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壮大な嘘告白をされ人間不信になった僕、後ろの席の女の子が付きまとってくるようになる  作者: 有原優


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第50話 逃避行計画

 寝室に行ったはいいものの、そこには二人がいる。

 僕はとりあえず寝ることにした。

 しかし面倒な事だ。

 もし同性愛とか可能な法律があったならば、僕はこの家に来ることはなかったのかな、だなんて思った。



 だけど、どちらにしても僕は連れてこられたんだろうな、と思う。

 女性同士じゃ子育ては養子を迎えない限り出来ないのだし。

 おそらく母さんは子どもという明確な証が欲しいんだと思う。


 しかし、




 芹原と子作り。やっぱりいやだ。


 鈴美との子作り、だとしても嫌なものだというのに。

 そもそも僕はまだ16歳だ。子どもを作るような年齢ではない。


 僕は軽く息を吸った。


 そして顔を手で抑える。

 だめだ。いくら考えても考えが追い付かない。



 僕は携帯を開く。


 そして、鈴美にメッセージを送るために、アプリを開く。

 僕は死んでもセックスなんてしたくない。


「なにしてるの、陽君」


背後に芹原の小枝。


「鈴美にメールを送ってるんだよ」


 僕は淡々と答えた。


「それより、子作り」


「しない」


 するわけがない。


「ふーん。残念」


 そう言って芹原は鼻歌を歌いながら去っていく。


 意味が分からない。

 結局、メールの下書きを削除して布団に寝転がった。


 なんかもう、送る気分ではなかった。




 翌日。


学校にいつものように登校する。

まるでいつもと同じような景色に、昨日の事は無かったんじゃないか、とさえ思える。

そもそも僕は最近、毎日こんなふうに思っている。


 それほどまでに家が異常なのだろう。


 僕は小さく伸びを舌。


今日は鈴美は早く登校しないといけない用事があるみたいで、先に学校に行くらしい。


一人でゆっくりと学校に向かう。少しだけ空気が美味しい。

リラックスが出来る。


そして、学校に着いた。



教室に入るとそこにはもう、鈴美の姿が見えた。

それを見て、僕はほっと胸をなでおろした。




 そして、鈴美の前の席に座る。

 僕はふと安心した。

 鈴美の顔が今日も見れて。


「鈴美」


 僕は早速鈴美の顔を見る。


「良かった。鈴美に会えて」


 僕は静かにそう言った。


「昨日も嫌なことあったの」

「ああ」


 そう、僕は言った。

 

 そして、僕は、鈴美に昨日あったことについて話した。

 そう、芹原と僕の子どもを作ろうとしていることを。

 そして、芹原を家族の一員にしようとしていることを。

 

「なんかもう、現実じゃないね」


 そう、鈴美が言った。

 僕は、息を吸った。


 まさに、僕の周りでは普通ではない事ばかり起きている。

 異質だ。


「僕、いやだよ」


 そして僕は静かに言った。


「僕、あんなことになったらいやだよ」


 あくまでも周りに聞こえない声量で。

 井達君も、山下さんもこの件については何も知らない。

 だから二人共詳しい事は知らないのだ。


 だけど、だからこそ。知られたくない。

 信用していないわけではない。

 嫌いという訳ではない。


 だけど、鈴美にだけしか言えないのだ。

 

 そう、こういう事は。



「僕は彼女の子どもを産みたくない」


 正確に言えば生むのは芹原になるが、そんな事は今は関係ない。


「鈴美、僕と逃げてくれないか?」


 いつか言った逃避行の事だ。

 今の日本で逃げ切る事は現実的じゃないかもしれない。

 だけど、やってみる価値はあると思う。

 そもそも僕はあの家から一時脱却したいのだ。

 


 そして、これは鈴美にしか頼めない。

 父さんにも姉ちゃんにも。

 そう、鈴美にしか頼めない事なのだ。



 おそらく父さんも姉ちゃんも母さんからの見えない鎖に縛られている。

 過去に姉ちゃんが暴行したというのも、状況と、未成年という事で解消できるかもしれないのだ。




「分かった」


 鈴美は小さな声で言った。


「計画を立てよう」


 その言葉に僕は安心した。

 逃げ道があるのだと。

 僕はあの家から逃げていいのだと。


「でも、計画の前に作戦を立てないといけないよね」


「作戦?」

「そう、作戦。何の考えも無かったらだめでしょ。こういうのはストーリー性が大事なの」

「大事?」

「うん。例え捕まったとしても。その時に警察に説明できれば陽太君は逃げ切れるでしょ」


 そう言う事か、と僕は理解した。


 捕まった時。そう、言えでとして捜査された時、

 家出しても仕方ないよね身たいなバックストーリーがあったら捕まっても大丈夫なのだ。

 それに僕たちは前に芹原に誘拐されている。


 もし、何もせず警察に駆け込んだらどうなるのか、という疑問もある。だけど、それはリスクがある。

 どちらにしても逃避行して逃げ延びれたらもっといい結果になる。

 だけど、


「鈴美の家は大丈夫なの?」


 鈴美にも家があるはずだ。


「大丈夫。前にも言ったでしょ。一人暮らしだって」


 そう言えば前にも言っていたな。


「でも、学校とか」

「それは何とかなる。今大事なのは、陽太君が幸せに笑っていられることだよ」

「っうん」


 鈴美は優しい。

 鈴美に依存したくなる。

 鈴美には本当に感謝の気持ちしかない。


「分かった」


 僕は小さくうなずく。


「そう言う方向で行こう」


 僕が言うと、鈴美は「うん」と頷いた。


「じゃあさ、今日は私の家に来てよ」

「……鈴美の家に?」


 衝撃の発言だ。というよりも今更だが鈴美の家には行ったことがない。

 今までも大体鈴美が僕の家に来ていたのだ。


「じゃあ、そう言う事で」

「何の話をしてるのかしら」


 その言葉に僕は肩をびくっとわずかに動かす。

 そこにいたのは、山下さんだ。


「何でもないよ」


 鈴美が笑顔で言った。そしてその後追加で一言。


「楽しみなイベントへの秘密の密談」

「? 秘密と密談は意味が被ってるんじゃ」

「いいのよ、そんな事は」


 そう言って、「行こ」と鈴美が僕の手を引いた。




 そして、放課後僕たちは一緒に鈴美の家へと向かう。

 駅まではいつもの帰宅路だった。

 だけど、駅に行ってからはいつもとはまた別の電車だ。

 ドキドキとする。二駅くらいの距離だったが、なんとなしに緊張している。


 電車の中では僕たちの会話は無かった。

 二人でただスマホをいじる時間が続くだけだ。



 今日もまた門限までには帰らなければならない。そのために時間の猶予という物はほとんどない。

 ただ幸いなことに、鈴美の家はそこまでは遠くはない。おかげで、ぎりぎりに家を出たとしても五時にはギリギリ間に合う。

 

 そして、僕たちは電車から降り、鈴美の家に向かう。

 そして、鈴美の家はすぐに見えた。



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