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壮大な嘘告白をされ人間不信になった僕、後ろの席の女の子が付きまとってくるようになる  作者: 有原優


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第4話 ハンバーガー

 結局、その日は御堂さんに話しかけられなかった。

 

 彼女は常に奇妙な感じだった。


 昼休みに教室から出てみたが、彼女はこっそりとついてきた。

 ストーカー辞めてくれると思ったが、実際はただ、僕に話しかけてこなかっただけだ。

 結局何も問題は解決してないんだなと感じた。


 あの時は教室にいたから異変に気付かなかっただけだ。

 しかも、常に話しかけたさそうにしてきた。


 ……なんだか、気色悪い。


 ちくしょう、僕に何もしゃべりかけなかったら、ストーカーをしていい。なんて、言った覚えはないぞ。

 僕の平穏な高校生活は完璧に奪われた。

 結局話しかけてこなかったとしても、僕の心の中は荒らされてしまっているのだから。


 僕は心臓が痛くなってでも、彼女に本当の意味でストーキングをやめるように頼むべきだなと思った。


 今でも、彼女に話しかけると、心臓が痛くなる。

 無論トラウマのせいだ。正直過去二回、やむを得ず話しかけることになったあの時も心臓は痛かったのだ。

 このままじゃあ、友達も作れない、それに、僕も御堂さんの仲間に入れられ始めている感じがするのだ。

 そう、あの変人グループに。


「ちょっといいか」


 僕はついに放課後、彼女にそう話しかけた。この時点で吐きそうだ。

 女子という生物に、まさか自分から話しかけるなんて思ってもみなかった。


 吐く吐く吐く吐く吐く。吐いちゃう吐いちゃう。

 この人、御堂鈴美は美人だ。顔も可愛らしい。

 だからこそ怖い。吐く。

 それに、この人は、芹原さんにもよく似ているのだから。


「なに?」

「ここじゃあれだからハンバーガー店まで来てくれるか?」


 なぜハンバーガー屋さんなのか、理由は単純だ。揉め事があった場合、周りが警察を呼んでくれる。

 しかも学外だから、いじめられた場合、いじめではなく犯罪として処理される可能性が高くなる。

 結局あの時は、学内で起こった事件だったせいで、先生にまともに取り合ってもらえなかったのだから。


「やったー!!」


 無邪気に喜んでいるストーカー。

 何がやった―なのだろうか。僕には心底分からない。


「ねえ、陽太君は何頼む? 私はねえ、チーズバーガーセット。これが定番なんだー!!」


 何一人で盛り上がってんだよ。

 ストーカー。

 僕は話をしに来たと言ったのに、まるでデートみたいなノリだ。

 こんな無垢な見た目して裏では女の特権を生かしてるんだろうな。


「僕は特には」


 夜ご飯もあるしな。


「僕は、ミルクティのsで」


 コーラは炭酸が苦手だ。だから次点で一番安い物を。(同じ値段だが)

 何しろ、140円しかしないのだから。


「それだけ? えー、成長期の男子だからもっと食べたらいいのに」


 何を言ってるんだ。


「そんなの僕の勝手だろ。さっさと買いに行くぞ」

「はーい!!」


 吐く吐く吐く吐く。

 今はもう女子とかあまり関係なく、こいつの思考が読めなさ過ぎて怖い。

 本当に一から十まで分からないから怖い、こいつ、もしかして刑務所にでもぶち込んだ方が平和になるんじゃないか?


 もしや、話をするとか以前にストーカーで警察に訴えた方が良かったか?


「ねえ、やっぱり陽太君も、バーガーセットにしない? このビッグバーガーとかさ」

「はあ、ならそれで」


 もう、こいつに思考をゆがめられるのがもう嫌だ。

 ペースに乗せられてもいい。もう何も考えたくはないのだ。

そして僕の前にビッグバーガーが置かれる。


 正直夜ご飯のことを考えたらあまり食べたくない。

 それに、僕はバイトはしていない。だからこそ、あまりお金を使いたくはないというのに。

 だが、やはり頭を使いたくはない。

 思考したくないのだ。

 主題にだけ頭を向けていたい。


「はあ、それで、なんで僕に付きまとうんだ」


 僕はポテトを一つずつつまみながら言う。


「そのために来たんだね」


 意味深な事を言う御堂さん。


「私にはそれは言えない。でもね、私はあなたの女性恐怖症を治したいと思ってるの」


 どの口で言うんだ。

 僕のトラウマを増やしているのは君だよ。


「なら僕はそれを望まない。僕は君が嫌いだ」


 そう僕は言い切った。その瞬間、僕は空気が吸えなくなった。

 正確に言えば、呼吸が浅くなったが正解か。


 御堂さんの表情が変わっていく。怒っているような、悲しんでいるような何とも言えない表情へと。

 それを見て、僕の肺は焦ったかのように、吸って吐いてを繰り返していく。何度繰り返しても、中々酸素が肺に行かない。


 これは、過呼吸だとすぐに分かった。


 僕は勢い、嫌いだと言った。だが、その発言によって、彼女を怒らせてしまったらどうなるか、いじめに発展してしまうんじゃないか。そんな考えが脳内をめぐる。


 だが、そんなことを考えれば考えるほど、僕は焦ってしまい、息がどんどんと吸えなくなる。

息が、自分の意思で肺に取り入れられないのがこんなにしんどいとは思っていなかった。

 そのまま僕は、意識を手放してしまった。








「ん、あれ」


 気絶していたのか。

 あれ、なんだから柔らかいものの上にいる。

 なんだ、これは。膝?

 上を見る。すると、御堂さんの顔が見えた。

 え? は? え?


「うわああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 まさか僕は今、御堂さんの膝の上に。

 こんなの冗談だろ?

 だって、だって、僕が女子の膝の上に?


「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」


 僕は思わず叫んでしまった。

 膝枕は基本的に男子にとっては夢のようなシチュエーションだ。

 だけど、今の僕にとっては違う。

 ただ、苦痛なだけだ。


「お客様、店内はお静かに」

「あ、はい」


 店員さんに注意された。

 ……という事はまだハンバーガー屋さんの中か。


「驚いたよ。急に気絶するからさ。急いでソファー席までお姫様抱っこで運んじゃった」


 お姫様抱っこまで?

 ここに来て、また聞きたくない情報を聞いてしまった。


 いやだ、誰か僕を殺してくれ。

 なんでこうなったんだよ。

 僕は、僕はああ。


「うぅ」


 げろ吐きそう。


「大丈夫?」

「全部君のせいだよ」


 僕の言葉は止まらない。


「君がストーキングしなければ」


 僕は何を言っているんだろうか。

 なんだか分からなくなってくる。僕自体が何を言っているのかが全く分からない。


「僕は、本当に女子が嫌いなんだ。あの生き物はすぐに裏切る」


 信用できない。


「大丈夫私は裏切らないよ」

「あの人は、僕を捨てた、あの女は僕をいじめた。信用してた女にはすぐに裏切られる。まだ、僕を裏切ったことのない女子なんて、姉ちゃんだけだ。でも、姉ちゃんも大学に通いながら、水商売をしている。信用できるわけがない」


 水商売と言っても、違法ギリギリのものだ。勿論風俗のようなものではない。

 性、つまり体を売り物にしているわけではない。


 客に偽の愛情を売ってお金を稼いでいる。

 それも、僕たちのためと言えばそれまでだが、それでも僕にとっては誇り高い仕事とは思えない。

 少なくとも、偽の愛情を与えられ続けていた僕にとっては。


「大丈夫だよ。そう思うのも当然だよ」

「なんでお前は僕にそう言う態度で接してくれるんだよ。……はは、意味が分からねえ」


 ストーカー女はうざいけど、なんでそんな優しくするんだろうか。

 僕は何回も拒絶してるんだよ。なのになんで。


「僕にやさしくしないでよ。そしたら僕は分からなくなる」


 あいつは僕にやさしい振りをして僕を突き放した。僕はそれを許すことはできない。

 でも、あいつと、御堂さんは違う。

 別人だ。


 でも、同じ女子だ。

 だから同じ人と認識したらだめで。

 だが、ストーカーもしてくるようなやつで。


「僕の頭が混乱しそうだ」


何もかもが分からない。


「じゃあさ、私と一緒にデートしてみようよ。本当に全員の女子が苦手かどうかさ」

「君はそれでいいの?」

「うん。途中で、暴言を吐かれても、それは許すよ」


 暴言を吐かれる。つまり、僕が、御堂さんに先ほどみたいにブチキレるという事だろう。

 今もだいぶ白い目で見られるほど、叫んだ。


 店を追い出されなかったのは奇跡みたいなものだ。たぶん、いや確実に周りの人には変なやつに思われただろう。

 これが、学校にも広まらなければいいんだが。


 とにかく、それは置いとき。


 それほど、僕は暴れたのに、それを許容するというのか。

 ストーカー行為は許容できないが、それだけ、僕の女性恐怖症を直そうとしているという事なのだろうか。


 その本人のせいで、だいぶしんどい思いしているが。


「僕の過去のことは知っているのか?」

「知ってるよ」

「どれくらい?」

「それは内緒」

「そうか。……とりあえずどこまで聞いたかは聞かないでおく。問題は、君が友達を読んで、僕をボコらないかどうかだ」


 もう、女子の裏切りにはつかれた。

 今も、どこからともなく、女子が現れて、僕を滅さないかが心配なのだ。


「僕に、信じさせてくれないか」


 今の時点で、彼女が何を言おうと、僕は彼女を信じることはできない。

 御堂さんが、女子であるという事は変わらないのだ。


「うん、信じさせる。絶対に」

「分かった」


 そして、二日後のデートが決まった。


「とは言っても、どうしたらいいんだよ」


 家でうんぬん悩む。

 今からもう既に胃が痛い。正直バックレたい。ドタキャンしたい。


あの時は勢いそう言ってしまったのだが、なぜわざわざ自ら地獄に行かなければ行かないのだろうか。

いまだに女子と喋るだけでもかなりしんどいのに、まさかのデート。





 うわあああああああああああ。




 今からでも、風邪ひいたことにして休もうか。

 いや、日曜日に休んで月曜日元気に行くのか?

 それは嫌だ。学校もいきなり休むわけには行かない。


「ああ、行くしかないのか」


 ため息を何度も何度もつき、いよいよあきらめの境地に来た。


 約束してしまったものを、今から無かったことにするのは嫌だ。

 とりあえず日曜日には、いろいろストレス対策をしよう。


 僕はそう決めた。


この作品を初めて書いた時には120円だったのですけど、140円に値上がりしましたね。

物価高……


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