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壮大な嘘告白をされ人間不信になった僕、後ろの席の女の子が付きまとってくるようになる  作者: 有原優


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第72話 海

明けましておめでとうございます

 僕たちは朝の便のバスに乗り、そのまま白浜まで向かう。

 そこまでは中々の距離があるみたいだ。


 白浜は和歌山県の裏側にある。

 鈴美の家からはそこそこの距離があり、1時間くらい電車で揺られる必要があるみたいだ。


 僕は、電車に乗りながら鈴美の顔を見る。


「どうしたの?」

「電車でこんなに遠くまで行くの初めてだから」

「ここに来てから初めてだもんね」


 そう言って鈴美は笑う。


「今日は遊びつくすから覚悟してね」

「分かってますよ」


 僕も頷く。

 今日は正直楽しみな気持ちでいっぱいだ。


 そして、海につく。

 そこにはきれいな海岸が流れていた。

 僕はそれを見て、「うわあ」なんて言葉をこぼす。


 奇麗だ。


「わたしも始めて来るんだよね」

「鈴美も?」

「うん」


 鈴美が頷く。


「だって遠いし」

「ですね」


 鈴美の家からも、二時間かかった。


 県内の移動なのに、二時間かかるとは凄い距離だ。

 そう易々と行ける場所ではないのだろう。



「じゃあ、着替えて来るね」


 そう言ってロッカールームに勢いよく向かう鈴美。


 正直鈴美の水着は楽しみだ。

 この前は芹原の件が会ったから、本当の意味で楽しめているかなんてわからない。

 だけど、今日は二人きりだ。


 愉しむ準備は十分にできている。

 それに、鈴美に対する疑念ももう晴れたわけだし。

 僕は、今日は楽しみ尽くしたい。僕自身そう思っている。



 だけど、ぼうっとなんてしていられない。

 着替えなければならないのは鈴美だけじゃない。僕もだ。


 早速ロッカールームに向かっていく。


 そこで服を着替える。周りには大勢の男性がいた。

 日焼けをしている。僕の苦手な人種だ。


 そう、陽キャだ。



 芹原たちのグループには、男子はいなかった。

 だけど、偏見を持ってしまっている。


 陽キャは虐めるだろうと思っている。


 嫌な偏見だ。


 だけど、恐れる気持ちは隠せないもので、僕は自分のへなちょこな体を隠しながら、着替えていく。

 周りの人たちはムキムキで、筋肉自慢が好きそうな感じがする。


 あまり目を付けられたくない。


 慌てて着替えた後、僕は更衣室を出た。


 そして、ふう、と息を切らしながら見る。


 面前には素晴らしい海だ。

 鈴美はまだ来ていないようだ。

 貴重品をコインロッカーに入れて僕は海に足を踏み入れる。


 海に足を入れる。気持ちいい。


 海水がひんやりと僕の足を冷やしてくれる。

 そしてこの気温。


 両者が上手く絡み合って、素晴らしい気持ちよさだ。

 ざぶざぶと奥に入っていく。

 段々と、冷たいが勝っていく。

 だけど、慣れればきっと大丈夫だろう。



 そして肩までつかる。気持ちいい。

 僕は足を地面から放し、そして泳いでいく。

 そう、すいすいと、泳いでいく。




「何先に泳いでるの?」


 声が背後からした。振り向くとそこには鈴美がいた。


「ごめん」


 僕はそう言って謝罪をする。すると鈴美は笑顔で「いいよ!」と言ってくれた。


「でも、一緒のタイミングではいりたかったな」

「ごめん」

「大丈夫」


 そして、僕は鈴美の手を取る。そして一緒に海に入っていく。



「陽太君と海入るの楽しい」

「そうだね」


 僕も鈴美と一緒に海に入るのは楽しい。



 それにしても、


「鈴美、今日も水着決まってるね」


 僕はそう言った。むしろ僕の水着がダサく見えてしまう。


 そもそも、僕の水着は、持ってこれなかった。だから、今の僕のは一さんから借りたものだ。


 一さんに対して感謝はしている者の、おしゃれなものではない。

 勿論そのことに文句を言ってしまっては厚かましすぎるのだが。


「エロい?」

「そんなこと言わないでくださいよ」


 冗談でも、辞めて欲しい。


 すると、鈴美は笑って見せた。



「ねえ、陽太君、向こうまで泳いでみようよ」


 元気よく言う鈴美。


 向こう。それは、遊泳可能スペースの端を示す浮かぶ球の場所だ。


「僕、そこまで泳げないよ」


 抵抗のために言う。


 僕はそこまで泳ぐのが得意ではない。

 プールなんて言う、溺れる可能性のない場所ならまだしも、海でいきなりはきつい。


「もう少し慣れてからで、お願い」

「えー」鈴美は不貞腐れる。

「ごめん」僕が再び手を合わせると、「仕方ないなあ」なんて鈴美は言って笑う。



 そして二人して、ぎりぎり足のつかない場所で泳いでいく。

 ゆらりゆらりと、ゆっくりずつ。



 鈴美はもう元気よく泳ぎたいだろうに、僕に付き合ってくれるとは優しい。


 そして二人して暫くの間。泳いでいった。


 そして、僕は覚悟を決めた。

 何の覚悟?

 勿論決まっている。


「鈴美、もう泳げると思う」


 僕はそう言った。すると鈴美は「本当?」と嬉しそうな笑顔を浮かべる。


 そして僕は鈴美と一緒に泳いでいく。

 正直感じは慣れた。

 そこまで遠い距離じゃないし、なんとか泳げると思う。

 もし、泳げなかったとしたら、それはごめんなさいという事になる。


 僕は正直人に迷惑をかけたくない。無事に戻りたいところだ。

 よく、準備運動をしてからじゃないと、海で溺れるかも見たいなことを言われるが、今日はきっと大丈夫だと思う。


 既に結構体がほぐれてきた。



 そして、バタ足で泳いでいく。これでちゃんと泳げているのかは分からないけれど、とりあえず形は出来ていると思う。


 なんとか、かろうじてだけど、進んではいる。


 溺れることはなさそうだ。海水に含まれている塩のおかげかもしれない。


 そして、なんとか端まで泳ぎ切った。ボールにつかまり、体勢を取り直すと、「はあはあ」と、息を整えた。


「無事に行けたね」

「うん、行けた」


 僕が頷き、鈴美が手を差し出してくる。

 僕は、片手をあげ、それに返す。


 ハイタッチだ。


「楽しいね」

「うん」


 そして僕たちはもう一度ハイタッチを交わした。

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