第135話 姫始め
「3人で『姫始め』しましょ」
明日奈の甘い言葉に導かれ、祐希と沙織は広々としたキングサイズベッドへ上がった。
(……恐らく、これが祐希と愛し合う最後の夜になるわね)
明日奈は、込み上げる万感の想いを抑えながら、優しく微笑んだ。
「ふふっ……最後の夜だから……
私と沙織ちゃんで、一生忘れられないくらい濃密な思い出にしてあげるわね」
明日奈は真正面から祐希に抱きつくと、背中に腕を回した。
祐希の体温、匂い、力強い鼓動。
そのすべてを自分に深く刻み込むように、明日奈は祐希をきつく抱きしめた。
「明日奈……」
いつもより強く抱きしめてくる彼女に、不思議そうな顔をする祐希。
明日奈は両手で祐希の頬を包み込み、慈愛に満ちた微笑みを浮かべると、そのまま唇を重ね、いつもより深く激しい口づけをした。
密着した肌と肌、濃厚で刺激的な愛撫。
沙織は2人の横で頬杖をつきながら、その様子をじっと見つめていた。
(……「月に一度、自分の欲求を満たすため」って、明日奈さんは言ってたけど……。
間近で見る2人は、どう見ても深く愛し合っている恋人同士にしか見えない……)
目の前で繰り広げられる、義姉と義弟の甘く濃厚な行為。
(明日奈さんは、先輩の恋を応援する『義姉』でいなければならない……
だから、『愛』って言葉は決して口にできない禁句なんだわ……)
真っ白なシーツの上で激しく絡み合う祐希と明日奈を見つめながら、沙織はそんなことを考えていた。
やがて2人に限界が訪れると、明日奈は祐希の背中に回した腕にぎゅっと力を込めた。
「あ……っ、祐希、祐希ぃ……っ!」
切羽詰まった甘い声と共に、明日奈は快感に身体を大きく震わせる。
互いの熱を確かめ合うように深く抱き合ったまま、彼女は祐希の上で愛おしそうに果てた。
しばらく余韻に浸っていた明日奈が徐に沙織に言った。
「さ、沙織ちゃん……今度は、あなたの番よ」
明日奈は祐希の身体から下りて傍観者となった。
2人の濃厚な行為を見せつけられ、沙織の身体は蕩けるような情欲に支配されていた。
「先輩……私をたくさん愛してくださいね……」
沙織はヘアゴムを口に咥え、髪をまとめ始めた。
長い栗色の髪が高い位置で束ねられ、白いうなじが露わになる。
それは祐希好みのハイポジションのポニーテールだった。
その無防備なうなじと、揺れる髪の動きが、祐希の男の本能を強烈に刺激した。
「沙織のポニーテール……すごく可愛いぞ」
「先輩……ありがとうございます」
髪を結い終えた沙織は、ベッドの上で腕枕して待っていた祐希の上に跨った。
彼女は仰向けの祐希の胸に手をつき、その昂りにゆっくりと腰を沈めていった。
「んっ……っ。先輩の……全部、収まりました……」
沙織はあまりの気持ちよさに顔を歪めながら、自ら腰を上下させ始めた。
動くたびに、ポニーテールが左右に激しく揺れる。
その躍動感と、苦悶と快楽が入り混じった表情のギャップ。
若い張り詰めた乳房が揺れ、祐希の視線を釘付けにする。
「見てっ……私が、先輩とひとつになってるところ……っ!」
沙織は腰を揺らし、祐希の昂りを包み込みながら擦り上げた。
自ら快楽を貪るその姿は、普段の「後輩キャラ」とは違う、一人の女の顔だった。
「……明日奈さんも、見ててくださいね。私と先輩が、繋がってるところ」
沙織はふと視線を横に向け、傍観する明日奈に向かって艶やかに微笑む。
そして、見せつけるように腰の動きを深く、速くしていった。
「ああっ、んっ! 先輩の、奥まで、来てる……っ!」
ポニーテールが激しく揺れ、柔らかな双丘が大きく上下する。
視覚からも強烈に煽られた祐希は、たまらず沙織の細い腰を両手で掴んだ。
「沙織……っ、イくぞ」
「ひゃあッ!? だ、だめっ、そんな下から、激しっ……あぁんッ!!」
主導権を奪い返すような祐希の力強い突き上げに、沙織は白いうなじを反らせ、可愛らしい悲鳴を上げ、ビクビクと激しく痙攣して果てた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
沙織が力尽きて倒れ込むと、今度は明日奈が祐希の正面から抱きついた。
祐希は明日奈の身体を四つん這いにさせた。
ベッドに肘をつき、形の良いヒップを高く突き出したその姿は、彼女にとって最も恥ずかしい体勢だった。
祐希がその腰を掴んで荒々しいリズムを刻み始めると、明日奈の豊かな胸がシーツの上で揺れ、髪が乱れた。
「……ねえ、祐希。この格好、恥ずかしいわ……」
その様子を見ていた沙織が、ふと悪戯っぽい笑みを浮かべた。
彼女は顔を近づけ、明日奈の恥ずかしいところをまじまじと覗き込んだ。
「明日奈さん、すごいです」
「っ!? さ、沙織ちゃん……? 何が……っ」
明日奈が驚いて振り返ろうとするが、祐希の激しい動きに阻まれて動けない。
「明日奈さんの恥ずかしいところ、丸見えです……
先輩と深く繋がっているところまで……全部見えます」
その言葉は、明日奈の羞恥心を極限まで刺激した。
「い、いやっ……! 沙織ちゃん、見ないでっ……!」
明日奈は顔を枕に押し付け、必死に首を横に振った。
だが、沙織は容赦しなかった。
「ダメです。こんなに綺麗なのに。
ほら、深く絡みついて、先輩の全部を欲しがってるのが分かります。
明日奈さんって、淫乱だったんですね」
「……あぁんッ! や、やめてぇ……ッ!
そんなこと言われたら……おかしくなるぅ……ッ!」
「見ないで」と言いながらも、明日奈の柔らかな最奥は祐希を強く締め付け、熱い雫を溢れさせていた。
年下の女子に無防備な姿を見られ、言葉責めされる背徳感。
それが明日奈の中に眠る淫らな悦びを覚醒させた。
「あっ、あっ、あぁッ! 祐希っ、すごくっ、深いっ!
沙織ちゃんが見てるっ……恥ずかしいっ……でも、イキそう!」
明日奈は激しく腰をくねらせた。
「あ、だめっ、イっちゃうッ!
イっちゃうぅぅぅッ!!」
明日奈は絶叫と共に、美しい背中を大きく反らせた。
かつてないほど激しい痙攣が彼女の全身を襲い、祐希の昂りを極限まで締めつける。
その収縮に耐えきれず、祐希もまた、低い呻き声と共に全てを吐き出した。
ドクン、ドクン、と脈打つたびに、滾るような熱い想いが明日奈の最奥へと注ぎ込まれる。
明日奈はガクガクと震えながら、とろんと瞳を潤ませて快楽の余韻に浸っていた。
全てが終わった後、3人は折り重なるようにしてベッドに沈んだ。
「はぁ……はぁ……。もう、明日奈さん……最高でした」
沙織がくすくすと笑いながら、明日奈の汗ばんだ背中に抱きつく。
明日奈はまだ火照った顔を枕に埋めたまま、恨めしげに、けれど幸せそうに呟いた。
「……沙織ちゃんのいじわるぅ……
でも……忘れられない夜になったわね」
祐希は両手に2人の温もりを感じながら、静かに目を閉じた。
愛という言葉を使わずとも、身体と心が溶け合った「姫始め」。
この夜の記憶は、3人だけの秘密として、永遠に刻まれることだろう。
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