「分かった、そばにいるから安心して眠りな」

 祐希の優しい言葉に、罪悪感を感じながら未来はうなずいた。


 しばらくすると、ベッドから未来の静かな寝息が聞こえ始めた。

 寝たふりをしようとベッドに横になった未来は、ライブの疲労から睡魔が襲い、本当に寝てしまったのだ。


「やっぱり疲れていたのかな……」

 祐希はすることがなくなり、初めて入ったラブホテルの室内を見て回ることにした。


 部屋には冷蔵庫があり、有料ドリンクが何種類かと無料のミネラルウォーターが入っていた。

 壁掛けテレビのスイッチをリモコンでオンにすると、アダルトビデオの濡れ場が映し出された。

 祐希は慌てて電源スイッチをオフにした。


 部屋に隣接した曇りガラスの引き戸を開けると、そこは脱衣所と洗面所があり、その奥が浴室だった。

 浴槽は大きな円形のバスタブにジャグジーが付いているタイプだ。


「せっかくだから、未来が寝ている間に風呂に入るか……」

 祐希は独り言を呟くと、浴槽にお湯を溜め始めた。


 10分ほどで浴槽は満杯になり、祐希は脱衣所で服を脱ぐとシャワーで身体を洗い、浴槽に入った。

「あぁぁ~っ、染みるな~」

 思わず声が出てしまうほど、気持ちの良いお湯だった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 未来が気が付くと一人でベッドの上で寝ていた。

 少しだけ寝たふりをしようと思っていたが、不覚にも本当に寝てしまったのだ。

 時計を確認すると、寝てから30分ほど経過していた。


 風呂場の照明が灯り、水音が聞こえるので、祐希は風呂に入っているのだろう。


 未来はベッドから起き上がると、服を脱ぎ始めた。

 ブラとショーツも取り去ると、自分の身体にバスタオルを巻いた。

 そしてツインテールの長い髪を、くるくるとお団子にして頭の上にまとめた。


 そして姿見に自分を映して全身をチェックすると、「完璧」と握りこぶしを作った。

「未来、ここが勝負よ!

 祐希さんの(ハート)を絶対に射止めるんだからね!」

 自分にそう言い聞かせ、未来は浴室の前に立った。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「お風呂、入ってもいいですか?」

 それは紛れもなく未来の声だった。


「未来、体調良くなったのか?

 身体洗ったら上がるから、少し待ってくれ」


「私、祐希さんの身体洗ってあげたいの。

 だから入るね」


「ちょ、ちょっと待てよ」

 祐希がそう言い終える前に浴室のドアが開き、バスタオル一枚を巻いただけの未来が目に飛び込んできた。


「み、未来、なんで入ってきたんだ!?」


「き、気分悪いの治ったから、お礼に背中流してあげようと思ったの……」


「い、いいよ、自分で洗うから……

 未来は、裸見られても恥ずかしくないのか?」


「それは、恥ずかしいけど……

 祐希さんなら、未来の裸見てもいいよ」


「未来は、いいかもしれないけど、こっちが恥ずかしいんだよ」


「お風呂、一緒に入ってもいいでしょ」

 それに対する祐希の返答は無かった。


「あ~ん、もう……

 面倒くさいから、このままお風呂入っちゃお」

 未来は、バスタオルを巻いたまま浴槽に入り、後ろ向きに座ると祐希に身体を預けた。


「あ~、気持ちいいお湯」

 未来は心臓が飛び出そうなほど緊張していた。


 未来に寄り掛かられた祐希も緊張していた。

 祐希のすぐ目の前には、未来の白い(うなじ)がある。

 さらにその先には、大きな胸の膨らみが見えた。


 バスタオルを巻いているが、その下は間違いなく裸だ。

 手を前に回せば届く距離に未来の乳房がある。

 未来の柔らかそうな乳房を触ってみたい。

 祐希は、自分の衝動を抑えるのに必死だった。


「い、一緒にお風呂に入るの、久しぶりだね……」

 未来が沈黙を破った。


「ま、前って言っても、小学1年生ぐらいまでだぞ……」


「あの頃は、泥だらけになって遊んで、母によく叱られたよね……」


「そうだね、ほぼ毎日遊んでたから、ホントに兄妹(きょうだい)みたいだったね」


「祐希兄ちゃんと遊ぶの楽しかったな……

 でも、その頃から、私、祐希さんが好きなの」


 未来はついに祐希に好きだと告白した。

 彼女の心臓の鼓動が祐希に伝わるのではないかと思うほど、ドキドキしながら……


「えっ、それ本当?」


「う、嘘ついてどうするの……

 転校するまで、私の憧れの人だったのよ」


 未来の真っ直ぐな告白に、祐希は心臓を鷲掴みにされたようだった。

 あまりの衝撃に、どう返していいか分からず、とっさに言葉をはぐらかしてしまった。

「転校してから、忘れちゃったんだろ」


「そんなことないわ……

 時々思い出して、祐希さん今頃何してるかなって、いつも思ってたよ」


 未来からさり気なく好きだと告白され、祐希の鼓動も早鐘のように鳴り出した。

※創作活動の励みになりますので、作品が気に入ったら「ブックマーク」と「☆」をよろしくお願いします。

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