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壮大な嘘告白をされ人間不信になった僕、後ろの席の女の子が付きまとってくるようになる  作者: 有原優


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第68話 アルバム

 そして鈴美は外を見る。


「どうしたの?」


 急なその行動に、びっくりした。


「私ここに来ると思い出すの」

「何を?」

「直接はあまり関係ないけれどさ、どうしても思い出すのよ。中学の時とかさ」

「ああ、なるほど」

 鈴美もまた僕と同じようにいじめられたつらい過去がある。


「そうなんだ」


 そう言えば気になる話がある。


「鈴美はさ、中学の時には地元に帰るなんて言う考えはなかったのか?」


 もちろんいじめがあったときだ。


「ううん、ない」


 無かったんだ。


「転校するならこっちの学校がいいと思ってたもん。美咲さんがいたからってこともあるんだけど」

「ほかにも理由が?」

「やっぱり地元を離れたかったしさ。わたしここの事嫌いじゃないけど、好きでもないから」

「まあ、気持ちは分かる」


 ここは山の上だ。周りにはそこまでの物量はない。ここではあまり遊ぶ場所はない。それは華の女子中学生にはつらいところがあったのだろう。


「それに、あれからわたしを虐めた人たちにあってないもん」

「それは幸せだな」

「うん。もう二度と会いたくないしね」


 逢いたくない。

 やはり体操恐れているようだ。


「じゃあお風呂入ってくるね」


 そう言って鈴美は飛び出していく。

 その中で少し思い返す。

 僕は小学中学と、物静かな子だったと思う。

 それこそ友達もほとんどいなかった。


 だからこそ、芹原の嘘告白に騙されたというのもあるけれど。



 鈴美も苦労しつつ、僕も苦労している。これは一種の運命とかなのだろうか。

 なんて、そんなおかしなことを考えていてしまっていた。



 ★



 鈴美は一人お風呂に使っていた。

 まさに久しぶりの生家のお風呂だ。とは言っても勿論二日目なのだが。


「陽太君と入りたかったなあ」


 そう鈴美は呟く。

 胸にタオルを巻いていたら陽太とは一緒に入れたかもしれない。しかし、無理にとは言えなかった。

 勿論それは陽太に気遣う意図もあった。彼曰く、芹原恵奈にふろ場に侵入されたという事が会ったみたいなのだから。


「明日はどこに行こうかな」


 空を見ながら考える。


 この家のお風呂。露天風呂なのだ。


 明日どこに行くか。家で永遠にだらだらしてもいいし、せっかくだから出かけまくるというのも一種の手なのだ。


 今日も楽しかった。いろいろな場所へと行けた。

 それが感慨深い思い出の一つになったのだ。


 このまま芹原恵奈の脅威なしに過ごしていきたい。だけど、どれが不可能なのをよく知っている。

 虐めによってひどい目にあわされた自分には。


 そして鈴美は軽い伸びをした。



 ★


 鈴美がお風呂に入った後、僕はベッドに軽く転がった。

 暇だ。


「あ、そうだ」


 リビングに漫画を置いて来てたんだった。

 僕はリビングに向かう。

 リビングで漫画を読もう


「陽太君」


 そう、一さんが言った。


「部屋デートはどうだったのかい?」

「別に昨日と一緒です。そこまでたいそうな話はしてません」

「そうか、今日のデートは?」

「楽しかったですよ」


 それこそ鈴美の色々な一面を見れて。


「それは良かった」


 そう言って軽く笑う一さん。


「少し見せたいものがあるんだが、少し時間良いかな」

「鈴美が上がるまでなら」

「ならよかったよ」


 そう言って一さんは、棚から物を取り出す。それは、アルバムだった。


「これを見せたくてな」


 確かに彼氏が家に来たとあらば、アルバムを見せる。これは軽い常識みたいになっているのかもしれない、と。僕は勝手に思った。


 しかし、鈴美の幼年期の話は、昨日カフェで軽く聞いたのがすべてだ。

 鈴美の事は余すことなくほぼすべて知っておきたい。そう思うのは常識なのだろうか。

 いや、好きな人の事を知っておきたいのは常識だろう。


「見せてください」


 僕がアルバムに目をやると、一さんは「分かった分かった」と言ってアルバムをめくっていく。

 まず目に映ったのは可愛らしい赤ちゃんの写真だ。


「これがもしかして」

「ああ、鈴美だ」


 なんと可愛らしいのだろうか。目に入れてもいたくないとはこういう事だろう。


「可愛いですね」

「ああ、俺の自慢の娘だよ」


 そう言うと、彼は苦々しく笑った。


「俺の宝物だ」

「確かに宝物です」


 鈴美の事は何があっても守りたい。それが僕の率直な気持ちだ。


 そして、次のページに行く。すると段々と鈴美が成長していくのが見える。最初は生まれたての弱弱しい赤ちゃんだtぅたのが、段々と成長して、いつの間にか立っている。

 僕はアルバムで見ているからあっという間に思えるのだろうが、一さんにとってはこれがもう一年にも二年にもわたる出来事なのだからすごい。



「羨ましいです」


 気が付けば、僕の口からそんな言葉がこぼれていた。


「鈴美の成長を間近で見られるなんて」


 僕は高校生になった鈴美しか知らないのに。


「そんなことも無い。俺は君も羨ましいよ。鈴美の子供の成長を見られるんだから」

「まだ結婚するなんて決まった訳じゃないですよ」

「おっとそれは失礼。勝手に決めつけて悪かったな」


 そう言って彼はまた笑った。


 その後も鈴美はどんどんと成長していった。

 その成長過程を見るのが正直楽しかった。

 小学生の鈴美。

 活発そうな雰囲気を感じた。

 そう言えば鈴美は中二病患者だった。持ち前の明るさで周りの人たちを楽しんでいたのだろう。

 そんな光景を想像すると楽しい気分しかなかった。


「それで中学生の時の事件は」

「あれは知ったのは事後なんだ」

「事後?」

「ああ、俺は娘に転校したいと言われたときが初めて知ったときなんだ」


 確かに事後だ。

 しかし、実の父親よりも僕の姉ちゃんに先に頼った形になったのか。


「その時どうだったんですか?」

「どうだったとは?」

「気持ち的に?」


 だめだ、何でか喧嘩腰になってしまった。


「心配したよ。まさか虐められるとは思ってなかったから。それで一時的に家に戻ったんだけど、思ったよりも元気そうだった」

「でしょうね」


 鈴美も苦難下だろうが、姉ちゃんの力は凄い。

 数か月後には僕にストーカー行為をするまでになったんだから。

 勿論鈴美も、色々と姉ちゃんに支えてもらったとは言え、立ち直れたんだからすごい。


「陽太君?」

「ちょっと感慨にふけってたんですよ。僕と鈴美が初めてであった費を思い出して」


 僕がそう言うと、一さんはハハハと笑った。

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