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第128話 深夜の秘め事(1)

 夕食が終わり、寝るまでの時間、3人で仲良くトランプで遊んだ。

 神経衰弱やババ抜き、大貧民など、それぞれの性格がよく出ていて面白かった。

 総じて言えるのは、沙織がトランプに弱く、明日奈が強いという事だった。

 沙織は友達が少なかったためか、トランプ自体、あまりやったことがないらしい。


 午後10時30分、就寝の時間となった。

 この部屋の間取りは、ツインベッドの洋室と、それに続く和室だ。


「私と祐希くんは、ベッドを使わせてもらうから、沙織ちゃんは和室のお布団を使ってね」


「はい! ありがとうございます!

 こんなフカフカなお布団で寝られるなんて、幸せです」


 沙織は快諾し、布団へとダイブした。


(ふすま)は開けておくね。

 閉め切っちゃうと沙織ちゃんも寂しいでしょ?」


「あ、はい! その方が嬉しいです!」


 布団から顔を出した沙織が、嬉しそうに同意した。


「それじゃあ、おやすみなさい」


 明日奈がベッドサイドのスイッチで、部屋の照明を落とした。

 ベッド下にある常夜灯のほのかな明かりだけが残る。


「おやすみなさい、明日奈さん、先輩」


 和室から沙織の無邪気な声が聞こえた。

 祐希と明日奈もそれぞれのベッドに横たわり、静かに羽毛布団を引き上げた。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 深夜0時。

 『翠嶺閣瑞峰』501号室は、深い静寂に包まれていた。

 隣の和室からは、沙織の規則正しい寝息が微かに聞こえてくる。


 その静けさを破ったのは、微かな衣擦れの音だった。

 祐希のベッドの羽毛布団が音もなくめくられ、甘い香りと共に火照った身体が滑り込んできた。


「……祐希、起きて……」


 耳元で囁く濡れた声。

 祐希が目を開けると、そこには全裸の明日奈がいた。

 月明かりに照らされた瞳は、情欲で潤んでいる。


「あ、明日奈……

 沙織がいるから、まずいって……」


「大丈夫、ぐっすり寝てるわ。

 ……私、ダメなの。もう、我慢できない……」


 明日奈は祐希の口を掌で塞ぐと、跨るようにして体を押し付けた。

 生理前の身体の疼きは、理性を焼き尽くし、ただひたすらに快楽へと彼女を駆り立てていた。

 抵抗する間もなく、祐希のブリーフが下ろされ、2人は一つに繋がった。


 ――しかし、深い静寂に包まれた深夜の部屋では、どんなに押し殺しても微かな異音は隠しきれない。


 和室で熟睡していた沙織は、規則的に響く耳障りな音で目を覚ました。


(これって……何の音?)


 最初は、それが何の音か分からなかった。

 眠い目をこすりながら、暗闇の中でじっと耳を澄ませる。

 ギシッ、ギシッ……と、スプリングが軋むような音が、一定の間隔で響いている。

 音の出所は、洋室の祐希が寝ているベッドからだった。


 さらに聞き耳を立てていると、その軋み音に混じって、押し殺したような微かな声が聞こえてくる。


「んっ……あぁ……」


(え……?)


 沙織の心臓が、ドクンと跳ねた。

 それは間違いなく、女性が快楽に喘ぐ甘い声だった。


 最初は半信半疑だった。

 まさか……ありえない。

 仮にも義理の姉弟の明日奈と祐希が……

 こんな深夜に、分別ある2人が……そんなことをするはずがない。

 沙織は、自分が悪い夢でも見ているのかと思った。


 彼女は真偽を確かめるため、息を殺して布団を抜け出した。

 そして、音を立てずに洋室へ入り、暗闇で目を凝らしながら、ベッドの傍まで忍び寄った。

 近づくにつれ、肌と肌がぶつかる生々しい音や、熱を帯びた吐息までもが、はっきりと聞こえた。


 月明かりに照らされた羽毛布団の中で、2人は(よろこ)びの声を押し殺し、うごめいている。

 これはどう見ても、2人がセックスしているとしか考えられない。


(……嘘でしょ?)


 沙織はベッドの脇に立つと、意を決して羽毛布団を剥ぎ取った。


「――何してるんですかッ!?」


 露わになったのは、全裸で絡み合う2人の姿だった。

 結合部は隠しようもなく、情事の真っ最中であることは明白だった。


「ッ!?」


 祐希と明日奈は凍りついた。

 沙織は仁王立ちになり、涙目で2人を睨みつけた。


「信じられない……!

 明日奈さんと先輩は、義理とはいえ姉弟ですよね!?

 こんなことしていいと思ってるんですか!」


 沙織の糾弾は止まらない。

 矛先は祐希へと向いた。


「それに先輩!

 私には『さくらさんが好きだから』ってエッチを断っておいて……

 義理の姉ならエッチしてもいいんですか!?

 さくらさんと両想いなんですよね!?

 これは、どう考えても裏切りじゃないですか!」


 正論の嵐に、祐希はぐうの音も出なかった。

 明日奈は祐希から離れると、浴衣を羽織り、静かに口を開いた。


「……ごめんね、沙織ちゃん。私の話を聞いて」


 明日奈は、淡々と、しかし真摯に事情を説明した。

 女盛りである自分は、生理前になると、どうしても抑えきれない性衝動に襲われ、月に1度、この時期に祐希に鎮めてもらっていること。

 自分は未亡人であり、祐希とは血縁関係がなく、男女の関係になったとしても法的に何の問題もないこと。

 そして――祐希とさくらが正式に交際を始めたら、この関係はきっぱり終わらせること。


「……私が無理を言って、付き合ってもらっているの。

 祐希くんは悪くないわ」


 明日奈の告白を聞き、沙織の表情から険しさが消えた。

 未亡人ゆえの孤独と淋しさ、そしてこれがもうすぐ終わる関係であること……

 境遇こそ違え、複雑な事情を抱える沙織には、明日奈の心情が痛いほど分かった。


「……そうだったんですか……」


 沙織は深くため息をついた。

 だが、次の瞬間、彼女は顔を上げ、頬を膨らませた。


「事情はよく分かりました。

 ……でも、私だけ仲間外れはズルいです!」


「え……? ズルいって言われても……」


 あっけにとられる祐希の目の前で、沙織は身に纏っていた下着を足元に落とした。

 月明かりに浮かび上がった沙織の肌は、白磁のように美しく輝いていた。


「……私も、仲間に入れてください」


「……いいわよ。3人でエッチしましょ」


 沙織は無言で頷くと、広々としたキングサイズベッドへ上がり、祐希の隣へ身体を滑り込ませた。


「先輩……私だって、ずっと寂しかったんです。私にも……愛をください」


「……沙織」


 沙織は祐希の首に腕を絡ませると、抑えきれない想いをぶつけるように唇を塞いだ。

 祐希の背中には明日奈の豊満な胸が押し付けられ、正面からは沙織の若々しい弾力が迫ってくる。

 成熟した大人の色香と、弾けるような少女の甘い匂い。

 異なる2つの芳香に包まれ、祐希の理性は呆気なく崩壊した。


「ふふ、沙織ちゃんったら……そんなに焦らなくても、祐希は逃げないわよ」


 明日奈は余裕の笑みを浮かべながら、沙織の背中を愛でるように撫で、そのまま指先を彼女の敏感な部分へと這わせた。

 その刺激に沙織の口から甘い声が漏れ、口づけを通して祐希に伝わる。

 3人の身体は互いに絡み合い、深い快楽の沼へと沈んでいった。

※創作活動の励みになりますので、作品が気に入ったら「ブックマーク」と「☆」をよろしくお願いします。

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