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壮大な嘘告白をされ人間不信になった僕、後ろの席の女の子が付きまとってくるようになる  作者: 有原優


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第49話 意味



「何でここにいるんだ」


 僕は叫ぶ。まさかこんなところにいるなんて思っていなかった。

 非常に困った話になった。


 今僕は鈴美と一緒にいるところを見られた。

 きっとややこしいことになる。


 何しろ鈴美に会わないでって言われていた。


「お兄ちゃんったらいけないんだ。恵奈ちゃんがいながら浮気してるー」


 そう、紅葉ちゃんが指をさす。


「ボクは恵奈ちゃんとお兄ちゃんが付き合ったらいいと思うよ」


 そして彼女は頬を膨らませた。


「そうだよ。陽君。デートしようよ」


 芹原がそう言いながら、天使の(悪魔のような)笑みを浮かべた。


 デートなんて死んでも嫌だ。

 芹原とのデートなんて地獄でしかない。


「僕は君とデートはしない」

「えーデートしようよ」

「するなら鈴美としたい」

「へえ」


 ぞっとする声だ。隣に鈴美がいなければ、僕はだめになってたかもしれない。


「それで、いいと思ってるの?」

「うん」

「ならさ、今度さいい提案があるの」


 そう笑顔で言う芹原。


「ボクたちと」

「私たちと」


「一緒に遊園地に行かない?」


 僕たちはその発言に、すぐには返答できなかった。

 というよりも、何で?


「どういう事?」


 鈴美が言う。

 僕の前に半歩ほど出て、僕をなかば守る形となっている。


「細かい意味はないよ。ボクは鈴美ちゃんの事をあまり知らないから、知りたいなって」


 個々での急接近。何が目的なのだろうか。

 いや、目的など。


「陽君は何か勘違いしてるんじゃないの?」


 その芹原の言葉に、僕は正面を向く。


「あたしは気づいたの。だからさ」


 芹原は僕の方へと走っていく。


「正々堂々と恋愛したいなって」


 今更、何の話だ。


「本当だよ。あたしは陽君と御堂さんが一緒にいるのが耐えられないし、嫉妬で死んじゃいそうだし、出来るなら陽君を管理したいけど。それは無理だからさ」

「だから融和策?」

「うんっ!!」


 気味悪いな。と思った。


「まさかまた裏切らないだろうな」

「流石に、もう打つ手はないよ」そう言って芹原は手を上げる。まるで降参のポーズみたいに。


「だからさ、もう争わないで、あたしと仲良くして」

「そうだよ。お兄ちゃん。恵奈ちゃんと仲良くしてあげて」


 今まで何度芹原に裏切られてきたことか。

 だからもう、芹原と仲良くする未来はないと、覆っていたが。


 くそっ、これはどうしたらいいんだ。

 僕にはわからない。分からないが。それでも、取れる手はある。


「もう勘弁してくれ。僕の人生に関わらないでくれ」


 僕はそう言い放った。

 今まで幾度も僕の信用を裏切ったのはどこの誰だ。

 他でもない、芹原ではないか。


「裏切るかもしれない人を見の周りに置くなんてことはしない」

「へえ、あたしさ。奥の手があるよ。既成事実を作っちゃうの」

「結局また僕を脅してるじゃん」


「陽太君、行こ」


 鈴美は僕の手を取る。

 そして、


「うん」


 僕もうなずく。


 そして、僕たちは帰って行った。



 だけど、帰ると言ってもたどり着く場所は同じで。


「あ、おかえり陽君」


 芹原が元気に手を振る。


「ねえ、やっぱり思ったんだけど、既成事実作った方がいいよね」


 帰って二言目がそれか。


「ね、セックスしよ」

 しかも、付き合うとかじゃなくて、いきなりのそれ。


「大声で言うな」


 しかもはしたない。せめて言葉は濁してほしい。


「えーーー」


 そう言う芹原の服は、谷間が見事に見える形になっている。


「しようよ」


 既成事実を作りたいだけだろ。


「したいでしょ、男なら」


 何を思ってるんだ。


「もしかして、あとがないのか?」 

「後が無い?」


 芹原はあざとそうに言う。


「まあ、そうだね。後はないね。強引にパパにしようとしてるんだから」


 強引にパパか。


「既成事実とは言うけどさ。僕あそれをされたらもっと君の事が嫌いになるよ」

「もう嫌いになる好感度がないくせに」

「それなのに、僕を襲おうって?」

「いや、あたしが単に陽君とセックスしたいんだよ。あたしが初めて陽君を虐めたあの日も、大人の階段を期待してやってきたでしょ」

「僕はやりたくない。それだけだよ」


 僕はそう言って去った。

 だが、それを掴むのは芹原の手だ。


「一緒に、しようよ」

「勝手に一人でしておけ」


 僕はそう言ってその場から離れた。


 そしてソファに座ろうと思ったら、


 隣に母さんが座った。


「ご一緒してもいいかしら」と行って。


 僕は母さんを軽くにらむ。


「いいじゃない、親子なのだし」



 こうして母さんの顔をまじまじと見るとところどころ治り切っていない傷が目立つ。

 これが、姉ちゃんに殴られた後、という事か。

 聞き出せることはないかな、そう思いながら僕は母さんに、


「ねえ、母さん」

「どうしたの?」

「なんで、人を殺したの?」


 紅葉ちゃんが言ってることからして、この家では全員(芹原を除く)は殺人に関与しているのだろう。


「それを言う必要はないわ」

「なら、ここから離れてくれ」

「あら、実の母親に対してなんて口ぶり」

「僕にはそんなこと関係ないんだよ」


 僕はソファをボスンと小さく叩く。


「母さん、お願いがあるんだけど」


 僕は口を開く。勿論言いたいことは一つだ。


「僕を元の家に戻してくれ」


 ここは地獄なのだから。

 それかもしくは、鈴美と一緒に逃避行して二人で生活したい。


「あの子たちも中々酷い物よ」

「そんな事は関係ないだろう」


 僕だって姉ちゃんたちがすべてだと盲目的に思ってることもある。

 姉ちゃんだって、人間。僕の姉という点では人生の先輩だけど、姉ちゃんがすべてではない。


「紅葉も言ってるでしょ。素直に恵奈ちゃんと子供を作りなさいって」

「あの子が言ってたことは付き合ったらだけど」

「そんな事は関係ないわ」

「そもそも母さんはなんで、僕をこの家に連れてきたんだ」


 今になってだ。


「それは、貴方が必要になったからよ」

「必要?」

「恵奈ちゃんと結婚するのにね」


 この瞬間僕は理解した。

 そう、政略結婚だ。


 今芹原恵奈は芹原姓だ。だけど、僕と結婚させたらそれは母さんの家に入れることができる。

 急に僕を戻したのは、芹原を得ようとする策略から。


 僕は利用されているだけ。


 なんとなく安心した。

 僕を引き入れたのは、僕に興味があるからじゃなかったんだ。


 だけど、ここで問題が生じた。僕が子どもを産んだら、用済みで殺されてしまう可能性すら出てきた。


 だけど、今は我慢するしかない。

 その前に交渉をしたい。


「僕がさ、もし芹原と行為をして子供を産んだら、僕を解放してくれます?」


 結婚つまり、婚約届を出すという事。

 結婚というのは名前は壮大だが、結婚式を行わなかったらそれはただの書類上のやり取りになる。



「それはだめ。ここで暮らしてもらわないと」

「それは僕が結婚できる年齢になっても?」

「そうね。でも、子どもを産むことはできる。今子供を産んで、二人で愛を確かめあってもらうわ」


 やっぱりただでは引き下がってくれないか。

 こういうのは訴えれば、警察。

 だめだ。


「僕は子どもなんか作る気はないから」


 そう言って僕は寝室に向かった。

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