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壮大な嘘告白をされ人間不信になった僕、後ろの席の女の子が付きまとってくるようになる  作者: 有原優


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第57話 家出前夜

 その翌日もまた、しんどい思いをした。

 まさに大変な、激動の一日だ。朝からうざいのだ。そう、芹原恵奈が。


 鬱陶しいことこの上ない。まさに地獄だ。


 僕は息を吸って吐く。


 今の間にも、僕の隣に、芹原が座っているのだ。

 僕が望んでいるのはあくまでも鈴美とのラブコメだ。芹原のではない。

 鈴美には悪いが、昨日鈴美が来たのは完全に悪手という事になる。


 これを言ったらおしまいなんだけどね。


 さて、どうしよう。


「芹原」

「なあに?」

「邪魔だからそこをどいて」


 僕はあえて冷たく言った。

 流石にここまで言えば、

 と、思ったんだけど。



「どこ行くの、行かないで」


 寂しそうに言ってくる。(たぶん演技)


 だけど僕はそんな者には引っかからない。

 僕は今日家を出る。勿論家出とかではなく、気休め程度のお出かけだ。


「あら、どこ行くの?」


 母さんだ。


「今日出かけるなら、恵奈ちゃんとにしなさい」


 くそ、こんなところでラスボスと鉢合わせるとは。


「何なんだよ」


 そう言いたかった。だけど、僕の口は一切動かなかtぅた。

 僕は今、この人に逆らう事が出来ないらしい。


「分かった」

 僕は小さな声でそう言った。


 あと二日間だけは、機嫌を取って行かなくてはいけない。

 そうでないと、肝心の家出の時に困ってしまうから。


「るんるんるーん。陽君とお出かけだあ」


 どこのラブコメのヒロインがそんなこと言うんだよ。

 現実でるんるんるーん、なんていう人初めて見た。

 ああ、帰りたい。


「それで今日はどこにいくでしょーか???」

「知らない」

「えー、あたしに合わせてよ」


 そんな事を言われてもだ。

 僕はどう返事を返せばいいのか分からない。


「遊園地?」


 僕がそう言うと彼女は口を負い、「本当に?」と言った。

 何なんだそれは。


「正解なんてすごすぎる」

「正解なのかよ。って正解だったら困る」

「心の声漏れてるよ、ふふ、早く行こ」


 なんで、なんでなんだよ。明らかにおかしいじゃないか。


 何で僕が、家出しようとするその間にこんなにデートイベントが入っているんだよ。


 頭おかしい頭おかしい頭おかしい。

 だけど、今は鈴美を呼べない。


 鈴美もこう、便利屋さんじゃない。

 鈴美を毎度毎度読んでいたらおかしい話になってしまう。


 今日は、僕一人で乗り切らないといけない。


 そして遊園地の中に入る。

 三度目だ。

 そして、鈴美とのデートで何とか耐え抜いてきたメンタルが、完全に崩壊していこうとする。

 トラウマのぶり返し。


 一番いやな事だ。



「ジェットコースターのロー?」

「うん」

「観覧車のろー」

「うん」


 正直記憶がない。

 心を完全に殺していたせいで、今日一日何が起きたのかすらも分からない。


 気が付けば日は落ちていた。


 性格に言えば思い出そうと思えば思い出せるだろう。だけど、思い出したくないからこそ、記憶の奥底に封印しているのだ。

 だけど、今日が終わればあと一日だ。

 あと一日で終わる。


 その翌日は、一緒にショッピングを嗜んだ。


 色々な物を買った。だけど、その記憶はあまりない。


 僕はまた、頑張って記憶の奥底に入れたのだ。


 服を着た、芹原の姿は奇麗だったことだけは覚えている。

 芹原アンチの僕が、見とれてしまうくらいには。


 だけど、そんな日々も今日で終わる。家を出る事さえできれば、後はどうにでもなる。


 そしてついに、家出当日の夜を迎えた。



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