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壮大な嘘告白をされ人間不信になった僕、後ろの席の女の子が付きまとってくるようになる  作者: 有原優


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第70話 秘密

 その翌日早速家を出た。

 僕たちは山の上を歩く。


 しかし相変わらず、何もない殺風景だ。


「そう言えば、コンビニとかは?」

「無いよ」


 やっぱりないんだ。


「山を降りなきゃだね」

「そうなんだ」


 コンビニが身近にない。それってどういう感じなのだろうか。

 勿論それは予想が出来ない事だ。


 だけど特に不便さを感じていないのは、鈴美の実家、御堂家が居心地がいいからだろうか。

 そもそも、普段コンビニを使う機会なんて、ほとんどない。

 水とかを買うだけだ。

 そう考えれば、別になくてもいいのかもしれない。


 そして歩いていく。この前とは少し違う場所だ。


 今日は主として僕が行きたい場所に行く予定ではある。


「どこまで行くの?」


 鈴美は疑問を呈する。


「お楽しみ」


 僕はそう返答をする。

 鈴美は疑心暗鬼だろうが、実の所僕も行先を明確に決めているわけではない。

 ただ心のままに決めているだけだ。


 どこに行けばいいのかも分からない。


 だけど、そんな旅もここを知るために必要なのだ。



「ストップ」


 突然鈴美が言った。


「そこから先は危険だよ」

「っそうか」


 確かにこの先は軽く山木に囲まれる。そこに行けばどうなるかなんて聞かなくても分かる話だ。


「ねええ、本当にどこに行こうとしてるの。てか、陽太君、場所分かるの?」

「分からない」

「え?」


 その言葉に僕は静かに首を振る。

 すると、鈴美はまじかーとでも言いたげに頭を抱えた。


「僕は鈴美の生まれ故郷の事が知りたいんだけど、でも鈴美の案内だけじゃ面白くはないと思ったんだ」

「それってどういう事?」

「スマホにも人にも頼らずに散歩したいなって思ったんだよ」


 これは正直言って少し無理がある、と僕は思う。


 でも、これはもちろん僕の本心でもある。


 鈴美が、僕の顔をじっと見る。


「どうしたの?」

「陽太君何か隠してるでしょ」

「え?」


 図星だ。だけど、それを言ったら、


「鈴美も僕に何か隠してるでしょ」

「お互い様だね」

「隠してることは、ばらしていいの?」

「あ」


 鈴美が口元を抑える。


「白状した?」

「白状、か……」


 鈴美が憂い気な表情を見せる。


「陽太君、知りたいのはなに?」

「……鈴美がここが好きじゃない理由」

「やっぱりそれなのね」


 鈴美は息をゆっくりと吐く。


「隠してるっていうよりも、しょうもない理由だから」

「黒歴史の事、じゃないんだよね」

「うん」鈴美は頷いた。中二病の事だ。


「私がこの村の事が好きじゃない理由は、何もない事もあるんだけど、両親の事もあるの」

「両親の事?」


 鈴美が頷く。



「私の両親、この村では結構嫌われてるの」

「嫌われている?」


 そんな感じはしなかったけれど。


「香奈ちゃんとの会話の時は、あの子が気を使ってか、言わなかったんだけどね、私がいじめられた理由は、私の両親のせい、ていう事もあるんだよね」

「なるほど」


 線と線がつながってきた、なんていう繋がり方はしていない。

 だけど、なんとなく全容はつかめてきた気がする。


「あの人たちは、村に移住してきた人間なの。で、そこにも理由があるんだ」

「どういう理由」


 これを興味心身に訊くのはあまり良くはないのかもしれない。

 だけど、訊きたい僕も確かにいるのだ。


「お父さんとお母さんは、元々都会の人間だったって話はしたよね。でも、二人共この村に移動したきっかけがあるの」

「それはなんで」


 その言葉に鈴美は「本当に効きたい?」という。

 念押しで聞いてくるのだ。

 もしや、変な事情があるのだろうか。


「私のお父さんは、逮捕されて不起訴に終わったの」

「それは」

「お父さんはね、とある事件でつかまったの。その時にマスコミが色々と騒いでいたの。でも、結局有罪の証拠が見つからなくて逮捕されなかったし、たぶん犯人じゃないの。でも、住んでいた町じゃ暮らせなくなったから引越ししたの」

「でも、一さんはそんなこと何も」

「言えるわけないじゃん」


 そして、鈴美は顔を俯かせる。


「中学以降はその呪縛から逃れられたけど、小学校の時ふとしたきっかけでそれがばれて大変だったのよ」

「だからここが嫌いなの?」


 鈴美は頷く。


「お父さんは何も悪くないのは知ってる。でも、あまり外には出たくないの」

「だからなのか」


 僕は頷く。


「どうせいつか気づかれてたから、もういいや」


 そう言って鈴美は乾いた笑いをした。


「そんな事どうでもいいよ」


 僕は小さくそう発する。


「僕は鈴美が下に降りたがってたことが気になっただけ。理由を知ったらもういいんだ。ねえ、鈴美」

「なに?」

「下に行く?」


 鈴美は小さく首を振る。


「家に帰ろう。もう遅いし」


 そう言った。

 確かにもう15時だった。今から山を下りるには少し時間は遅い。


 そう言えば一さんは今何をしているのだろうか。農業とかをしている様子はないから、オンラインでパソコンでできる仕事でもしているのだろうか。


 その帰り道、香奈さんに会った。


「あ、奇遇」

「うん、奇遇」


 そして二人の少女は、手を合わす。

 そして今日もまた、カフェに向かうのだった。

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