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壮大な嘘告白をされ人間不信になった僕、後ろの席の女の子が付きまとってくるようになる  作者: 有原優


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第55話 ボール遊び


「ほら」


 芹原がボールを僕に向けて投げて来る。「美女が膨らませたボールだよ」と言って。

 自分で自分の事を美女というなよブス。


 まあ、過去、その顔を可愛いと思っていた僕が言っても説得力はないかもしれないけど。


 まあ、それはともかく、僕は芹原の投げて来るボールを手で受け止めて、そして返していく。

 これで満足なのだろうか。

 僕にはよく分からない。

 ひたすらに来たボールを返すという作業を続けて言っている中、ついに芹原が本気を出したようだった。というのも、遠くに(おそらくわざと)投げた。

 率直な感想を一つ。本当にやめて欲しい。

 遠くに投げられては、撮りに行くのも面倒くさい。

 もしも、仮に投げた人物が鈴美だったのなら、別に構わない。

 だけど、投げたが芹原な時点で僕はため息が止まらなくなる。


 本当にやめろ辞めてくれ。

 だけど、そんなことを言ったとしても何も変わらないので僕はとりあえず回収に向かった。


「ごめんね」


 芹原は手を合わせて謝ってくる。

 本当に悪いと思ってるのか?


 僕は少しイラつき、僕もまた遠くにほーいとボールを投げた。


「あ、もう。取れないじゃない」


 そう言って芹原はほっぺを膨らませる。


 可愛くない。


 そして芹原がボールを取りに行く。その姿を見ているだけで、少々滑稽だ。



 そして芹原が投げるボールを僕は取って、そして投げ返した。


 悔しい事だ。だけど、少し楽しい。

 芹原をおちょくるのは。

 これは、芹原の手の内にはまってしまったのだろうか。

 いや、そんな事を考えるのはもうやめることにする。


 僕はわざと遠くに投げて芹原をおちょくる遊びを覚えたのだ。

 そして、暫くボールを投げ合った後、僕たちは泳いだ。

 泳いだとは言っても、独立はしている。

 僕たちは互いに干渉せずに自由に泳いでいるに過ぎない。



 おかげで安心を出来ている。

 変に芹原に絡まれたりしないのだから。


 僕はゴーグルをつけて水の中にもぐる。

 水中の景色がはっきりと見える。

 素晴らしい。


 ん、僕の目の前に何か物体が。

 しかも近づいてきている。

 僕は、その物体から逃げる。

 しかし、僕は腕で顔を掴まれてしまった。

 僕は慌てて水上に浮上する。


「な、なんだ?」

「つかまえた」


 そこには芹原の姿だ。


 そして芹原の足でも捕まれる。

 芹原の足で僕の足を掴まれている感じだ。

 そう、芹原は僕にしがみついている。


 どうしようか、胸の感触がダイレクトに来る。

 しかもそこそこ思い。

 芹原の野郎。こんなのカップルしかやらないことだろうが。


「何をしているんだよ」

「陽君と愛し合ってるの」

「それが分からない」


 正直こんなに密着されたらかなりきつい。


 離してほしい。

 じんまじんができてきた。こんなの久しぶりだ。


 ああ、もう正直メンタルが限界だ。


 精神的にきつい。


「ああ、もう!」


 僕は強引に芹原を外す。


 結局こうなるんだよ。

 ああ、後三日が早く経ってほしい。早く、家出をしたい。


 僕は水の中から飛び出た。


「ホテルどうするー」



 などという芹原は無視して。

 今の文脈からして、ラブホテルの事だろう。



 もういっそ先にプールを出てしまおうか。

 芹原に関しては馬鹿なんだと思う。

 ボール遊び位なら全然大丈夫だったのに、イチャイチャを取り入れたせいで、僕が嫌になった。


 芹原には20から70の間がないのだ。

 友達と恋人の間にそこまでの距離がないのだ。


 プールから出たらその時は、適当にぶらぶらをして帰ろう。


 ドンっ


 僕が下を向いて歩いていたからか、一人の女に当たった。


「ごめんなさい」


 僕は咄嗟に頭を下げる。

 あれ、そこにいた人、僕が見たことある人。

 いや、そこにいたのは鈴美だ。


「鈴美?」


 僕は驚く。まさかここにきているとは思っていなかった。



「来ちゃった」


 そう言った鈴美に僕は勢い抱き着いた。





 僕は今日会ったことを話す。すると鈴美は頭を撫でてくれた。


「急だったからびっくりしたよ。でも、わたしがいるから大丈夫。二人で楽しもう」

「うんっ! ありがとう」


 僕の今の精神的な年齢は10歳くらいになっているだろう。


 そして僕は鈴美の顔をじっと見る。


「鈴美、一緒に行きたいところがあるんだ」


 僕は鈴美に言った。


 僕が鈴美を連れてきた場所は、所謂二人乗りの小さな水の滑り台だった。

 ここで鈴美と二人で一緒に滑る。想像しただけで楽しそうだ。

 良かった。これが芹原とじゃなくて。

 心底安心しているのだ。



 そして僕たちは一緒に滑り台へと向かっていく。


「鈴美は良かったの?」


 向かう道中。僕は鈴美に訊いた。


「なんで?」

「芹原と会ってしまって面倒なことになるかもしれないから」


 僕は指をもじもじとさせながら言った。前回も喧嘩みたいになってしまったのだ。


「それは大丈夫よ。それにね、陽太君と一緒にプールに行きたいと思ってたんだ」

「ならよかった」


 そう、僕は安堵の息を漏らす。


「そう言えばスライダーって滑り台みたいなやつだよね」

「まあ、うん」


 滑り台のようなものだ。

 二人で乗ることと水が流れていることを除けば。

 カップルもしくは、親子連れの家族がよく来る場所だ。

 僕たちはそこに行く。


 楽しみだ。


「僕は鈴美と色々な事をすることは好きだよ」

「急にどうしたの?」

「だけど、僕は芹原とはしたくない。それが僕の気持ちなんだ」

「うん。そっか」


 そう言って鈴美は笑う。


 そしてスライダーへとたどり着いた。

 そこには、ウォータースライダーのように、沢山の人が並んでいるわけではなかった。


 数人程度だ。滑り台自体が短く、回転率がいいからだろう。


 そして順番はすぐに来て、

 僕は鈴美と一緒に滑り台に座った。


 滑り台自体は大したことは無い。ウォータースライダーよりも距離も短いし、躍動感も無いだろう。

 だけど、ここで重要なのは誰と滑られるかだ。


 ここではWITH鈴美だ。


 鈴美と一緒に滑ることが大事なのだ。


 僕たちは一緒に同じそりに乗る。僕が前で鈴美は後ろだ。

 そして、一気に水の流れに流されている。

 いくら短いとはいえ、30メートルほどはある。

 僕たちは叫びながら滑って行った。


「ひゃあああああ」

「きゃあああああ」



 僕たちは二人して叫びながら、滑って行った。

 これこそがカップルだ。

 芹原とのカップルではなく、鈴美とのカップルなのだ。

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