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壮大な嘘告白をされ人間不信になった僕、後ろの席の女の子が付きまとってくるようになる  作者: 有原優


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第89話 芹原(善?)

「カラオケ楽しかったね」


 鈴美はそう言って笑った。

 今の僕たちにあるのは、辛い気持ちではなく、楽しかったカラオケでの出来事だ。

 勿論僕たちの家にそこまでのお金があるわけではない。

 だけど、一番お金がない時に比べればだいぶ楽になっているのだ。


 今はネガティブな事は忘れてしまった方がいい。

 今は楽しい事ばかり考えたほうがいいのだ。


 夕食は一緒に食べないけれど、でも今日は十分一緒に楽しんだ。

 あの時と違い、家には芹原がいないから帰るのも苦じゃない。

 勿論鈴美がいないから、少し寂しいけれど。

 でも、今の時代ビデオ通話も出来るから、そう考えればそこまでなのかもしれない。


 寂しかったら夜に電話をかけられるし。

 和歌山県にいた時と違って、スマホが復活したのだ。

 そう言えば相原は今どうしているのだろうか。

 相原に関しても嫌いではあるけれど、


 まあ結果として彼女のおかげで、解決に導かれたようなものだ。

 今思えば不思議だ。

 勇気が無い、逃げてばっかり見たいなことを言われたから、それに反発して勇気が出るなんて。


 そして僕は家に入った。

 家にはまだ誰も帰ってきていないようだ。

 姉ちゃんはまた何か出かけているのだろうか。



 そんな事を考えながら部屋に入る。


 ベッドにダイブだ。


 とりあえず、睡眠をしよう。

 今日は疲れた。

 歌を歌うのは楽しかったけれど、その前の芹原関係の出来事でだいぶ体力を使ってしまった。


 僕はベッドに寝転がり、そして目を閉じた。


 ★


 in adream



「陽君」


 えななんが僕の手を掴む。


 僕たちは一緒に初もうでに出ていた。

 隣のえななんはお正月らしく気が座られ、その美人な顔がさらに強化されている。

 その顔を見ると、ドキッとする。


「あはは、陽君照れてる」


 なんていう言葉にまたどきどきとした。


 そしていざ、お賽銭。

 僕は10円玉を入れて、いつまでもえななんの隣に居られますようにと、願った。


 ★



「はあはあ」


 なんて悪夢だ。悪寒が走る。

 何でこんな夢を見なければならないんだろうか。


 芹原恵奈と一緒に初詣に行く夢なんて、最悪の他に言う言葉はない。


 その時、僕の隣に人がいる事に気が付いた。


「誰だ」


 そう僕は叫んだ。

 その時ようやく先程の夢の理由が分かった。

 そう、隣にいたのは芹原なのだ。

 なぜ、彼女が僕の隣で寝ているのかは、全く分からない。

 分からないけれど、一つ分かるのは、


 僕は窮地に立たされているという事だ。


 兎に角この場を離れないと。


「んっ」


 僕にしがみついてきた。

 やばい、蕁麻疹が出る。


「私の運命の人っ!!」


 うん、運命の人じゃないよ。


 僕は運命の人なんかじゃないよ。

 そんな事を言いたいのにどうしてこの子は。



「少し君の事を聞かせてもらってもいいかな」


 逃げられないことを確信し、とりあえず僕は対話に走る


「何でも聞いていいよ」


 そう言って、髪の毛をさらっとさせる。

 なんとなくだけど、性格は子どもみたいだな。


「じゃあ、遠慮なく聞かせてもらおう。君が僕の事を運命の人と言っているのはなんで?」

「決まっているじゃないですか。わたしにとってあなたが大切だからです」

「いや、それじゃああまり意味が分からないんだけど」

「分からないんですか? この私のキラキラとした目が」

「ごめん、そういう意味じゃないんだ」


 これは安心できる事なんだけど運よく今の僕は彼女と上手く対話が出来ている。

 あまり嫌悪感は出ていない。

 不思議だ。

 もっといやになるのかな、なんて思っていたのだから


 勿論ずっと話すのは嫌なのだけど。


「なあ、一ついいか?」

「何でしょう」

「君はどうやって入ったんだ?」

「え?」


 目を丸くした。


「鍵空いてましたよ」

「え?」


 嘘だろ。


「鍵を閉め忘れたのでしょう」

「嘘だろ」


 正直ショックだ。


「だから私が入れたのですけれどね」


 だとしてもあまり入って欲しくはなかったんだけど。


 まあそんな事を言っても仕方がない。


「もう一つ聞きたいんだけど」

「何なりと」

「君は今、記憶はあるのか?」

「無いですよ」


 はっきりと言ったな。


「でも、わたしは目覚めた時には既に貴方様への気持ちを感じていました」

「感じていた、ね」

「はい」


 その言葉に、僕は何とも言えないわ感を感じた。


「君は元々の芹原恵奈とは別人なんですよね」

「うん、わたしが陽君を傷つけてたらしいことは聞いたよ。それに関しては申し訳ないと思ってる。ごめん!!」


 頭を下げた。


 その言葉に嘘偽りはなさそうで、頭が混乱してしまう。


「うぅ」


 その瞬間、彼女は胸元を抑える。

 傷が開いたのだろう。


「まだ、傷が治ってないのか?」

「うん、そうみたい」

「ならなぜ、抜け出したんだ」


 僕がそう叫ぶと、


「会いたかったから」


 会いたかった、なんて言われても困るだけだ。


「とりあえず」僕は呟く。


「病院に戻ろう」


 そう言うと、僕に抱き着いてきた。

 ああ、困る。こういった無邪気な悪意が一番困る、何しろ、責めずらい。


「行こう」


 僕はそう言った。


 僕の家には車がない。

 父さんは一応免許を持っているのだが、車はやはり維持費が高いらしい。

 例えば税金、例えば駐車料金、例えばガソリン代。例えば車検。そんな訳で、車を買うのは厳しいらしい。


 だから僕は、彼女を背中におぶりながら歩いていく。

 言えに姉ちゃんがいたら、姉ちゃんに押し付けてあげたいのに。

 今も軽い吐き気に襲われてる。病院が徒歩10分県内に無ければかなりきつかった。


 僕は病院についた。

 そして、すぐに病室へと連れていく。


「やだよう」


 病院に入った瞬間に、背中の芹原はそう言った。

 我儘を言うな、なんて言いたくなった。

 その気持ちをグッと抑えて、


「どうして?」


 そう、僕は聞いた。すると、


「yだよう、陽君と一緒に居たい」


 まるで小学生だ。

 運命の人とか言ってた時よりもさらにIQは下がっている、ような感じがする。


「芹原」

「えななんって呼んで」


 それは、同じなのかよ。


「なんで僕といたいの?」

「寂しいから」


 寂しい。


「でも、傷口が開くから、だめだ」


 僕は言い放つ。

 普通に考えていい訳がない。

 いいというのならそれはおかしい。

 そもそもこんなことを言えば元も子もないけれど、


 さっさと病院に送り届けたい。そして、僕は家に帰って再び寝たい。


「ぶぅ」


 そう、怒りを表してくる。

 いや、そんな事をされても、どうしたらいいか分からない。


 ほんとうに精神年齢下がってないか?


 何が楽しくて、僕は芹原を背負わなければならないんだろうか。

 油断をすればいくらでもため息は出てきそうだ。


 僕が病室で看護婦の方に芹原をさし渡すと、感謝された。


「帰らないで」


 なんて言われたが、そろそろストレスで叫びそうだ。

 僕は、その言葉を無視して歩いていく。


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