表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
壮大な嘘告白をされ人間不信になった僕、後ろの席の女の子が付きまとってくるようになる  作者: 有原優


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/84

第六十話 鈴美の家

 着いた先、鈴美の家のインターフォンを押すと、ドアから一人の男性が出てきた。


「陽太君、陽太君。あれがわたしのお父さん」


 鈴美のその言葉を聞いて、僕はすぐさま頭を下げた。


「鈴美さんとなあ曲させてもらっている陽太と申します。よろしくお願いします」


 正直こういう機会は初めてで、これでいいのだろうか、と迷ってしまう。硬すぎるだろうか。

 だけど、


「どうぞ」


 そう言って、鈴美のお父さん――はじめさんはドアを開けてくれた。


 はじめさん。後ろから見ると失礼ながら禿げ始めている。

 だけど、優しそうな親だ。

 恐らくおっとりとしている性格なのだろう。


 僕は一さんに着いて行った。

 家の中は、リビングが主に占めているような状態だぅた。


「座って」


 その、言葉に従い僕は椅子に座る。


「そんな硬くしなくていいからね。家だと思ってくれたらいいわ」


 そう、鈴美のお母さん、恵美さんが言った。


 僕はその言葉に従い、背もたれに背中をくっつける。


「あなたの事は鈴美から電話で聞かされてるわ。今日は本当に来てくれてありがとう。歓迎するわ」

「ありがとうございます」


 僕は小さく頭を下げた。


 そして、


「お邪魔します」

 と言った。


 正直まだ緊張は止まらないが、今日の一日でなんとなくいい人だという事は分かった。

 そのままの足で鈴美の部屋へと向かった。


「ここに入るの久しぶり」


 そう、鈴美は言った。放置されている感じがする部屋だ。

 恐らく鈴美が帰ってくるときにしか使わない部屋なのだろう。


「ここ、使っていいよ」


 そう言って鈴美はベッドの端に座った。


「眠いでしょ」

「確かに眠たいけど」

「じゃあ、遠慮せずに」

「遠慮せずにって言われても」


 なんとなく緊張する。何しろこのベッドは鈴美が普段使っているベッドなのだ。

 勿論、鈴美が出かけたあと、選択とかしているだろう。

 まあでも、それを考えたらホテルとかも同じか。ホテルは学校の旅行の時しかいけないけれど。


 もしかしたらあの家にいたままだったら、芹原と旅行していた可能性もあったのか、そう考えたら家出をして正解だったな、と再確認する。


 そして僕は、そのままベッドに横たわった。それに後々鈴美と同じふとんでねることになるのだか、今僕が鈴美の布団に寝たとしても、構わない事だ。


「気持ちいい」


 僕はそう呟いた。

 布団が気持ちいのだ。安心感を覚える。そう言えば満足に安心して寝られるのはいつ以来だろう。僕にとってはそれ自体が久しぶりだった。



 そして、あっという間に睡魔に襲われ、睡眠に入った。


 ★


 その光景を見て、鈴美は穏やかな顔つきになる。


(陽太君が眠れてよかった)


 そう感じた。

 電車の中でも寝てはいたが、正直安眠しているとはいいがたかった。むろん鈴美が肩を貸しているとはいえ、寝心地はあまり良くなかっただろう。


 電車や机の上などではない。

 ベッドで寝るのが一番大事なのだ。


 鈴美は陽太の髪の毛を少し触る。寝ている恋人を好きにできるのはいい物だ。

 だけど、それは互いの許可を得てからする物。

 勝手に陽太の体を触るのは、芹原恵奈がしそうなものだ。あのレベルには堕ちたくはない。


 そんな事をしていたら、いつの間にか鈴美も眠たくなってきた。

 欠伸を一つ噛ましてから、陽太の隣に寝転がる。

 その寝心地は素晴らしく、あっという間に睡眠へと至った。



 ★


 夢を見た。

 鈴美と二人で子供を育てている夢だ。

 鈴美は、子ども――恐らく男の子だろうか――を腕に抱いていた。そして僕はその光景をほほえましく見ていた。

 すると、『あなたもお世話をしなさい』と鈴美に怒られ、慌てて子どもの世話にいそしむ。

 そんな夢だ。


 鈴美との将来がどうなるか、それはまだよくわかっていない。ただ、一つ思う事は、そんな未来が素晴らしい物になる事だ。


 芹原恵奈という驚異、そして母さんや紅葉ちゃんから完全に脱却して、鈴美と二人きりで暮らす。

 いい未来になる事間違いなしだ。



 ★


 僕は目を開けた。

 目の前には鈴美の顔だ。薄い布団をどける。

 隣には鈴美が眠っている。


「なんで」


 鈴美を起こさないように、そう小さな声で呟いた。

 まさかとなりに鈴美が寝ているなんて思ってもいなかった。

 もう少し心の準備をさせて欲しい。今、僕の心はドキマギとしている。


 でも、そうか。これから毎日鈴美と一緒に寝ることになるのか。

 そう考えたら少しだけ楽しく感じてきた。


「鈴美」


 僕はそう呟く。恐らく鈴美もまた、着替えずに眠りに落ちたのだろう。

 そんな鈴美を見ていると、可愛らしくてこんな日々が永遠に続けばいいとさえ思う。


 鈴美はずるい。寝ているその姿も可愛らしいのだから。


 僕は鈴美の髪の毛を撫でた。


 そして、またゆっくりと、寝転がる。

 もう、眠気自体は完全に冷めた。


 だけど、今のこの状況を楽しみたいのだ。



 そして僕たちが起きたのは、3時半の事だった。


「これじゃあ、深夜逆転しちゃうね」


 早速鈴美が言った。布団の中で僕に語り掛けてくれたのだ。


「うん、そうだね。寝過ぎだね」

「ねえ、陽太君。わたしさ、今二人で寝られて本当に幸せ」

「僕もだよ」


 鈴美と二人でベッドに横たわる後継。幸せ過ぎてたまらない。


「鈴美、ハグしていい?」


 唐突にその愛らしい姿を見て僕は、抱きしめたくなったのだ。


「いいよ」


 その鈴美の言葉を受け、僕は鈴美を抱きしめた。

 鈴美もそれに抱き返す。


 僕たちは今、席あで一番幸せな気がした。

 僕は男女の友情恋愛はイチャイチャではないと考えている。

 だけど、隣に眠る鈴美を見たら、めちゃくちゃにしたくなる。


 僕は首を振る。今は少なくても、その時じゃない。僕は、その欲求を振り払った。


 その場で三十分ほど密着した後、リビングへと言った。


「長い事ねてたねえ」

 そう、一さんが言った。


「寝過ぎたかなあ」

「寝過ぎだよ」


 そう言って一さんは、ほほえましそうに僕たちを見る。


「良かったね」

「え?」


 僕は、首をかしげる。


「疲れは取れたみたいだね」

「はい」


 まだ早い時間ではあったものの、恵美さんがご飯を用意してくれることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ